★【六さんのアムールフットボール】ユーロ2016 ~VOL8~

▽ユーロの渦中にいて、常々思い知らされるのは、彼我のサッカーの埋めることのできない溝の深さである。ヨーロッパというより、世界最高峰のサッカーの現場にいても、僕がサッカーを見る基準は、あくまでもJリーグや高校サッカーを含めた育成年代、そして日本代表の現在である。

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▽ユーロの渦中にいて、常々思い知らされるのは、彼我のサッカーの埋めることのできない溝の深さである。ヨーロッパというより、世界最高峰のサッカーの現場にいても、僕がサッカーを見る基準は、あくまでもJリーグや高校サッカーを含めた育成年代、そして日本代表の現在である。アイスランドの速攻に日本は対応できるのか。空中戦でアイルランドにどこまで競り合うことが可能なのか。アルバニアのモヒカンとマッチアップしたとき、個の強さに対して拮抗できるのか。ヨーロッパトップのチープでなくても、「刺すときは、連動してしっかり刺してくる」サッカーは、タフで速い。そこに日本を当てはめていくとどんな光景が浮かんでくるのか。そんなことを考えながら、いつも、ゴール裏でシャッターを切っている。指導の現場の人間でなくとも、その程度の問題意識はあって当たり前だろう。
[ノイアー再び止める]

[パイエ ゴールした達成感]

▽今回取材にきている日本メディアのカメラマンを含めた一部に、「日本サッカーと比べるのが土台無理」とか、「日本にないものを見に来ているのだから、高校サッカーと繋げたらヨーロッパに失礼と」と、訳の分からないことを言う連中がいる。海外サッカー、とりわけ一部ヨーロッパのリーグを偏愛する人達に、よく見受けられる「パターン」だが、ヨーロッパスタンダードで、日本のサッカーを見下す態度は、いい加減どうにかならないのか。彼らはタイのような、プレミアリーグによるサッカーコンテンツの植民地化を望んでいるのだろうか。
[コマン、ドイツ戦の切り札となるか]

[ジルー2点目となるヘディングシュート]

▽退屈さの中に緊張感が見え隠れたドイツ対イタリアだった。ミスがらみの失点を恐れているのか、リスクのないパス回しをするドイツに対し、ボール奪取からの速攻に切れ味を見せるイタリア。エジルとエデルがいなかったら、本当に退屈な試合になっていた。PK戦までその余波を受けたのか、ノイアーやブッフォンのファインセーブより、枠を捉えられなかったキッカーの駄目さのほうが浮き彫りになった。ある意味で、これもまた伝統の一戦の宿命なのかもしれない。
[ジル―を待ち構えて、狙ったらこのポーズ やった!]

▽フランス対アイスランドは、前半の連続2失点が大きかった。結果的に、ドイツ戦に向けたフランスの調整試合になったのは否めない。それでもアイスランドが2点を返したのは、ベスト8がフロックではないことを証明したともいえる。延長PKで中3日のドイツ、大勝したフランスは中2日、これでコンディション的には、どちらも同じになった。
【六川則夫】(ろくかわのりお)
1951年、東京生まれ。
40年近くピッチレベルでサッカーを撮り続けてきている重鎮フォトグラファー。「蹴る、観る、撮る」の順序でサッカーを愛し、現在も取材の合間にボールを蹴るという根っからのサッカーボーイでもある。

2016年7月6日(水)13:14

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