★【原ゆみこのマドリッド】リーガもとうとう始まる…

▽「意外と地味に開幕するのね」。そんな風に私が拍子抜けしていたのは金曜日、2016-17シーズンのリーガ最初のマラガvsオサスナが各節10カード中、唯一、オープン放送される試合と知って、家のTVをつけてみたものの、いえ、会場のロサレダ(マラガのホーム)はかなりの大入りで盛り上がっていたようなんですけどね。

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▽「意外と地味に開幕するのね」。そんな風に私が拍子抜けしていたのは金曜日、2016-17シーズンのリーガ最初のマラガvsオサスナが各節10カード中、唯一、オープン放送される試合と知って、家のTVをつけてみたものの、いえ、会場のロサレダ(マラガのホーム)はかなりの大入りで盛り上がっていたようなんですけどね。両チームがシーズン最初の公式戦、しかも暑いマラガ(スペイン南西部のビーチリゾート都市)で行われたせいか、選手たちは途中で何度もお水休憩しているし、後半10分には先日のカランサ杯(カディス主催の伝統的な夏の親善トーナメント)で2夜連続出場してチームの優勝に貢献、MVPとなったホアンピがgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げてマラガが先制したものの、終盤にフラン・メリダがゴール前で倒れながら放ったシュートでオサスナが同点に。

▽その後も両者、不正確なプレーが続いて、結局そのまま1-1の引き分けで終わってしまったから、何だかなあと思ったんですが、とにかく第1節は金曜から月曜まで4日間かけて開催。それも注目のビッグチームはバルサが土曜、マドリッドの両雄はその翌日となれば、今はまだリオ五輪も続いていますしね。金曜は乾貴士選手が先発出場したエイバルもデポルティボに2-1で負けていましたが、そんなに急には世間もリーガ、リーガと盛り上がれなくても仕方ないかもしれません。

▽まあ、それはともかく、いよいよ開幕戦を迎えるレアル・マドリーとアトレティコ・マドリーの近況をお伝えしないと。また今シーズンも一方がホームゲームの節は他方はアウェーゲームという日程になっているため、この日曜はどこかのバル(スペインの喫茶店兼バー)でマドリーの試合を見た後、ビセンテ・カルデロンに駆け込むことになる私ですが、今週は夏の間、ご無沙汰していたサンティアゴ・ベルナベウにも足を向ける機会がありました。それは火曜のことで、ええ、昼間はアセンシオの入団プレゼンへ行ったところ、前日、古巣の復帰に感極まったモラタに続き、当人が途中で泣いてしまったのには驚かされましたが、こちらは6年前にガンで亡くなったお母さんを思い出してだとか。

▽夜にはサンティアゴ・ベルナベウ杯でまたスタジアムに戻って来た私でしたが、マドリーが1956年にCL(当時は欧州チャンピオンズカップ)が始まったシーズンに最初の優勝を果たした決勝の相手、歴史的な因縁のあるスタッド・ランスだったものの、今季はフランスの2部リーグでプレーするチームですからね。キックオフ前にウンデシマ(11回目のCL優勝のこと)と先日のUEFAスーパーカップのトロフィーをファンに披露して、すぐにはその余韻が抜けなかったのか、前半7分にシャバリアに先制ゴールを決められていたものの、ナチョ、セルヒオ・ラモス、そしてモラタがヘッドで得点して難なく逆転。相変わらず、頭自慢を揃えていることを誇示していましたが、とりわけユベントスから戻って来ての初ゴールとなったモラタなどはホッとできたのでは?

▽後半もハメス・ロドリゲスとカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のマリアーノがチーム残留をアピールする追加点を挙げた彼らだったんですが、ただねえ、序盤にはまた守備のミスが出て、ランスに1点を返されているんですよ。いえ、最終的なスコアは5-2と余裕のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)でしたから、午後10時半からという遅い時間にも関わらず、スタンドに駆けつけた大勢のファンも満足して帰ることができたんですけどね。失点はどちらもカセミロがボランチとして入る前だったため、彼がケガしたり、出場停止になった時はジダン監督も代役を探すのに苦労しそうですね。

▽そして水曜から土曜までバルデベバス(バラハス空港の近く)で最終調整して、当日移動で日曜午後8時15分(日本時間翌午前3時15分)から、サン・セバスティアン(スペイン北部のビーチリゾート都市)でマドリーはレアル・ソシエダ戦に挑むんですが、前日の記者会見ではジダン監督から残念なお知らせも。というのもここ数日はボールを使った練習を始め、ユーロ大会決勝でのケガからかなり回復しているように見えたクリスチアーノ・ロナウドが、「Puede ser que contra el Celta aún sea pronto/プエデ・セル・ケ・コントラ・エル・セルタ・アウン・セア・プロントー(セルタ戦はまだ早いかもしれない)」と、来週土曜の2節から戻れるかどうか懐疑的だったから。

