★日本代表に柴崎岳の居場所は?/六川亨の日本サッカーの歩み
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3月27日、日本代表がオーストラリアから帰国して2日後の練習だった。会場が第1カッターフィールド(秋津サッカー場)から高円宮記念JFA夢フィールドに変更されたため、取材も冒頭の15分からフルオープンに変わる可能性が高いと判断して行くことにした。
3月27日、日本代表がオーストラリアから帰国して2日後の練習だった。会場が第1カッターフィールド(秋津サッカー場)から高円宮記念JFA夢フィールドに変更されたため、取材も冒頭の15分からフルオープンに変わる可能性が高いと判断して行くことにした。
ところが、いつも代表の取材に来ているフリーランスの同業者を始め、テレビクルーの数も少ない。やはりW杯予選を突破したからなのだろう。これがもし、オーストラリア戦を0-0で引き分けて、最終戦の結果次第で日本とサウジアラビア、オーストラリアの3チームのうち2チームがW杯に出場できるという状況だったなら、テレビのワイドショーも連日のように日本代表の練習を取材したかもしれない。
29日のベトナム戦は地上波で放映されるだけに、ファン・サポーターはもちろんのこと、普段はサッカーに興味のない人々の注目度もかなり高まったことだろう。そう考えると、1試合を残してW杯予選を突破したことは、安心すると同時に“もったいなかった"と感じてしまった。
海風のため、肌寒さを感じた取材だったが、スモールフィールドのゲームでは、相変わらず柴崎岳の巧さを感じた。背筋をピンと伸ばし、柔らかいワンタッチで味方にパスを供給する。彼とボランチを組んだのは原口元気で、DF陣は右から山根視来、吉田麻也、谷口彰俉、中山雄太、前線は右から久保建英、上田綺世、三笘薫で、トップ下は旗手怜央という組み合わせ。
たぶん29日のベトナム戦のスタメンに近い布陣だろう。前線の3人は「わくわく感の高い」メンバーだ。同時に、「やはり柴崎は4-2-3-1でしか使うことが難しい選手ではないか」と感じてしまった。
南アW杯で岡田武史監督が採用したゼロトップ以降、アルベルト・ザッケローニ監督ら歴代代表監督は長らく4-2-3-1を採用してきた。しかし森保一監督は後のないホームのオーストラリアで4-3-3を採用して成功を収めた。
前線からのプレスと強度の高い中盤による4-3-3はJリーグでも主流になりつつある。このため中盤の3選手は攻守にハードワークを求められる。ロシアW杯のベルギー戦で、まるで計ったようにDFの足先にパスを通して原口のゴールをアシストした柴崎のような、“ファンタジスタ"が生き残れる場所は少なくなりつつある。それはそれで、寂しい限りだ。
柴崎自身は28日の会見で「代表チームでプレーできることは常に誇りに思っています。これからまたW杯出場が決まって、近々相手も決まるので(4月2日の0時から抽選会がスタート)、相手によってメンバー構成も変わると思います。そのメンバーに入れるよう努力したい」と意気込みを話した。
しかし、森保ジャパンのベースが4-3-3なら柴崎が活躍できるポジションを見つけられない。それは3-4-3だろうと4-2-3-1だろうと変わらないだろう。そんな柴崎は、94年アメリカW杯のノルウェー戦で、アリゴ・サッキ監督から交代を命じられたロベルト・バッジョの姿と重なってしまう。
果たして柴崎は森保ジャパンで生き残れるのか。そして出場する可能性の高いW杯最終予選、29日のベトナム戦がラストゲームとなるのか。ここまで出番のなかったGK川島永嗣ともども、気になる夢フィールドでの取材だった。
2022年3月28日(月)21:30