★【カタールW杯決勝プレビュー】王者フランス連覇か、メッシのアルゼンチン初制覇か? 共に3度目の戴冠狙う本命同士の対戦

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カタール・ワールドカップ(W杯)決勝のアルゼンチン代表vsフランス代表が、日本時間18日24:00にルサイル・アイコニック・スタジアムでキックオフされる。共に3度目の戴冠を狙う本命同士による運命のファイナルだ。

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カタール・ワールドカップ(W杯)決勝のアルゼンチン代表vsフランス代表が、日本時間18日24:00にルサイル・アイコニック・スタジアムでキックオフされる。共に3度目の戴冠を狙う本命同士による運命のファイナルだ。

2018年ロシアW杯を制した王者フランスは、イタリア、ブラジルに続く史上3カ国目となる大会連覇を期して今大会に臨んだ。大会前にポグバ、カンテの中盤コンビ、キンペンベやエンクンク、ベンゼマといった複数の主力を欠くことになったレ・ブルーだが、オーストラリアとデンマーク、チュニジアと同居したグループDを順当に突破。大きくメンバーを落として戦った最終節のチュニジア戦で大金星献上こそしたものの、危なげない首位通過となった。

決勝トーナメントではポーランドを3-1、イングランドを2-1、直近の準決勝では今大会のダークホースとなったモロッコをチュアメニ、コロ・ムアニの2ゴールによって2-0で勝ち切り、2大会連続のファイナル進出を決めた。

前大会で大ブレイクを果たした若きエースのムバッペが得点ランキング1位タイの5ゴール、大会期間中にティエリ・アンリの同国最多得点記録を破ったベテランのジルーが4ゴールと新旧ストライカーコンビが躍動。さらに、大会前に不安視された中盤では大会MVP級の輝きを放つグリーズマンが初出場のラビオ、チュアメニと共にハイパフォーマンスを披露し、守護神ロリスとディフェンスリーダーのヴァランがまとめる守備陣も安定感抜群だ。保守的すぎる采配が不評を買うデシャン監督も準決勝ではテュラムとコロ・ムアニの投入で流れを変える見事な采配をみせ、非常にバランスが取れた形で運命のファイナルを迎えた。

一方、伝説マラドーナを擁したメキシコW杯以来、36年ぶり3度目の優勝を目指すアルゼンチン。昨年のコパ・アメリカを制しメッシのA代表デビュー後初のタイトルを手にしたアルビセレステスは、フィナリッシマで欧州王者イタリアに完勝するなど、公式戦36戦無敗という最高の状態で今大会を迎えた。ポーランド、メキシコ、サウジアラビアと同居したグループCではグループ最弱と目されたサウジアラビア相手に1-2の屈辱の敗戦を喫して連続無敗記録がストップ。それでも、負ければ敗退という崖っぷちの状況で臨んだメキシコ戦、ポーランド戦をいずれもエースの活躍で連勝。最終的には順当に首位での突破を決めた。

決勝トーナメントではオーストラリアを2-1で破ると、オランダ戦では後半終盤の連続失点で2点差を追いつかれて延長戦、PK戦まで持ち込まれたが、守護神マルティネスの活躍でPK戦に勝利。直近の準決勝では難敵クロアチアを相手にメッシとアルバレスの2トップによる3ゴールを守り切って3-0の完勝。地力と勝負強さを発揮して2大会ぶりのファイナル進出を決めた。

ゲームの進め方を含めパフォーマンスに波はあるものの、攻撃面ではムバッペと並ぶ得点ランキング1位タイの5ゴールを挙げるメッシが大黒柱に相応しい活躍をみせ、ラウタロ・マルティネスに代わって相棒役を射止めたアルバレスも初出場で4ゴールと圧巻の活躍を披露。全選手が初出場となった中盤ではデ・パウル、パレデスを軸に、負傷で招集外となったロ・チェルソの穴を新星エンソ・フェルナンデス、マク・アリスターが見事に埋め、攻守両面で多くのタスクをこなす。守備免除のメッシの存在もあって守備はやや安定感を欠くものの、重鎮オタメンディと守護神マルティネスを中心に球際での執念を感じさせる。スカローニ監督の采配に関してはデシャン監督に比べて経験や勝負強さで劣るが、複数のシステムや選手を使い分けながら相手に合わせた戦いができる柔軟性を持っている。

なお、両者の通算戦績はアルゼンチンの6勝3分け3敗。W杯では通算3度対戦しており、アルゼンチンが2勝1敗と勝ち越している。ただ、直近の対戦となる前回大会のラウンド16ではムバッペの2ゴールなどでフランスが4-3の勝利を収めている。

◆アルゼンチン◆
【4-4-2】
▽予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.

