★正念場のサウジ戦は勝利が絶対条件/六川亨の日本サッカーの歩み

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27日のW杯アジア最終予選の中国戦、後半の手元の温度計は5・8度と底冷えする寒さ。そして試合も勝つには勝ったがその内容は“お寒い"ものだった。

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27日のW杯アジア最終予選の中国戦、後半の手元の温度計は5・8度と底冷えする寒さ。そして試合も勝つには勝ったがその内容は“お寒い"ものだった。

日本はこの日の勝利で5勝2敗の勝点15で2位をキープ。しかしオーストラリアもベトナムに4-0で勝ったため4勝2分け1敗の勝点14で3位は変わらず。得失点差は日本の+4に比べ+9とその差を広げた。そして首位のサウジアラビアはオマーンにしぶとく1-0で勝って勝点を19に積み上げた。

この日の結果、勝点0のベトナムはもちろん、勝点5の中国も残り3試合を全勝しても勝点14止まりで、オーストラリアとは得失点差-15のため、プレーオフ圏内の3位はほぼ絶望的。かろうじて勝点7のオマーンが残り全勝(3勝)で勝点16に届くといったところだ。

最終予選の組分けが決まった時は、「アウェーのオーストラリア戦(3月24日)を引き分ければカタールW杯出場が決定かな」と思ったが、そんなに甘いものではなかった。

初戦のオマーンに0-1で敗れたのは想定外だったが、前回も初戦でUAEに敗れながらも予選を突破した“成功体験"があった。ところが第2戦の中国戦も1-0の辛勝。そしてサウジアラビアには柴崎の信じられないパスミスから0-1と早くも2敗目を喫したことで、にわかに前途に暗雲が立ちこめてきた。

背水の陣となったホームのオーストラリア戦は相手DFのクリアミスから田中碧の先制点とOGもあり2-1の勝利を収めた。その後もベトナム、オマーン、中国との試合を伊東の3試合連続ゴールなどで制して4連勝でサウジアラビアに食らいついているのが現状だ。

そして2月1日はホームでサウジアラビアとの決戦が控えている。ただし、この試合に勝っても勝点1差の2位に変わりはない。逆に敗れたりすれば、その時点でサウジアラビアは勝点が22となり、日本が残り2試合を連勝しても勝点21止まりでサウジアラビアの2位以内、つまりはW杯出場が決まる。

日本のその次の相手はアウェーでのオーストラリア戦。彼らが2月1日にオマーンに勝つと勝点は17になり、勝点15の日本との試合は最悪負けなければいいという計算も可能だ。彼らの最終戦の相手はすでにW杯出場を決めているサウジアラビア。モチベーションの低い相手に勝てばもちろん、引き分けても得失点差で日本をリードしているだけに、余裕を持って臨めるだろう。

当初は、日本の最終戦はベトナムが相手だけに、万が一オーストラリアやサウジアラビアとの争いがここまでもつれても、彼らは3月29日に直接対決でつぶし合う。このため日本は得失点差を考えながら翌30日の試合を進められると高をくくっていたものだ。

そんな皮算用が吹き飛ぶ緊急事態に森保ジャパンは陥っている。そんな大事な試合に吉田と冨安のCBコンビを欠き、攻撃のジョーカーとして期待の三笘もケガで不参加だ。巡り合わせの不運を森保監督ならずとも嘆きたくなるだろう。

ただ、ものは考え用。例えサウジアラビアに敗れても、3月24日のアウェー・オーストラリア戦に勝てば自力での2位確保は可能で、最終戦に勝てばストレートインできる。そしてもしもオーストラリアの後塵を拝したとしても、3位なら5~6月に予定されているアジアプレーオフに出場できる。

グループAはすでにイランが本大会出場を決め、韓国が2位につけている。このため相手はUAEが濃厚だが、この一発勝負を突破すれば、南米5位との大陸間プレーオフ(6月中旬にカタールで開催予定)がある。少し遠回りになるが、W杯出場の可能性は残されていると思えば、そう悲観的になる必要はない。

その前に、まずは総力をあげてサウジアラビアを叩くこと。そしてアウェーとはいえオーストラリアから勝点3を奪うことだ。そのためには、“年功序列"にとらわれない選手の招集と起用を指揮官には期待したい。

2022年1月31日(月)6:40

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