★【W杯準決勝プレビュー】大会を通して真の優勝候補に成長したタレント軍団による隣国対決!《フランスvsベルギー》

Getty Images
▽ロシア・ワールドカップ(W杯)準決勝、フランス代表vsベルギー代表が10日27:00にサンクトペテルブルク・スタジアムでキックオフされる。準々決勝でウルグアイ、ブラジルと南米勢を退けたフランスとベルギーによる、ファイナル進出を懸けた32年ぶりのW杯隣国対決だ。

記事全文

▽ロシア・ワールドカップ(W杯)準決勝、フランス代表vsベルギー代表が10日27:00にサンクトペテルブルク・スタジアムでキックオフされる。準々決勝でウルグアイ、ブラジルと南米勢を退けたフランスとベルギーによる、ファイナル進出を懸けた32年ぶりのW杯隣国対決だ。

▽グループCを2勝1分けの無敗で首位通過したフランスはラウンド16でアルゼンチンとの壮絶な打ち合いを4-3で制して準々決勝に進出。大会屈指の堅守を誇るウルグアイとの一戦では、前半終盤のFKの場面でFWグリーズマンとDFヴァランが見事に用意してきたセットプレーを決め切って先制に成功。さらに後半にはグリーズマンの強烈なミドルシュートが相手GKムスレラのファンブルを誘い、貴重な追加点を奪取。その後はFWカバーニ不在で迫力を欠いた相手の攻撃陣を圧巻のビッグセーブを見せた守護神ロリスを中心にきっちり撥ね返して2-0の完勝。準優勝を果たした2006年ドイツ大会以来となる3大会ぶりのベスト4進出を決めた。

▽大会前の準備期間やグループリーグでは攻撃面を中心にややチグハグな戦いぶりが目立ったものの、アルゼンチン戦、ウルグアイ戦と大会が進むに連れて調子を上げてきたチームは伏兵パヴァール、超新星ムバッペの台頭、グリーズマンやカンテ、ヴァラン、ポグバらの中堅の安定感も際立ち、今や優勝候補筆頭と言っても差し支えはない。

▽一方、グループGを3連勝で首位通過したベルギーはラウンド16で日本を相手に2点ビハインドを引っくり返す劇的な3-2の勝利で準々決勝に進出。優勝候補筆頭のブラジルとの準々決勝では前半序盤の相手オウンゴールで流れを掴むと、鋭いカウンターからMFデ・ブライネの圧巻のシュートで追加点を奪取。迎えた後半はブラジルの猛攻に晒されたものの、圧巻の存在感を示した守護神クルトワを中心とした守備陣が途中出場のMFレナト・アウグストに決められた1点のみで抑え切って2-1の勝利。1986年のメキシコ大会以来、32年ぶりのベスト4進出を果たした。

▽グループリーグではパナマ、チュニジアに大勝した一方、ラウンド16の日本戦であわや敗退の危機に晒されるなど、今大会屈指のタレント軍団という評判に相応しい戦いぶりを見せられていなかった。しかし、日本戦での大苦戦をキッカケにマルティネス監督がシステムを含め戦い方に大きな変化を加えたことで、ブラジル戦ではポジションを1列上げたデ・ブライネの躍動など、多くのポジティブな要素が出てきている。このブラジル戦のパフォーマンスを継続できれば、大会初優勝も夢ではない。

▽両チームの通算対戦成績は隣国という事情もあり通算73回を数え、フランスの24勝30敗19分け。直近は2015年6月のフレンドリーマッチでフェライニの2ゴールにナインゴラン、FWエデン・アザールのゴールによってベルギーが4-3で打ち合いを制している。なお、W杯では1938年のフランス大会、1986年のメキシコ大会で2度対戦しフランスが共に勝利。奇しくも、メキシコ大会は3位決定戦での対戦となっており、ベルギーにとっては同大会がW杯最高位だった。

◆フランス◆
【4-2-3-1】

▽フランス予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.
GK:ロリス
DF:パヴァール、ヴァラン、ユムティティ、リュカ
MF:カンテ、ポグバ
MF:ムバッペ、グリーズマン、マテュイディ
FW:ジルー
負傷者:なし
出場停止者:なし

