★日本代表への閉塞感/六川亨の日本サッカー見聞録

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やはり「いつもと同じメンバー」ということなのだろう。来週24日のW杯最終予選のオーストラリア戦と29日のベトナム戦に臨む日本代表のメンバーが発表されたが、人選に関してのネット上でのトピックは皆無に等しい。

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やはり「いつもと同じメンバー」ということなのだろう。来週24日のW杯最終予選のオーストラリア戦と29日のベトナム戦に臨む日本代表のメンバーが発表されたが、人選に関してのネット上でのトピックは皆無に等しい。

ファン・サポーターにしてみれば、「いつものこと」と受け止められているのかもしれないし、森保一監督からすれば「じゃあ他に誰がいるんだ」と叫びたいのかもしれない。

負傷で招集が危ぶまれた大迫勇也はACLのプレーオフ、メルボルン・ビクトリー戦で2ゴールと結果を残した。彼の代わりにドバイカップに臨むU-21日本代表に選出された鈴木唯人(清水)や荒木遼太郎(鹿島)を呼んだとしても、批判が集中することは想像に難くない。

記者会見では、たぶん鹿島に復帰したストライカーとの確執を問う質問も出たが、彼にしても周囲を納得させるだけの結果を残したとは言い難い。

FC東京では右SBのバックアッパーになっている長友佑都にしても、日本代表で彼の後継者として32歳のベテラン佐々木翔や、サウジアラビア戦では簡単に飛び込んで抜かれていた中山雄太、さらには旗手怜央では心許ないということなのだろう。

いま現在の日本代表は、目標としているベスト8進出はともかくとして、W杯に出場することは最低限のノルマである。そうである以上、森保監督にとってメンバー選考はもちろんのこと、戦術的にも冒険はできない。かくして日本代表は「善し悪し」は別にして“閉塞感”の漂う人選になってしまうのは致し方ないと言わざるをえないだろう。

肝心のオーストラリア戦だが、(1)勝てば7回連続のW杯出場が決まる。(2)引き分けなら最終戦のベトナム戦での勝利と得失点差の争いになる。そして万が一、(3)敗れるようなら3位に転落し、最終戦の結果次第でプレーオフに回る可能性もある。

問題は(3)のケースで、最悪を反町技術委員長は想定しているかどうかだ。彼の役割は、代表チームをバックアップすると同時に、監督を査定することも含まれているはず。

それを考えると、自分自身、悔やまれることがある。東京五輪で「メダル獲得」を目標に掲げながら3位決定戦で敗れたのだから、監督交代を強く主張するべきだったということだ。当時は、「まあ五輪だから、選手の成長を促せればいい。大事なのはW杯」と思っていた。

しかし、改めて振り返ると森保監督は、18年の監督就任後、2度のU-23アジアカップ、釜山でのEAFF E-1選手権、UAEでのアジアカップなど、アジアの主要大会で一度も優勝という結果を残していない。それでも監督を続けられたのは、東京五輪でメダルを獲得するためにチームの熟成という「エクスキューズ」があり、サッカー協会やメディアを含めた外部の「寛容」があったからだろう。

人間的に素晴らしいキャラクターであることは、彼と接した人のすべてが感じているはずだ。しかし監督という勝負の世界では結果が問われる。オーストラリア戦は日本サッカー界の将来と、森保監督の力量が問われる一戦になる。それは、サポートと査定を兼ねる反町技術委員長も同じであるし、万が一、オーストラリアに敗れるようなことがあれば、田嶋会長も緊急事態に備えなければならないことは言うまでもない。

2022年3月17日(木)21:25

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