エルヴェ・ルナール監督の下で新たな船出を迎えたフランス女子代表が、好スタートを切った。
フランス女子代表は一部の選手と前コリーヌ・ディアクル監督との間に軋轢が生じ、主将DFワンディ・ルナールらがボイコットする事態にまで発展。事態を重く見たフランスサッカー連盟(FFF)は3月9日に同監督の解任し、30日にエルヴェ・ルナール監督(54)の就任を発表した。
ルナール監督は、ガーナ、ザンビア、アンゴラ、コートジボワール、モロッコと代表チームを率いた他、ソショーやリールなど、これまでフランスのクラブも指揮。2019年7月からはサウジアラビア代表の監督に就任し、カタール・ワールドカップ(W杯)初戦ではアルゼンチン代表を相手に1-2で勝利する番狂わせを演じていた。
ルナール監督とサウジアラビア代表の契約は2027年まで残っていたが、双方合意の上で契約を解除。7月に開幕を控えるオーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)まで時間がない中、新指揮官は母国のために男気を見せた。
本大会へ向けた強化試合を行ったフランスは7日にコロンビア女子代表と対戦し、0-2のビハインドから大量5得点を奪っての大逆転勝ち。11日には東京オリンピックの金メダルチーム、カナダ女子代表相手にも2-1で勝利を収めた。
メンバーには前監督との確執が影響で代表引退を発表していたキャプテンのDFワンディ・ルナールも再招集され、同じく代表を離れることになっていたエースのFWウジェニー・ル・ソマーも2年ぶりに代表へ復帰。これについてルナール監督はフランス『レキップ』で「(ル・ソマーに)電話したのは彼女を信じているからだ」とコメント。2戦ともに先発起用されたストライカーは、コロンビア戦で見事2ゴールを記録し、指揮官の期待に応えている。
また、ルナール監督は選手が赤ちゃんを連れて代表活動に参加することにも賛同。出産後初招集となったリヨンMFアメル・マイリは、生後9カ月の娘のマリアムちゃんを連れて活動に参加したが、指揮官は今回の同伴実現を歓迎した。
さらにFFFによれば、『W9』で放送されたカナダ戦は、約140万人の視聴者 (視聴率6.8%)を記録したとのこと。これはW杯や欧州選手権を除くと、メディアメトリーが視聴者数を記録し始めた2012年以降、フランス女子チームにとって最高数になったとのことだ。
ルナール監督はカナダ戦後、「この9日間は素晴らしいものだった」とコメント。新チームでのW杯制覇へ向け、高揚感を覗かせた。
「難しい側面もあったが、内容には満足している。我々はゲームを支配し、違いを生み出すことができたが、避けられたかもしれないが最終的にはプレッシャーに晒されることになった」
「ただ、犯してはならないミスであっても、それはサッカーの一部。このコースは素晴らしかったし、女子の選手たちは素晴らしかった。私は彼女たちを祝福し、すべてのスタッフと同様に感謝している。この9日間は素晴らしいものだった。一緒に旅をして、さらなる高みを目指すために、この結束を維持していきたいね」
大きな注目を集めることになったフランス女子代表。本大会直前の指揮官交代は衝撃を持って報じられたが、災い転じて福となりそうだ。
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