▽負傷者、出場停止者ともにいない。逆に、サスペンションでウルグアイ戦を欠場したマテュイディが復帰する。

▽システムに関してはマテュイディ不在だったウルグアイ戦はグリーズマンをトップ下に配した[4-3-1-2]に近い変則的な布陣で戦ったものの、マテュイディ復帰に伴い[4-2-3-1]に戻してくるはずだ。

◆ベルギー◆
【4-3-3】

▽ベルギー予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.
GK:クルトワ
DF:シャドリ、アルデルヴァイレルト、コンパニ、ヴェルトンゲン
MF:フェライニ、ヴィツェル、デンベレ
FW:デ・ブライネ、ルカク、アザール
負傷者:なし
出場停止者:DFムニエ

▽負傷者はいないが、ブラジル戦で今大会2枚目の警告を受けたムニエが累積警告によって出場停止となる。

▽システムとスタメンに関しては替えが利かないムニエの不在によってマルティネス監督は難しい選択に迫られている。ブラジル戦ではサイドバックとウイングバックでプレー可能なムニエの立ち位置を変えることで、守備時[4-3-3]、攻撃時[3-4-3]の可変システムを採用した。しかし、現状のスカッドで同じ戦い方をするのは難しい。

▽その中で攻守に最もバランスが取れそうなのが、シャドリを右サイドバックに配し、中盤の強度を上げられるデンベレ(ティーレマンス)を入れた[4-3-3]。堅守速攻を全面に押し出す場合は3バック、4バックに限らずムニエの代役にアルデルヴァイレルトを置き、ボヤタかヴェルメーレンをセンターバックに置く形。攻撃的に戦う場合は、シャドリとカラスコを両ウイングバックに起用する形が想定される。マルティネス監督がいずれの選択肢を選ぶにしても勝敗を大きく左右する用兵となりそうだ。

★注目選手
◆フランス:FWオリヴィエ・ジルー
Getty Images
▽フランスの注目プレーヤーは前線で主軸を担うジルーだ。今大会エースストライカーが背負う9番を着用してここまでの全試合に出場しているジルーだが、ここまでノーゴールのうえに放ったシュート7本中枠内シュート0本とストライカーに求められる決定的な仕事ができていない。それでも、ペルー戦とアルゼンチン戦でムバッペのゴールをお膳立てするなど利他的なプレーで周囲のアタッカー陣の良さを引き出している。加えて、前線での起点作りやグリーズマンとの連動した前線からの献身的な守備とその仕事量は多い。

▽とはいえ、難敵ベルギーとの準決勝に向けてはこれまで以上の接戦が予想されるだけに今大会初ゴールが期待されるところだ。ベルギーの守備陣は守護神クルトワ、ヴェルメーレンの新旧同僚に、コンパニやヴェルトンゲン、アルデルヴァイレルトとプレミアで鎬を削るライバルが中心を担っており、互いに特徴を知り尽くしている。その相手に対してムバッペやグリーズマンの助けを借りながら何とか出し抜きたいところだ。

◆ベルギー:DFヤン・ヴェルトンゲン
Getty Images
▽ベルギーの注目選手は最終ラインの要であるヴェルトンゲンだ。今大会、イングランド戦を除く4試合に出場し自身が持つ代表歴代最多出場記録を106試合に更新してきた31歳DF。3バックの左で攻守に安定感際立つパフォーマンスを見せると、直近のブラジル戦ではチームが可変システムを採用した中、左センターバックとサイドバックを兼任し、マッチアップしたウィリアン、ドグラス・コスタという難敵相手に奮闘を見せた。

▽今回のフランス戦に向けては前述の2つの起用法、あるいは左のウイングバックでの起用が見込まれる。だが、マルティネス監督から最優先事項として求められるタスクは相手のキーマン、怪物ムバッペへの対応だ。今大会では爆発的なスピードと優れた足下のテクニックを武器に緩急自在の仕掛けで多くの名ディフェンダーたちを翻弄してきた末恐ろしい19歳を相手に、ヴェルトンゲンがどこまで耐えられるかがベルギー勝利のカギを握る。幸い、利き足こそ逆だが、同程度のスピードと突破力を誇るドグラス・コスタを相手に“予習”をしており、そのときの感覚をうまく生かしたい。

2018年7月10日(火)12:00

mixiチェック
LINEで送る
戻る
© livedoor