★W杯隔年開催が12月に決定か?/六川亨の日本サッカー見聞録

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一部スポーツ紙によると、FC東京が元アーセナル監督のアーセン・ベンゲル氏にアドバイザー的なオファーを出したとあった。ベンゲル氏といえば、元名古屋の監督でチームを天皇杯優勝に導くなどその手腕は高く評価された。

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一部スポーツ紙によると、FC東京が元アーセナル監督のアーセン・ベンゲル氏にアドバイザー的なオファーを出したとあった。ベンゲル氏といえば、元名古屋の監督でチームを天皇杯優勝に導くなどその手腕は高く評価された。

1995年には加茂周監督の後継候補として磐田監督のハンス・オフト氏らとともに名前があがったものの、名古屋が辞退したため実現はしなかった。

そのベンゲル氏だが、すでに71歳を過ぎた。監督ではなくアドバイザーとして招聘し、どのようなメリットがFC東京にあるのかいささか疑問である。

確かにアーセナル時代は“監督業"としてチームを強豪に育て上げただけにとどまらず、若手選手の育成システムの構築やフランス人選手の獲得など“組織改革"にも手腕を発揮した。だからこそ2018年まで22年もの長きに渡って監督を務めた。

あまりプレミアリーグに詳しくないので恐縮だが、以前、「プレミアシップ・マガジン」という月刊誌を創刊した。これは現地で発行されている「Four Four Two」という雑誌と提携して、原稿と写真の提供をうけて発行していた。

そこで知ったのは、プレミアリーグの監督は練習を指導しないということ。練習の指揮を執るのはヘッドコーチの役目で、監督の仕事はスタメンを決めるのと、時には試合後に相手の監督と紅茶を飲むことだった(凄く大雑把ですが)。そういえば、稲本の練習試合(リザーブリーグ)を北ロンドンに見に行った時も監督はいなかった。

そうした土壌にベンゲル監督はヨーロッパ・スタイルを導入して成功を収めた。ところがJのクラブはすでに年齢別のアカデミーが組織されている。FC東京なら毎年のように下部組織から人材が育ち、さらに高校サッカーや大学サッカーからも優秀な選手を獲得している。

そんなクラブにベンゲル氏が来てやることがあるのかどうか疑問でならない。

むしろベンゲル氏と言えば、彼の提唱したW杯の隔年開催の方が気になるところだ。W杯は来年のカタール大会が終われば、次回26年からは48チームに規模を拡大する。そうなれば、日本が予選で負けることはまずないだろう。と同時に、W杯を開催可能な国も限られてくる。

2002年のW杯は日本と韓国と共催だったが、32カ国なら日本単独でも開催できるだろう。しかし48カ国となるとどうなのか。26年はアメリカ・メキシコ・カナダの3カ国による共催だ。たぶん世界的に見ても国土の広さとインフラ環境と経済力からW杯を単独で開催できそうなのはロシア、イングランド、フランス、ドイツ、イタリア(?)、スペイン、日本くらいだろう。

EUROですら2カ国の共催でないと開催できなかった例があり、スイスとオーストリアでの大会は、両国の列車の車輪の幅が違うため、国境を越える移動にはかなりの時間がかかったと聞いた。

こうして肥大化することで開催国が限られる上に、さらに隔年開催を推し進めるジャンニ・インファンティーノFIFA(国際サッカー連盟)会長の狙いがどこにあるのか理解に苦しむばかりだ。当然のことだが、UEFA(欧州サッカー連盟)もCONMEBOL(南米サッカー連盟)も反対することは火を見るより明らかだ。

それでもインファンティーノ会長は「12月までに最終決定を行う」と明言したという。決定方法として、限られた理事によるFIFA理事会で決を取るのだろうか。

JFA(日本サッカー協会)は21日の理事会後に須原専務理事が会見を行い、W杯の隔年開催の決定について「FIFAが日程を発表しました」と報告しつつ、「それに向けて情報を集めているところです。代表チーム、選手、クラブなど多面的な影響が出てきます。過去に例のない提案なので、どう意思決定をしていくのかも含めて法務委員会を含めて議論していきたい」と今後の見通しを話した。

先日の反町技術委員長の会見では、AFC(アジアサッカー連盟)はW杯の隔年開催に賛成のようだ。出場枠が拡大され、出場国には分配金がもたらされるのだから、発展途上国(地域)としては歓迎するだろう。問題は須原専務理事が述べたように、「どう意思決定をしていくのか」だ。

世界各国のFA(サッカー協会・連盟)の投票によるのか、それとも大陸連盟での合議になるのか。可能性としてはFIFA理事会での多数決による決定が高いだろう。なにしろ12月といったら、あと2ヶ月しかないからだ。むしろUEFAやCONMEBOLの反対により、決定が先送りされる可能性に期待したい。

2021年10月22日(金)20:30

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