★【コラム】ユナイテッド復権への確かな兆し

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▽マンチェスター・ユナイテッド復権への確かな兆しだ。レスター・シティとのコミュニティシールドを皮切りに、プレミアリーグ開幕節のボーンマス戦、そしてサウサンプトン戦と公式戦3連勝。

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▽マンチェスター・ユナイテッド復権への確かな兆しだ。レスター・シティとのコミュニティシールドを皮切りに、プレミアリーグ開幕節のボーンマス戦、そしてサウサンプトン戦と公式戦3連勝。MFポール・ポグバがデビューしたサウサンプトン戦では役者が揃い、FWズラタン・イブラヒモビッチの2ゴールで完勝した。

◆早くも見えるモウリーニョ色
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▽プレシーズン中は、守備的なポゼッションを重視する前任者ルイス・ファン・ハールの“哲学”が抜けきらず、チグハグな状態だった。しかし、ホーム開幕となったサウサンプトン戦でのポゼッション率は43%。ボールタッチ数、パス本数ともにサウサンプトンを下回ったが、試合を支配されたという印象をまったく与えなかった。事実、ユナイテッドはサウサンプトンの枠内シュート数を1本にとどめている。まさに、“モウリーニョのチームらしい”スタッツだ。

▽具体的な変化も明らかだ。ファン・ハール時代の守備は要所でのハイプレッシング、そしてボールホルダーと人へのアプローチを重視した。一方、モウリーニョ体制になってからはハイプレスの回数を減らし、自陣でブロックをセットしつつ、スペースケアの意識を高めた。そこからのカウンターのスピードを上げようとする意識も見て取れる。よりアレックス・ファーガソン時代に近い戦術だ。

◆プレミア屈指のフィジカル集団に
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▽そして、モウリーニョらしさが色濃く出ているのが、フィジカルを重要視しているところだ。新加入のイブラヒモビッチとポグバ、そして身体能力に優れるDFエリック・バイリーの加入により、空中戦とインテンシティは大きく強化された。イブラヒモビッチ、ポグバ、バイリー、そしてMFマルアン・フェライーニ、DFクリス・スモーリングを擁するユナイテッドのセットプレーは、相手にとって相当な脅威となる。

▽フェライーニは、サポーターの期待を良い意味で裏切っている。セントラルMFとしてモウリーニョの信頼を勝ち取っているベルギー代表MFは、より守備的な明確な役割を与えられたことで、非常に効果的な働きを見せている。サウサンプトン戦でプレス回避や繋ぎの部分でさすがのプレーを見せたポグバとのコンビが安定すれば、フィジカルで中盤を制圧することが容易となる。

◆バイリーのポテンシャルと両SBのコンディション
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▽最大の懸念だったセンターバックに関しても、この3戦でバイリーが見せたパフォーマンスを見れば楽観的になれそうだ。このコートジボワール代表CBは、強さと速さを兼ね備えており、ビルドアップ能力も水準以上。フィジカルに頼りすぎるあまり、ハイリスクのチャレンジに出てしまうこともあるが、モウリーニョの下で順調に成長できれば、リーグ屈指のセンターバックになれるポテンシャルを有している。噂されるDFジョゼ・フォンテを獲得できれば経験値の面で大きいが、昨シーズンに完全に一皮むけたDFクリス・スモーリング、高いビルドアップ能力で攻撃の起点をつくれるDFダレイ・ブリントが計算通りに働けば、このポジションも大きな問題にはならないはずだ。

▽最終ラインでは、DFアントニオ・バレンシアが開幕からコンディションを整えてきた。MFフアン・マタとの縦ラインの連係は成熟しており、ウィークポイントと言われてきたクロスの質も、イブラヒモビッチという明確なターゲットが中央に陣取っていることで、本人もやりやすそうだ。『右サイドのマタが揺さぶり、バレンシアの縦突破からイブラヒモビッチ』という形を確立させつつある。MFヘンリク・ムヒタリャンが馴染めば、攻撃はより多彩となる。

▽さらに、大怪我を乗り越えて戻ってきたDFルーク・ショーも試合を重ねるたびにコンディションを上げており、「モウリーニョは攻撃に関する自由をサイドバックに与えてくれる」と語るなど、持ち前の攻撃性能発揮へ意気揚々だ。

◆チームはどこまで伸びるか
▽ポグバはもちろん、FWウェイン・ルーニーやFWアントニー・マルシャルらコンディションがまだまだ上がっていない選手がいる中でも、ユナイテッドはタレント力をまざまざと見せつけた。盤石なスカッドに加え、近年悩まされた負傷に関しても現時点でケガ人がおらず、宿敵のアーセナルとは対照的に見通しは明るい。このタレント軍団にモウリーニョ戦術が浸透したとき、どれほどのチームになるのか。復権を期するレッド・デビルズから目が離せない。
《超ワールドサッカー編集部・音堂泰博》

2016年8月20日(土)15:30

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