★冨安欠場も日本にとってラッキーなのは?/六川亨の日本サッカー見聞録

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まさかまさかの、CB冨安健洋の代表辞退だった。

きっかけは昨年12月18日のリーズ戦で右ふくらはぎを負傷したため、年内の公式戦2試合を欠場した。

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まさかまさかの、CB冨安健洋の代表辞退だった。

きっかけは昨年12月18日のリーズ戦で右ふくらはぎを負傷したため、年内の公式戦2試合を欠場した。元日のマンチェスター・C戦で復帰したものの、その後の公式戦も再びベンチ入りメンバーから外れた。しかし、20日のリバプールとのリーグカップ準決勝第2戦で先発フル出場を果たし、森保一監督も「プレーは可能だと思う」と話していた。

しかし強行出場のツケは大きく、中国戦とサウジアラビア戦の欠場が決定。森保監督は急きょ中谷進之介を追加招集した。

守備はもちろんだが、攻撃においても、引いた相手に対して意表を突いたタテパスなどビルドアップで貢献した吉田麻也と、正確なサイドチェンジで局面を打開した冨安の不在は大きいと言わざるを得ない。

特に32歳のベテランである吉田の後継者を育成してこなかった森保監督の、リスク管理能力を問う声も一部にあるかもしれない。しかし最終予選初戦で敗れたオマーン戦の植田直通のように、吉田を超える存在がなかなか出てきていないのも現実だろう。

そして2人の代役である。これまでの序列を重視する傾向がある森保監督のため、右のCBは過去16試合出場の植田が濃厚だろう。そして左はレフティーとなると必然的に板倉滉ということになる。谷口彰俉、中谷ら“国内組"にはない経験値があるのもアドバンテージだ。

さらに板倉なら、状況に応じて([4-3-3]を想定して)1ボランチの遠藤航とのポジションチェンジによるビルドアップや、ゴールが欲しい時は植田、遠藤との3バックで酒井宏樹と長友佑都を1列前に出すシステム変更にも対応できるユーティリティ性がある。

負けが許されない最終予選での、吉田と冨安の負傷によるリタイアは確かに痛い。しかし、これは今回の日本に限らず避けて通れないアクシデントでもある。

そして日本がまだ“ラッキー”と思えるのは、再開される最終予選の初戦が中国ということである。

日本に伝わってきている報道によると、中国の選手は昨年9月から合宿状態で、年末には国内リーグを戦うなど、疲労が懸念されている。さらに国籍を変更した元ブラジル人選手もオフからの合流で、コンディションは万全ではないようだ。

日本としては、急造のCBコンビとなる。さらに最終予選での初戦は海外組のコンディションがベストとはほど遠く、昨年のオマーン戦とサウジアラビア戦は苦戦した。そう考えると、中国戦は勝点3を奪うのはもちろんだが、最終予選の“天王山”とも言えるサウジアラビア戦に向けて「調整試合」にすることもできるのではないか。

サウジアラビアは27日にホームでオマーンと対戦後に来日する。当然、時差ボケなどコンディションは万全ではないはず。ホームという“地の利”も含め、そう悲観する必要はないと思うのだがいかがだろうか。

2022年1月25日(火)17:00

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