VARの判定を巡り、明確に批判する発言をしたことで処分の可能性があったアーセナルのミケル・アルテタ監督だが、お咎めなしとなった。
問題の事象が起きたのは11月4日、アーセナルがニューカッスルと対戦した試合だ。
上位対決となったこの試合。1-0でニューカッスルが勝利していたが、アントニー・ゴードンのゴールには様々な疑問が投げかけられた。
ボールがゴールラインを割った可能性、FWジョエリントンのDFガブリエウ・マガリャンイスに対するオフェンスファウル、ゴードンのオフサイドの可能性という3つの事象がVARによって検証されたが、最終的にニューカッスルのゴールが支持された。
しかし、この決定について試合後にアルテタ監督は「このゴールが認められることは、絶対に恥ずべきことだ」、「恥ずかしいことに、私はこの国に20年以上住んでいるが、これは世界最高のリーグと形容するには程遠いレベルだ」などと、同試合でのレフェリングを痛烈に非難。クラブもこの発言を支持する声明を発表していたが、イングランドサッカー協会(FA)に告発されていた。
この発言は侮辱や試合に悪影響を与える可能性があるとされ、処分は免れられないと見られていたが、独立委員会は該当することが証明できないとした。
今回の処分なしとなった理由は、様々な観点から見られてのものとなった。
1つはアルテタ監督が使った言葉は、スペイン語と英語で意味が異なり、「不名誉」、「軽蔑」という英語の意味よりも、スペイン語の単語には「不運」、「悲劇」というニュアンスが強く、侮辱には当たらないとされたこと。また、「必要な基準を下回っている」ためにPGMOL(ププレミアリーグのプロ審判協会)とVARの改善のために「多大な努力」を行ってきており、試合の2日前にもPGMOLとの会議に出席していたが、「全くもって生産性がない」ことが証明されてしまった。
さらに、VARの誤審が相次いでおり、有識者やその他の選手や監督、ファン・サポーターも多くの批判的な意見を持っている中、アルテタ監督の発言が悪影響を与えることはないと判断。公然の事実であることも処分に至らない理由だという。
加えて、ニューカッスルのジョー・ウィロックがボールがラインの外に出ていたことをアーセナルの選手たちに話していたことも明らかになっている状況だ。
そして大きな問題が1つあったことは、告発されていない他の監督と同様に「強調された言葉」を使用したにもかかわらず、影響力があるとしてアルテタ監督だけ告発されたことも問題視され、結果として処分なしとなった。
【動画】アルテタ監督が怒りを爆発させたゴール…3つの事象が全て微妙な判定に