★【原ゆみこのマドリッド】4チーム共、勝ってくれたけど…

▽「お預け喰わされている気がするわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、今週の予定と見たところ、ヨーロッパの大会がなく、ミッドウィークにリーガ戦が入っているのに気がついた時のことでした。いやあ、これがシーズン半ばであれば、先週末の節も含めて勝ち点9が動くとあって、オチオチしていられなかったんですけどね。

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▽「お預け喰わされている気がするわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、今週の予定と見たところ、ヨーロッパの大会がなく、ミッドウィークにリーガ戦が入っているのに気がついた時のことでした。いやあ、これがシーズン半ばであれば、先週末の節も含めて勝ち点9が動くとあって、オチオチしていられなかったんですけどね。優勝争いといった言葉が世間から、聞こえなくなったのはもう随分と前。首位バルサと2位アトレティコの差が勝ち点11、3位のレアル・マドリーは15ともあって、残りは6試合、いつ戴冠が決まるのかの方にもう焦点が移っているのは当然のことだったかと。

▽実際、5位のベティスとアトレティコとの差も先週末で19ポイントとなり、数字的に来季のCL出場権ゲットが確定。マドリーも15差ありますし、今回から4位だとプレーオフを戦わないとグループリーグに出られないという制約もなくなったため、それこそ2位も4位も変わりないですしね。加えてマドリッドの弟分チームたちも残留をほぼ達成、かといって、10位のヘタフェは7位のセビージャまで5ポイントと、ヨーロッパリーグ出場圏入りまで望むのは少々、難しいとなれば、こちらも消化試合に付き合わされているような倦怠感に陥っても仕方なかった?

▽それだけに早く見たいのはCL、ELの準決勝で、何せマドリーはバイエルン、アトレティコはアーセナルとどちらも決勝と言ってもおかしくないような好カードになっていますからね。その前に毒にも薬にもならないような試合をして、自在にローテーションをかけられるお隣さんはともかく、超少数精鋭主義のシメオネ監督のチームから、更にケガ人発生といった事態になるのは困るんですが…いえ、先のことを慮っていても始まりせん。とりあえず、マドリッド勢の前節リーガ戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。

▽4チームに先立って土曜試合となったのはレガネスで、このところバレンシア、バルサと強敵に連敗していた上、アムラバットやガブリエル・ピレス、ボービューらが出られないと聞いていたため、このセルタ戦はちょっと心配していたんですけどね。それでもチームへの全幅の信頼を失わず、ブタルケのスタンドを埋め尽くしたファンに力づけられ、レガネスは前半からゲレロのシュートやシオバスのヘッドでゴールを積極的に狙っていきます。その努力が実ったのは後半になってからで17分、エル・ザールが入れたラストパスをゲレロが押し込み、とうとう先制してくれたから、ホッとしたの何のって。

▽スタンドの一角にはセルタの応援団も駆けつけていたんですが、この日はイアゴ・アスパスにチャンスが回らなかったせいでしょうか。相手はこの1点が返せず、そのまま1-0でレガネスが勝利を手に入れることに。これで勝ち点39、降格圏と13差となったため、ガリターノ監督も「A seis jornadas la salvación está prácticamente hecha/ア・セイス・ホルナーダス・ラ・サルバシオン・エスタ・プラクティカメンテ・エッチャ(6節残して実質上、1部残留は達成できた)」と試合後、満足そうだったんですけどね。週が明けて月曜日、次節のビジャレアル戦を控えての会見では、「matematiamente(マテマティカメンテ/数字的に)残留を確定するまで戦わないといけない」と新たな目標ができていたんですよ。まあ、今週は金曜にデポルティボ戦も入っていますし、4月からチーム全体にバケーション気分が広まっても困りますからね。それでもセルタ戦で決勝点を挙げたゲレロを始め、6月で契約の終わる選手が大半とあって、そろそろクラブも来季を見据えて動き始めるんじゃないでしょうか。

▽そして翌日曜、まだ日の高い午後4時頃、ちょうど毎年恒例のel Dia del Nino(エル・ディア・デル・ニーニョ/子供の日)のイベントに当たったため、スタジアム周辺に設けられたトランポリンやミニサッカー場、フットボリン(サッカーゲーム)などのアトラクションを楽しむ家族連れで賑わうワンダ・メトロポリターノに着いた私でしたが、この日は場内の演出もバッチリ。キックオフ前には大弾幕がバックスタンドに広がり、他は一面、rojiblanco(ロヒブランコ/赤と白)の旗でさざ波かえる美しい光景を楽しめることに。ええ、これにはジエゴ・コスタが負傷中なのに加え、金曜早朝にリスボンから戻って来たばかり、土曜など45分ぐらいしか練習をしなかったというアトレティコの選手たちも大いに勇気づけられたのでは?

