★【日本サッカー見聞録】五輪代表18名が発表

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▽リオ五輪に臨む日本代表18名が7月1日に発表された。6月29日の南アフリカ戦のスタメンでメンバーから漏れたのはCB中谷(柏)とMF野津田(新潟)の2人で、彼らはバックアップメンバーとして8月1日から13日までチームに帯同する。

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▽リオ五輪に臨む日本代表18名が7月1日に発表された。6月29日の南アフリカ戦のスタメンでメンバーから漏れたのはCB中谷(柏)とMF野津田(新潟)の2人で、彼らはバックアップメンバーとして8月1日から13日までチームに帯同する。南ア戦は国内最後の試合なので、ケガから復帰したSB室屋とFW中島(いずれもFC東京)は回復具合をチェックするテストの場だと思っていた。結果的に2人とも90分間フル出場したため、最終メンバー入りは確実だと思った。

▽意外だったのはMFの大島(川崎F)と井手口(G大阪)だ。日本が30分にPKから失点すると、手倉森監督はベンチにいる原川(川崎F)と橋本(FC東京)にウォームアップを命じた。屈強なフィジカルの南アに対し、170センチ前後の大島と井手口がどこまでやれるのかテストしているのだろうと思ったものだ。

▽そしてハーフタイムに井手口は原川と、大島も51分に橋本と交代した。原川も橋本も複数のポジションでプレーできるポリバレントな選手のためリオ行きは確実で、ボランチでゲームをコントロールしても守備力に不安のある大島か井手口のどちらかが「託される側」に回ると思った。

▽しかし実際には手倉森監督も認めたように、OA枠を除けば1月のアジア最終予選で戦ったメンバーに落ち着いた。意外だったのはトゥーロン国際大会の初戦で左膝を負傷して、まだ実戦に復帰できていないCB岩波(神戸)を「予測での計算でしかない」ものの、「来週には復帰して、7月9日の試合には出られそう」と見切り発車で招集したことだ。

▽DF陣の構成は右SBに室屋と塩谷、左SBに亀川(福岡)と藤春、そしてCBに植田(鹿島)と岩波の各コンビによる6人。岩波の保険として塩谷とボランチの遠藤(浦和)はCBもできるとはいえ、もしも岩波に何かあったら中谷と入れ替える予定なのだろう。それならいっそ、遠藤の代わりにボランチもでき、右SBと両サイドのMFでプレーできる橋本をあらかじめ18名に招集し、岩波をバックアップメンバーに入れておいた方が18名の枠をフルに使えるのではないだろうか。

▽たぶん手倉森監督は、そうしたあらゆる可能性を探った上で、「昨日の深夜、寝る前に」18人のメンバーを決めたのだろう。会見では目標を聞かれて、「金メダルを目指さないと銅にも引っかからない。“どう”にもこうにもならない」とか、キャプテンが誰になるか聞かれると、「遠藤のままでリオに“わたり”ます」と得意のダジャレを連発するなど、大役を果たし終えた解放感からか、終始リラックスした様子だった。


【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

2016年7月1日(金)18:30

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