ヨーロッパリーグ(EL)ラウンド16の1stレグが7日に開催される。ELグループステージ首位通過8チームと、プレーオフ通過8チームで争われるラウンド16初戦の展望を、注目カードを中心に紹介していく。
◆ELラウンド16 1stレグ
▽3/6(水)
スポルティングCP 1-1 アタランタ
▽3/7(木)
《26:45》
スパルタ・プラハ vs リバプール
ローマ vs ブライトン
カラバフ vs レバークーゼン
《29:00》
フライブルク vs ウェストハム
ミラン vs スラビア・プラハ
マルセイユ vs ビジャレアル
ベンフィカ vs レンジャーズ
◆守田&堂安はリベンジマッチ、遠藤は格下と対峙
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今ラウンドにはMF遠藤航、MF守田英正、MF三笘薫、MF堂安律、GK小久保玲央ブライアンと5人の日本人選手が参戦する。なお、三笘は腰のケガで長期離脱中だ。
いずれもプレーオフを制して今ラウンド進出の守田のスポルティングCPと堂安のフライブルクは、グループステージで首位通過を譲ったアタランタ、ウェストハム相手にリベンジを狙う。
交通やセキュリティ上の問題によって同じリスボンに本拠地を置くベンフィカとの同日開催が困難なため、1日前倒しでホームでの初戦に臨んだスポルティングは、1-1で引き分けた。
この試合に先発出場した守田は2ボランチの一角で84分までプレー。攻撃ではシンプルにボールを捌きつつ、守備では自陣低い位置まで戻ってディフェンスラインをサポートするなど攻守にハードワークをこなした。
試合はオープンな展開が続いた前半の17分にFWパウリーニョが先制点を挙げてスポルティングが良い入りを見せたが、ここからギアを上げたアタランタに前半終盤の39分にFWスカマッカのゴールで追いつかれる。後半はアタランタ優勢の時間帯が続いたが、GKイスラエルの再三の好守もあってイーブンの状況で初戦を終えた。
一方、フライブルクはグループステージで連敗した昨季のカンファレンスリーグ(ECL)王者相手にリベンジを期す。RCランスとのプレーオフを延長戦の末に劇的に制して勢いに乗るシュトライヒのチームは、直近のバイエルン戦で2-2のドローに持ち込むなど勝負強さは健在。今回のリベンジマッチにも臆せず臨みたい。
ただ、対戦相手のハマーズはモイーズ監督の更迭の可能性も報じられる大不振に陥っていた中、直近2試合ではFWボーウェンらアタッカー陣、自慢のセットプレーを軸にゴールを量産しての2連勝と復調気配を示しており、難しい試合になることは間違いない。主力を担う堂安はチームが3バックと4バックを併用する中、右のサイドハーフかウイングバックでの起用が見込まれており、守備ではMFクドゥスあるいはMFパケタへの対応、攻撃では対面のDFエメルソンやDFアゲルドら同じ左利きの選手たちとのマッチアップで優位性をもたらす仕事が求められる。
遠藤が所属する優勝候補筆頭のリバプールは、チェコの強豪スパルタ・プラハという比較的与しやすい相手との対戦となる。チームとしては敵地での初戦で勝負を決めたいところだが、今週末のプレミアリーグではマンチェスター・シティとの重要な首位攻防戦を控えており、幾つかのポジションでターンオーバーを行う可能性が高そうだ。
ただ、今回の遠征メンバーには負傷明けのエースFWサラー、直近の試合で復帰した遠藤、FWヌニェス、MFソボスライといった主力も招集されており、クロップ監督はMFクラークやMFマコーネル、FWクーマス、DFクアンサーら若手を組み込みつつ、5枚の交代カードで各自のプレータイムをコントロールしながら戦う見込みだ。遠藤に関しては先発、途中投入のいずれの可能性も考えられるが、持ち味のデュエルで中盤を制圧したい。