▽実際、相手はパコ・ロペス新監督になってから、勝ち点12中10を獲得しているレバンテとあって、その辺もあの、大雨のジョゼ・アルバラーデでパスが3回とが続かない、恐ろしいEL準々決勝2ndレグを見た後だけに、私も不安だったんですが、応援の効果やてきめん。意外と大丈夫だったんですよ。そう、ここ3試合連続の先発出場を仰せつかい、ようやくスペイン代表でも常連だったセビージャ時代の自分のサッカーを思い出したか、この日はビトロがキープレーヤーに。前半32分には敵DF数人をかわしてエリア内でバトンタッチ、ここ数試合の悪いパフォーマンスを反省していたコレアがシュートを決め、アトレティコが先制点を挙げてくれたから、ファンも喜んだの何のって。

▽更に40分にはリュカのスルーパスにグリーズマンが抜け出したんですが、GKオイエルに倒されてシュートできず。ペナルティをもらうどころか、逆にpiscinazo(ピシナソ/ダイブ)とされて警告を受けてしまったため、後でゴディンなど、「時々、プレーのスピードのせいで、相手に触らなくても向こうが切り返そうとしたりして、バランスを崩すことがある。Por eso la amarilla me parece excesiva/ポル・エソ・ラ・アマリージャ・メ・パレセ・エクセシーバ(だからイエローカードは過剰に思えるよ)」と意見していたんですけどね。後半3分にはコケのサイドチェンジからベルサイコがクロス。エリア内からvolea(ボレア/ボレーシュート)でグリーズマンが撃ち込み、無事に2点目を取ってくれたため、「por suerte no lo hemos tenido que necesitar por los tres puntos/ポル・スエルテ・ノー・ノ・エモス・テニードー・ケ・ネセシタール・ポル・ロス・トレス・プントス(幸いウチは勝ち点3のためにPKを必要としなかった)」(フェルナンド・トーレス)のは良かったですよね。

▽え、この日、スタジアムが最高に盛り上がったのは後半13分、グリーズマンに代わって、トーレスがピッチに入った瞬間だったんじゃないかって?そうですね、折しも彼は先週、今季限りでのアトレティコ退団を表明。ファンも事情を汲んでか、お馴染みの「Torres quedate/トーレス・ケダテ(トーレス、残って)」というカンティコ(節のついたシュウレヒコール)こそ、聞こえなかったものの、スタンドは「Fernando Torres lo lo lo lo/フェルナンド・トーレス、ロロロロー」の大合唱となります。そこへ32分にはコレアからのパスをネットに沈めて、El Nino(エル・ニーニョ/子供、トーレスの愛称)がチームの3点目を取ってくれるのですから、まさに最高の“子供の日”だったかと。

▽いえ、シメオネ監督は「Fernando es un icono haciendo goles o no, ganando titulos o no/フェルナンド・エス・ウン・イコノン・アシエンドー・ゴーレス・オ・ノー、ガナンドー・ティトゥロス・オ・ノー(フェルナンドはゴールを決めても決めなくても、タイトルを獲っても獲らなくても偶像だ)」と言っていましたけどね。できれば、「Para mi, cada partido hasta el final va a ser una fiesta/パラ・ミー、カーダ・パルティードー・アスタ・エル・フィナル・バ・ア・セル・ウナ・フィエスタ(自分にとって、最終戦まで全ての試合がフィエスタになるだろう)」という当人には、この日達成したアトレティコでのリーガ1部100得点を少しでも上積みして、有終の美を飾ってほしいですよね。

▽おかげで、いつもながらGKオブラクが完璧なセーブを見せたこともあり、3-0で快勝したアトレティコでしたが、バルサも前日、バレンシアに2-1と勝利していたため、差が縮まることはなし。次は木曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)からアノエタでのレアル・ソシエダ戦で、トマスに代わって、今度はリュカが累積警告となるため、トップチームの頭数に変わりはありません。その後、ホームで彼らを再び見られるのは日曜のベティス戦になるんですが、実はこの週末にワンダで開かれるのはこの試合だけではないんです!

