大宮アルディージャVENTUSの柳井里奈監督が、敗れた埼玉ダービーを振り返った。
大宮Vは3月31日、2023-24 WEリーグ第13節のちふれASエルフェン埼玉戦に臨み、1-2で敗れた。
序盤はペースを握り、16分に牧野美優のWE初ゴールで先制したが、徐々に押し返されて42分に失点。試合終了間際の87分に逆転を許した。
両者の対戦は、これが今季4度目。大宮Vはいずれも黒星を喫している(2023年9月2日WEリーグカップ第2節0●2、皇后杯5回戦0●1、WEリーグ第8節0●2)。指揮官もそれを当然承知しており、強い気持ちで臨んだが、再び苦渋をなめることに。「牧野(美優)が決めたところまではすごい良かったんですけど、それから少し後ろが重たくなってしまい、引き込まれてのカウンターで少しリズムを失ってしまいました」と、柳井監督は試合後の会見で悔しそうな表情を浮かべた。
先制したことも含め、前半半ばまでは理想的な展開。「船木(里奈)、仲田(歩夢)を生かしてしっかり押し込みながら、押し込んだ時はサイドバックが、鮫島(彩)にしても杉澤(海星)にしても推進力がある選手なので、しっかり関わっていこうと話していました」との言葉通り、サイドの選手が効果的に関わりながらEL埼玉のウイングバックを押し込んだ。
ただ、「エルフェンさんのプレスの掛け方が変わったところや強度になかなかアジャストできなかった」ことで徐々に重心は下がり、63分には両サイドハーフの交代を含めて手を打ったが、結果には結び付かなかった。クロスの本数は数あっただけに、そこからのフィニッシュ増加や、ポケット攻略のさらなるアイデアが求められる。
今節の敗戦を受け、成績は5勝2分け6敗と黒星が1つ先攻の5位。4位日テレ・東京ヴェルディベレーザとは勝ち点差8に開き、混戦の中位争いに巻き込まれている。
「厳しいお言葉もあると思うんですけど、100%、120%で戦う気持ちを選手は持っています。それは大前提。だけど、それを表現させてあげるのが私の仕事ですし、そこは私の力不足なのかなと思います」と、指揮官自身も難しさを感じている様子だ。
ただ、先制点を挙げた牧野のように、新戦力の台頭という光明もある。最終ラインでは2度の大ケガを乗り越えた久保真理子が新しい風を吹かせている。
久保は2021年、チーム発足のタイミングで東洋大学から加入。だが、同年9月に右ヒザ前十字じん帯部分損傷、復帰後の2022年4月には再び同箇所を損傷して長期離脱を余儀なくされた。
今季の第6節、アルビレックス新潟レディース戦の途中出場、およそ約3年越しのデビューを飾り、中断明け初戦のEL埼玉戦では先発フル出場。今節も最終ラインからのビルドアップや持ち上がりといった持ち味を見せた。
柳井監督も「本当に彼女の努力とメディカルスタッフの努力にはリスペクトしかない」と目を細め、試合中の変化への対応力にさらなる成長を求めながらも、「もともとボランチをこなす選手だったので、他のセンターバックとは違う強みを持っている」と期待を寄せている。
連戦含みの3月を終えたリーグは、代表ウイークのために次節は2週間後。上位を争う新潟Lとの敵地戦で、大宮Vは意地を見せることができるだろうか。
【動画】大宮Vは牧野美優がWE初ゴールもEL埼玉に屈する