三笘が不在となるブライトンは、昨季準優勝チームのローマと対戦する。初参戦で見事にグループステージ首位通過を決めたブライトンだが、年明け以降は多くの負傷者の影響もあって低迷。直近の公式戦3試合は1分け2敗と厳しい戦いが続く。三笘やMFマーチ、FWジョアン・ペドロらの不在の影響もあって3バック、4バックの併用に加え、各選手の立ち位置に変化を加えるなど戦術家デ・ゼルビの試行錯誤が続くが、そのトライが機能していない印象だ。苦手とするアウェイゲームでは守備的に戦う選択肢がないだけに、FWアディングラやFWウェルベックらを軸に打ち勝つための決定力が重要となりそうだ。
対するローマはシーズン途中にモウリーニョ監督からデ・ロッシ監督への指揮官交代を敢行した中、その新指揮官の下で戦ったプレーオフはフェイエノールトをPK戦の末に破って16強入りを決めた。また、セリエAでは絶好調インテルに完敗したものの、それ以外では全勝と新指揮官の勝負強さ、手腕が光る。ブライトン同様にアウェイの戦いをやや不得手としており、初戦で十分なアドバンテージを手にしたいチームとしては相手にボールを握られる展開の中でFWルカク、FWディバラを起点としたカウンター、得意のセットプレーが勝利のカギを握る。
小久保の所属するベンフィカは、一昨季の準優勝チームであるレンジャーズと対戦。スカッドの質を考えれば、スコットランドリーグ首位相手にも優勢に試合を進められる可能性は高い。ただ、直近のリーグ戦ではライバルのポルトとのアウェイゲームで屈辱の0-5の惨敗を喫して首位陥落となっており、その敗戦の影響は気がかりだ。怒れるホームサポーターを前にリバウンドメンタリティを示すか、ショックを引きずって難しい戦いを強いられるか、メンタル面でのタフさが試される。
◆ミラン&レバークーゼンにマルセリーノは因縁の古巣対戦
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日本選手所属クラブ以外では今季未だ無敗を継続するレバークーゼン、優勝候補ミランの戦いに注目が集まる。
シャビ・アロンソ監督の下でブンデスリーガ初優勝を含めシーズン3冠の可能性を残すレバークーゼンは、グループステージで連勝したアゼルバイジャンの強豪カラバフとの再戦となった。敵地での前回対戦はFWボニフェイスの後半終盤のPKで勝ち切る1-0の辛勝となったが、ホームでは5-1で大勝した相手だけに、よもや足をすくわれる可能性は低い。今週末のリーグ戦も不調のヴォルフスブルクが相手だけに、この一戦にある程度全力を注げるはずだ。もちろんターンオーバーの可能性もあるが、ゴールとアシストで強烈なインパクトを残すグリマルドとフリンポンの両ウイングバックの活躍に注目だ。
コッパ・イタリア敗退に加え、セリエAでは首位のインテルに大きく水をあけられているミランはトップ4死守と共に今タイトル獲得が最大の目標となる。ベスト8進出を狙う今ラウンドは、チェコの曲者スラビア・プラハと対戦する。ネームバリューを考えれば、与しやすい相手と見えるが、グループステージではローマを退けて首位通過を決めた難敵だけに気を引き締めて臨みたい相手だ。幸い、今週末のリーグ戦では下位のエンポリとの対戦となるため、主力を出し惜しみせずに全力で戦いたいところだ。
今ラウンドでは魅力的なカードが多いが、ある意味で最も注目されるのが、マルセリーノ監督の古巣対決となるマルセイユvsビジャレアル。マルセリーノ監督は今シーズンを対戦相手の指揮官としてスタートしたが、マルセイユのウルトラスによる脅迫まがいの辞任要求によって早々に退任。その後、紆余曲折を経てビジャレアルの新指揮官に就任した。
それだけに因縁の相手である古巣との対戦ではピッチに送り出す選手以上のモチベーションで戦うはずだ。互いに国内リーグでは苦戦が続いているが、いずれも能力が高いタレントを多く抱えているだけに好勝負を期待したいところだ。