★【J1クラブ通信簿】粘り強さが加わった新生フロンターレが悲願のリーグタイトルを獲得!《川崎フロンターレ》

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▽歴史が動き、シーズンが閉幕した2017明治安田生命J1リーグ。最終節まで優勝争い、残留争いが繰り広げられ、最後まで目が離せない白熱したシーズンとなった。

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▽歴史が動き、シーズンが閉幕した2017明治安田生命J1リーグ。最終節まで優勝争い、残留争いが繰り広げられ、最後まで目が離せない白熱したシーズンとなった。

▽「DAZN」マネーにより、シーズンの成績で今後のクラブ強化に大きな影響を及ぼすこととなった2017シーズン。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブを総括。トピックやチームMVP、補強成功度、総合評価で振り返る。第18弾はクラブ創設21年にして悲願のJリーグタイトルを獲得した川崎フロンターレを総括する。

◆シーズン振り返り
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【主なトピック】
●5年間監督を務めた風間八宏監督が退任。鬼木達コーチが昇格で新監督に就任。
●長年獲得を熱望していた家長昭博&阿部浩之の加入。
●9年ぶりのルヴァンカップ決勝進出も準優勝に終わる
●最終節で奇跡の逆転優勝! 10度目の正直で初タイトルを獲得!!
●新主将FW小林悠がJリーグMVP&得点王のダブル受賞
▽5年間の指揮を任され、川崎Fにパススタイルを確立した風間八宏監督が退任。アシスタントコーチを務めていた鬼木達氏を新監督に迎えた新シーズンは、キャンプから守備意識の変革が行われ、ポゼッション一辺倒で行われてきたこれまでの攻撃的サッカーから攻守を考えた新スタイルが確立された。

▽ストーブリーグでは、3年連続得点王を獲得したFW大久保嘉人やリオ五輪に出場したMF原川力、MF中野嘉大、DF小宮山尊信ら8選手を放出。一方で長年獲得を熱望していた元日本代表MF家長昭博や2年連続で獲得に動いたMF阿部浩之の獲得に成功。また、最終ラインのバックアッパーとしてアルビレックス新潟から舞蹴龍ジェームズなど的確な補強を行った。

▽そして、迎えた新シーズンは開幕戦の大宮アルディージャ戦を勝利で飾ると、開幕5節終了時点で3勝1分け1敗とまずまずの立ち上がりを見せたが、日程が過密になると負傷者が続出。第6節のヴァンフォーレ甲府戦から第8節の清水戦までは、下位相手の試合が続いたが、ここを3分け終わるなど勝ちきれない試合が続いた。
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▽それでも、試合を追うごとに鬼木監督の下で磨かれた守備意識が浸透し始めると、徐々に調子を取り戻し5月以降の8試合を6勝1分け1敗で切り抜け、首位のセレッソ大阪に3ポイント差の5位で後半戦を迎えた。

▽負傷者が続々と復帰して迎えた後半戦では、川崎Fの攻撃スタイルに新加入の阿部や家長がフィット。また、鬼木監督の求める守備意識が新たな色としてチームに浸透すると、YBCルヴァンカップで9年ぶりに決勝に進出。決勝では惜しくもC大阪に敗れ、 “シルバーコレクター”の汚名返上はならなかった。

▽それでも、リーグ戦終盤は失速することなく勝ち点を積み重ねると、第29節のベガルタ仙台戦や第31節の柏レイソル戦では、2点のビハインドから同点または逆転勝利をもぎ取るなど、粘り強い戦いを披露。8月以降の15試合で11勝4分けと躍進を続けたチームは、最終節までもつれた鹿島アントラーズとの熾烈な優勝争いを制して、悲願のリーグタイトルを獲得した。

◆チームMVP
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FW小林悠(30)
明治安田生命J1リーグ34試合出場(先発33試合)/23得点
▽Jリーグ年間MVPにして初の得点王に輝いたFW小林悠を外すことはできない。例年はシーズン途中に約1カ月の離脱を繰り返してきた小林だが、今シーズンは食事や水分の摂り方、マウスピースの着用やヨガを始めるなど、様々なコンディション調整に取り組んだ。

▽この変化が実を結び、自身初のリーグ戦全試合に出場。11月に行われた第33節の浦和レッズ戦では、J1リーグ通算200試合出場を達成した。

▽また、昨シーズンまで所属していたFW大久保嘉人(現FC東京)の移籍により得点力不足が心配された中、その穴を埋める活躍を披露。最終節の大宮アルディージャ戦では自身初のハットトリックを達成するなど、自己最多となる23ゴールを記録して得点王も獲得した。

▽エースストライカーとしてだけでなく、今シーズンからは中村憲剛からキャプテンマークも引き継ぎ、小林個人にとっても最高のシーズンとなった。

◆補強成功度「A」(評価:S~E)
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▽長年獲得を希望していたMF家長昭博やMF阿部浩之の獲得に成功。序盤こそスタイルの違いから適応に時間を要した両者だが、徐々にフィットすると阿部は自身初の2ケタ得点を記録。負傷もありフィットに時間がかかった家長も第22節の鹿島戦で移籍後リーグ初ゴールを記録すると、類い稀なるサッカーセンスとフィジカルを活かし、後半戦躍進のキーマンとなった。

▽しかし、的確に行われた2列目の補強に比べ、FC東京に移籍したFW大久保嘉人の後釜となるFWの確保には失敗。小林の奮闘があったためにその穴は気にならなったが、新シーズンに向けては補強が必要となる。

▽また、最終ラインの強化としてアルビレックス新潟から獲得したDF舞蹴龍ジェームズは長期離脱を強いられリーグ戦での出場はなし。期限付き移籍で獲得したFWハイネルもリーグ戦でわずか5試合の先発で14試合の出場に終わるなど、失敗に終わった補強もあった。それでも、家長、阿部の活躍の大きさで「A」評価とする。

◆総合評価 「S」(評価:S~E)
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▽悲願のリーグ制覇を果たしたことが大きいが、YBCルヴァンカップでは準優勝、天皇杯ではベスト16、ACLではベスト8と一定の結果を残したシーズンだったと言えるだろう。その要因として挙げられるのは攻守のバランスの良さだ。攻撃面は、これまで通り巧みなパスサッカーでリーグトップの71得点を記録し、鬼木新監督の浸透させた守備面では、ジュビロ磐田、鹿島アントラーズに次ぐリーグ3位の31失点と大きな手応えを掴んだ。

▽今シーズンは、最終節まで優勝を争った鹿島にシーズンダブルを達成。10年ぶりにACLを制した浦和レッズにもリーグ戦では負けなしと、強豪クラブとの戦績は悪くなかったが、下位に沈んだFC東京やヴァンフォーレ甲府から勝ち点の取りこぼしが目立った。タイトル争いが至上命題となる来季以降は、常勝軍団を目指す上で下位からの取りこぼしをなくしていかないといけない。

▽悲願のタイトルを獲得し、来季から新たな時代に突入する川崎F。最大22億円とも言われる「DAZN」マネーを手にした初のクラブとして、ストーブリーグではより的確な補強を行い、来季はリーグ連覇だけでなく国内3冠、ACL制覇を目標としてスタートする。

2017年12月11日(月)22:40

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