▽それよりもっと心配なのはベンゼマで、ユーロ大会には行っていないにも関わらず、アメリカツアー中の親善試合を全て腰痛で欠場、セビージャとのUEFAスーパーカップにこそ、頑張って途中出場したものの、サンティアゴ・ベルナベウ杯にはまた出られず。結局、仙骨を痛めていることが土曜にクラブのメディカルレポートで発表されたんですが、「セオリー的には2週間は必要なケガ」(ジダン監督)なのだとか。まあ、だとしてもマドリーにはまだベイルがいますし、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)が揃い踏みした暁には先発の可能性がなくなるモラタ、ルーカス・バスケス、イスコ、アセンシオ、ハメス・ロドリゲスらだって、普通以上に得点力の高い選手たちですからね。

▽この初戦ではモドリッチも昨季の累積警告で出場停止となるため、うち3人がアノエタ(ソシエダのホーム)でスタメンとしてピッチに立つことになりますが、マドリーを白星スタートに導けるかどうか、お手並み拝見。ちなみに昨季途中にデビッド・モイーズ監督を引き継いだエウセビオ監督が続投しているソシエダはここまで補強選手がたったの4人、うち1人はマンチェスター・シティから正式移籍となったアルゼンチン人GKルリと、戦力的にはあまり変わり映えはせず。ジョナタスがルビン・カザンに行ってしまった後、マラガからサウサンプトンを経由してスペインに出戻ったファンミと、昨季はラス・パルマスの残留に貢献したウィリアム・ホセのFW2人が加わっているものの、まだアキレス腱の手術からのリハビリ中のケイロル・ナバスに代わり、マドリーのゴールを守るカシージャを果たして脅かすことはできるのでしょうか。

▽一方、昇格組のアラベスをホームに迎えるアトレティコはカディス(スペイン南西部のビーチリゾート都市)から戻った後、火曜から練習を再開。ダブルセッションのあった木曜には、私も夕方からのセッションを覗きに行ったんですけどね。今回はボールを使ったパス回しのようなメニューもあったものの、マスコミに公開されている15分間ではやはり、フィジカル的なものが多かったかと。実際、芝に色の違うリングを置いて、フィジカルコーチのプロフェ・オルテガの「赤踏んで、黄色踏んで」から始まって、次は「指示した色と逆を踏んで」、挙句の果てに「1つ目は指示通り、2つ目は逆」って、これじゃまるで学童のレクリエーションゲームじゃないかと思いましたが…多分、フィジカルメニューがあまりに多すぎて、そんな風にでもしないと選手たちが飽きてしまうんでしょう。

▽その後、すぐにマスコミは練習場を追い出され、その日はミニスタジアムではなく、下のグラウンドだったため、partidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)など、残りを見られたのは強烈な西日に耐えながら、金網越しに外から覗いているファンだけという、どうにも納得しがたい状況で帰らないといけなかったんですが、何せ記者やカメラマンがいると、恥ずかしいプレーはできませんからね。もしや、選手たちを緊張させないようにという心配りだった?そうそう、メンサー(ビトリア・ギマラエスへレンタル移籍)やベラスケス(同ブラガ)、マンキージョら、シメオネ監督の構想外の選手がすでに練習に参加していない今週は新顔も1人いて、それは20歳のポルトガル人GKモレイラ。

▽実は彼、2年前にアトレティコと契約したんですが、最初の年はモエイレンセ、昨季はウニオン・マデイラにレンタル移籍してプレー、今季もベレネンセスで修業を続けるはずだったんですが、先日、第2GKのモヤがヒザの関節鏡手術をして全治2カ月となってしまったせいで、急遽、チームに合流してもらうことになったのだとか。地味でしたが、金曜にはビセンテ・カルデロンでプレゼンもあり、しばらくはオブラクの控えとして、ベンチに控えることになりました。ちなみにこのパターンはこの夏も繰り返されて、アトレティコはアルゼンチン五輪代表でソシエダのルリの控えだった20歳、アレックス・ベルナーを獲得。彼も今季はボカ・ジュニアースにレンタル移籍して、いつかマドリッドに呼んでもらえる日を待つようです。

▽そんなアトレティコも土曜にはシメオネ監督が記者会見で話したんですが、やはり先日のインタビューで、「Somos muchos los que hemos elegido estar en el Atlético/ソモス・ムーチョス・エオル・ケ・エモス・エレヒードー・エスタル・エン・エル・アトレティコ(ウチにはアトレティコにいることを選んだ選手が沢山いる)。これは心の奥底からのことで、一過性のものではないし、説明しにくいが、今いる者たちはもっといいチームを見つけるのは難しいと感じている。グリースマンもゴディンもフェルナンド・トーレスもね」と言っていただけあって、準備具合にいい手応えを感じているんでしょうかね。