▽そう、土曜にはコパ・デル・レイ決勝のセビージャvsバルサ戦が開催されますからねえ。実はこの日付が決まった折、セレソ会長を始め、2日連続で試合があっても対応可能なクラブの運営力を自慢したかったか、アトレティコはベティス戦を先送りにするのを望まず。とはいえ、3月の各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間)以来、毎週木日と試合が続いているだけに選手たちも若干、お疲れ気味ですし、セビージャ戦が延期となったお隣さんのように、EL準決勝の前にお休みがあった方が、今となっては良かったかもしれませんね。

▽そしてこの日は続いてヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスでエスパニョール戦をキックオフ。いやあ、今季は梯子観戦もよくした私なんですが、さすがに直後の時間帯となると、公共交通機関を使っての移動はムリで、何せメトロ(地下鉄)のエスタディオ・メトロポリターノ駅から、イロイロ乗り継いで、ヘタフェまで行くのは1時間以上かかりますからね。よって、後でサマリーを見るだけになりましたが、いい結果が出てくれました。ええ、後半8分にFKをショートでもらったダミアンが撃ち込んだgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で先制した彼らは、その10分後にはフラミニが2枚目のイエローカードをもらって退場となったものの、最後まで耐え抜いて1-0で勝利。こちらもレガネス同様、2連敗の不調を乗り越えることができたんですが、残念ながら、柴崎岳選手の出場機会はありませんでしたっけ。

▽そんなヘタフェは水曜午後7時30分からアウェイでのバレンシア戦、週末もコリセウムには戻って来ず、土曜午後1時(日本時間午後8時)から、乾貴士選手のいるエイバルのホームで試合となります。この先、彼らのコリセウム開催ゲームもあと4月29日のジローナ戦、5月2週目の週末の兄貴分、アトレティコとのミニダービーだけなので、今季中にマドリッドで柴崎選手のプレーを見たいファンは要注意。日付が合わなければ、ヘタフェのオフィシャルページの予定表(http://getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx、スペイン語のみでもgoogle翻訳などで大体わかる)をチェックして、スタジアムの右奥にある練習場に行ってみるのもいいかもしれません。

▽え、それで日曜最後のカードでラ・ロサレダでマラガと対戦したマドリーはどうだったのかって?いやあ、当日移動したジダン監督のチームだったんですが、予想通り、クリスチアーノ・ロナウドは機上の人とはならず。更にモドリッチとベイルが休養ローテーションに入っただけでなく、クロースやマルセロまでベンチ見学とは、選手が多いチームはまったく羨ましい。ただ、今季はCFのベンゼマが極端なゴール日照りに見舞われているため、無得点のまま、前半も30分近くになると、本当にゴールが入るのか、いささか懸念が出て来たものの、そこに救世主として現れたのはご当地選手のイスコ。

▽エリア近くでゲットしたFKに古巣の選手たちから、苦労してボールを返してもらった後、キャプテン権限でキッカーをやろうかと申し出たセルヒオ・ラモスも断ると、彼の蹴ったボールが弧を描いてスッポリ、ゴールに収まったから、驚いたの何のって。後でマラガがFKを得た際にもスタンドから、「Isco tiralo/イスコ・ティラロ(イスコが蹴って)」というカンティコが湧いていたぐらいだったんですが、実はイスコがマドリーで直接FKからゴールを決めたのはこれが初めて。いえ、もちろんロナウドやベイルがいたら、キッカーをやらせてもらえないせいもあるでしょうけどね。

▽むしろこの才能は夏のW杯スペイン代表で役立ててもらいたいものですが、後半にもマドリーはイスコのアシストでカセミロが追加点を挙げ、リードが2点に。その後はセバージョスやマジョラルら、これまでほとんど出番がなかった若手をピッチに送り、アセンシオとイスコを休ませたジダン監督でしたが、何せ相手はもう、残り全勝したとて、降格が避けられそうもない最下位のマラガですからね。ロスタイムにバジェホがクリアできなかったボールをロランが決めて1点は返したものの、そこでゲームセット。ええ、ホセ・ゴンサレス監督も「Nadie tiene dudas de que el Malaga volvera a Primera/ナディエ・ティエネ・ドゥーダス・デ・ケ・エル・マラガ・ボルベラ・ア・プリメーラ(マラガが1部に戻って来ることに疑いを持つ者はいない)」と2部落ち前提で話していましたし、この1-2の敗戦も淡々と受け止めているようでしたっけ。

▽おかげでバレンシアを追い越し、3位に復帰してマドリーは帰京したんですが、今週の予定は水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)から、サンティアゴ・ベルナベウでのアスレティック戦。当面、ケガ人はナチョしかおらず、ジダン監督もCL準決勝バイエルン戦1stレグまで週末を挟んで丸々1週間空くため、「ローテーションをして、休めるようにしたい。でもno pueden descansar todos/ノー・プエデン・デスカンサール・トードス(全員は休めないだよね)」とどこか余裕でしたが、まあ、相手もすでにブンデスリーガ優勝済みとあって、直前のリーグ戦に主力は使わないでしょうしね。やっぱり私がドキドキするのは25日(水)まで、とっておくことになりそうです。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

2018年4月17日(火)8:35

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