無観客試合の開催や各大会の延期や中止など、特別のシーズンとなった2020年のサッカー界。それでも、フットボーラーたちはピッチ内外で思わず唸るようなスーパープレーの他、クスッとさせてくれる小ネタも提供してくれた。
今回は2020年の好プレーを1月から順に紹介!2020年11月の好プレーは、オーランド・シティのアルゼンチン人DFロドリゴ・シュレーゲルが見せた“セーブ”だ。
それは11月21日に行われたMLSカップのカンファレンス準々決勝でオーランド・シティvsニューヨーク・シティFCでの出来事。MLSカップは年間王者を決めるMLSのプレーオフ。その初戦で両チームは激突した。
オーランド・シティは5分に元ポルトガル代表FWナニがPKを決めて先制。しかし、ニューヨーク・シティFCも8分にDFマクシム・シャノがゴールを奪い、1-1のタイスコアとなった。
その後はスコアが動かないものの、激しさを増す試合。オーランド・シティは87分にDFルアンが退場に。数的不利になりながらも延長戦でも粘り強く戦い、勝負はPK戦にもつれ込んだ。
そのPK戦では先行のニューヨーク・シティFCの1人目、モラレスがクロスバーに直撃させてしまい失敗。その後は互いに成功を重ね、ニューヨーク・シティFCの5人目のバレンティン・カステジャーノスがシュート。これを、GKペドロ・ガジェセが横っ飛びでセーブ。オーランド・シティの勝ち上がりが決定した。
監督はピッチサイドを駆け巡り、ベンチの選手も飛び出した中、主審が耳元に手を。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入し、ガジェセがシュートの前にラインを出ていたことが判明。このPKがやり直しとなった。
しかし、そこでこの話は終わらず、ガジェセにはイエローカードが提示されたが、遅延行為ですでに1枚もらっていたために退場に。控えGKであるブライアン・ロウを投入し、やり直しのPKの準備に入った。
救われたカステジャーノスだったが、なかなか蹴り出さない。すると主審が引き続きなにやら指示を受けている状況。なんとこの交代が認められず、途中出場していたDFロドリゴ・シュレーゲルがPK戦でGKを務めることになってしまったのだ。
当然急造GKであるシュレーゲルの動きはぎこちなく、カステジャーノスは難なくPKを成功。それでもオーランド・シティは最後にキッカーであるナニが決めれば勝利だったところ、なんとナニのシュートがセーブされてしまい失敗に。サドンデスに入り、オーランド・シティは万事休すの状態となった。
6人目はともに成功。失敗するのを待つしかないような状況となったなか、急造GKシュレーゲルが奇跡を起こした。7人目、グドムンドゥル・トラリンソンが右上を狙った強烈なシュートを見舞うが、完璧なコースへのシュートをまさかのシュレーゲルが完璧にセーブ。一気に盛り上がるオーランド・シティはすでに勝ったかのような喜びを見せた。
なお、オーランド・シティの7人目のベンジ・ミシェルがしっかりと決めてオーランド・シティは勝利。カンファレンス準決勝に駒を進めた。
◆急造GKが見せた完璧なセーブ!
◆優勝したかのような歓喜