▽「Este año va a ser más difícil elegir, tenemos una plantilla más equilibrada y competitiva/エステ・アーニョ・バ・ア・セル・マス・ディフィシル・エレヒル、テネモス・ウナ・プランティージャ・マス・エキリブルラーダ・イ・コンペティティバ(今季は選ぶのがずっと難しくなるだろう。よりバランスが取れ、競争力のある選手たちがいる)」と自信を見せてくれた上、今季の目標を訊かれると、「昨季の数字を改善すること、リーガでもっと勝ち点を稼ぐこと、y aspirar a lo máximo en todas las competiciones/イ・アスピラール・ア・ロ・マキシモ・エン・トーダス・ラス・コンペティシオネス(全ての大会で最高を目指すこと)」と返答。

▽とはいえ、もちろん大前提は「来季のCL出場権を勝ち取ること」なんですが、以前のようにあからさまに「予算が違うマドリー、バルサはウチより上のチーム」、「目標は3位」なんて言われるより、ずっといいってもんじゃないですか。これで5月のミランでのCL決勝でマドリーに2度目の敗北を喫して、イロイロ考えることになったシメオネ監督が夏の間に不幸な運命に打ち勝つ方法でも思いついてくれていたら、完璧なんですが、こればっかりはねえ。

▽それでもペイネタへの移転を控え、ビセンテ・カルデロンをホームとして使う最後のシーズンになる今季の開幕を前に選手たちも前向きなメッセージを発信していて、土曜のセッション後にはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場出口にファンの行列ができ、20分間以上もサインに応じていたというトーレスは、「Un año más, un año especial. En la despedida del Calderón, todos juntos para seguir creyendo/ウン・アーニョ・マス、ウン・アーニョ・エスペシアル。エン・ラ・デスペディーダ・デル・カルデロン、トードス・フントス・パラ・セギール・クレジェンドー(もう1年、特別な1年。カルデロンへのお別れに皆一緒に信じ続けよう)」とツィッター(https://twitter.com/Torres/status/766941479306604546)にアップ。

▽今週、いきなり発生した移籍の噂がすぐ否定されたヒメネスも木曜のスタジアム練習に来た息子のラウタロウ君のユニフォーム姿を撮って、「Volvemos a la Liga con la ilusión de un niño/ボルベモス・ア・ラ・リーガ・コン・ラ・イルシオン・デ・ウン・ニーニョ(子供の夢と共にリーガに戻る)」(https://twitter.com/JoseMaGimenez13/status/766924836484571136)と記していましたが、とりあえず、グリースマンが出場停止となる日曜午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)からのアラベス戦での先発予想はGKオブラク、ファンフラン、ヒメネス、ゴディン、フィリペ・ルイス、サウル、ガビ、チアゴ、コケ、カラスコ、ガメイロ。今季からペジェグリーノ監督率いるアラベスは14人が退団、ヘタフェのビガライ、アスレティックのイバイ・ゴメス、RMカスティージャのマルコス・ジョレンテら16人が入団と、昇格メバーが9人しか残っていない新生チームですが、金曜には同じ身分のオサスナが勝ち点1を確保していますからね。

▽アトレティコからレンタル移籍しているルーカスの弟、テオ・エルナンデスは契約条項で出られませんが、先週のカランサ杯の時のように決して油断せず、しっかり最初の試合から勝っていってもらいたいかと。何せ、土曜にはバルサが今季はスペイン・スーパーカップから活躍しているアルダ・トゥランの先制点を皮切りに、メッシが2発、ルイス・スアレスがハットトリックと爆発して6-2でベティスに大勝していますからね。マドリーも一緒ですが、優勝争いのライバルに1節目からおめおめ後れを取る訳にはいきませんって。

▽そして新しいマドリッドの弟分チームとなったレガネスは月曜にセルタとアウェイでリーガ1部デビュー。遅ればせながら、私も先輩格のラージョとヘタフェを救えなかったパコ・ヘメス監督とエスクリバ監督がそれぞれ、率いるグラナダとビジャレアルが対戦する土曜に早起きして、午前9時半からの練習を見ようと試みたんですが、うーん、クラブのオフィシャルページに出ている施設の住所からして、グーグルマップでヒットせず。そこでマドリッド近郊のレガネス市所有のその施設のページに載っている地図を見ながら行ってみたところ、何故か、着いた場所はお隣のヘタフェ市中心部の商店街って?もうさすがスペインといういい加減さで、電車賃をムダにして帰って来たんですが…次の機会にはたどり着けるように努力します。
【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

2016年8月21日(日)13:00

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