GK:マルティネス
DF:モリーナ、ロメロ、オタメンディ、アクーニャ
MF:デ・パウル、パレデス、エンソ・フェルナンデス、マク・アリスター
FW:アルバレス、メッシ

負傷者:なし
コロナ陽性者:なし
出場停止者:なし

出場停止者、負傷者共になし。軽傷を抱えていたデ・パウル、ディ・マリアに関してもスタメンでプレー可能な状態にあるようだ。

システムはクロアチア戦で採用した[4-4-2]の継続を予想したが、ディ・マリアを3トップの一角に配置する[4-3-3]、中盤1枚を削ってリサンドロ・マルティネスをディフェンスラインに置く[3-5-2]を採用する可能性も十二分にある。

スタメンに関してはシステム次第ではあるが、クロアチア戦をサスペンションで欠場したアクーニャがタグリアフィコに代わって左サイドバックに入る以外は同じメンバーの継続とみる。

◆フランス◆
【4-3-3】
▽予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.

GK:ロリス
DF:クンデ、ヴァラン、コナテ、テオ・エルナンデス
MF:グリーズマン、チュアメニ、ラビオ
FW:デンベレ、ジルー、ムバッペ

負傷者:DFリュカ・エルナンデス、FWベンゼマ
コロナ陽性者:なし
出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関しては離脱中のベンゼマとリュカを除き全選手が前日練習に参加しており、少なくともベンチ入りは可能だ。ただ、ウイルス蔓延によって体調を崩していたウパメカノ、ラビオ、コナテ、コマン、ヴァランの5選手に関しては状態が不安視されている。

システムは今大会を通して継続する[4-3-3(4-2-3-1)]の布陣で間違いない。スタメンに関してはコンディションに問題を抱える選手たちの状態次第ではあるが、前述の11人を予想。ラビオとコナテ、ヴァランが難しい場合はウパメカノやフォファナが代役を担う。また、戦術的な判断によってジルーをベンチに置きテュラムをスタートから起用する可能性もある。

★注目選手
◆アルゼンチン:FWリオネル・メッシ
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W杯最多出場、大会得点王と共に悲願達成へ。自身最後のW杯として今大会へ並々ならぬ思いで臨む最多7度のバロンドーラー。加入2年目で心身ともに充実するパリ・サンジェルマンでの好調を引っ提げて迎えた今大会ではPKを失敗したポーランド戦を除く全5試合でゴールを挙げ、最多タイの3アシストと期待通りの活躍を披露している。

今大会期間中にはW杯通算得点でマラドーナ(8点)、バティストゥータ(10点)と、偉大なる同胞の記録を破って同国の単独最多得点者(11点)となった35歳は、準決勝のクロアチア戦で元ドイツ代表ローター・マテウスが持つW杯最多出場記録(25試合)にも並んだ。そして、自身にとってのW杯ラストダンスが新記録更新と共に、悲願の優勝が懸かる大一番となった。

前回対戦時に比べて、チーム力は間違いなく拮抗しており、勝者と敗者を分けるのはディテールの部分となるはずだ。今大会ここまで一度も複数失点なしと、安定感際立つフランス相手に試合を通して多くのチャンスを作るのは困難となるため、絶対的なエースの圧倒的な個の力、決定力がアルゼンチン悲願のカギを握る。多くのフットボールファンが求める以上に熱望するトロフィー獲得のため、世界最高のフットボーラーの本気の本気を期待したい。

◆フランス:FWアントワーヌ・グリーズマン
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チームを連覇に導き大会MVP獲得へ。史上3カ国目となる大会連覇へ王手をかけるレ・ブルーでは、得点ランキングの上位に位置するムバッペとジルー、テオやチュアメニの初出場組が注目を集めるが、最も影響力のある仕事を果たしているのがアトレティコFWだ。

絶対的な存在には至っていないクラブチームとは異なり、デシャン監督から全幅の信頼を受ける31歳はトップ下とインサイドハーフのポジションで完全に自由を与えられており、攻守両面で持ち味である戦術眼と献身性を遺憾なく発揮。

攻撃では中央、サイドと所せましとポジションを変えてライン間でボールを引き出して強力な3トップにチャンスを供給すれば、守備ではシメオネ仕込みの強度、危機察知能力を生かして、時に自陣ボックス内まで下がってピンチの芽を摘む。その攻守のリンクマンを完璧にこなしながら、大会最多3アシストまで記録するスーパーな活躍を見せている。

数字上のインパクトはバルセロナの元同僚や後輩ムバッペに劣るものの、仮に今回の決勝でチームを連覇に導ければ、大会MVP獲得も十二分に考えられる。

この決勝では自身同様に自由を与えられるメッシをうまく消しながら、ハードワークと駆け引きを得意とする相手中盤に対して攻撃の起点となる仕事が求められる。また、代表通算116試合42ゴールを誇り、前回大会では4ゴールを挙げている決定力を発揮したい。

2022年12月18日(日)12:00

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