失意に終わったアジアカップ敗退から1カ月半。優勝候補と目されながらもベスト8で敗れ、アジアで苦戦する姿に多くのファンは失望した。
予てから課題はあったものの、10連勝と結果がついてきたこともあり、盲目的になっていた人もいるだろう。もちろん脆さが見え、課題が浮き彫りにもなったが、アジアのレベルが上がっていることも事実。そのアジアを戦い抜いた先に、ワールドカップ(W杯)が待っている。
2026年の北中米W杯に向けたアジア2次予選。連勝スタートとなった日本にとっての山場がきた。北朝鮮代表との連戦。アウェイでは13年ぶりに試合が行われ、未だ勝利したこともゴールを決めたこともない地での戦いとなる。
この1カ月半、選手たちは悔しさを胸に、そして更なる高みへ向かうために自チームで研鑽を積んだ。結果を残してきた選手も少なくない。その中でまずは3連勝を懸けて、北朝鮮をホームに迎える。
◆失意を払拭し、再スタート
©︎超ワールドサッカー
アジアカップ明けの初戦、世間は大谷翔平の話題で一色だが、日本サッカー界にとっては大きな一戦を迎える。ただ、ケガやアクシデントで招集できていない主軸もいる。一方で、1年3カ月ぶりにDF長友佑都(FC東京)を招集。チームに足りなかったものを補う役割を担ってくれることだろう。
森保一監督は「目の前の試合に全力を尽くす、一戦必勝の覚悟を持って戦うことが大切」とコメント。アウェイでの戦いに気が向きがちだが、まずはホームでしっかりと勝利することが大切だと前日に語った。
しっかりと勝利を目指す戦いをしたいものの、状況は簡単ではない。選手が招集できてないこともあるが、全員がトレーニングをこなしたのは20日の前日のみ。ヨーロッパでプレーする選手たちのコンディションは難しいものがある。
森保監督も「コンディションのところは基準になると思います」とメンバー選考について語り、「相手のウィークポイントとストロングポイントをどのように抑えて、どのように突いていくか」と基準を口にした。
兎にも角にも、勝利が必要な試合。アジアカップで見えた課題を払拭できるのか注目だ。
◆準備万端、日本撃破を意気込む。
©︎超ワールドサッカー
対する北朝鮮は、2010年以来のW杯出場を目指している状況。2試合を終えて、1勝1敗という結果を残している。
ほとんど情報がなく、昨年11月の予選以来試合も行われていない状況。1月下旬からキャンプを行い、調整を続けてきたという情報もある。
2月には女子の日朝戦が行われ、なでしこジャパンが勝利しパリ・オリンピックへの切符を掴んだ。一方で、U-20日本女子代表は先日のAFC U-20女子アジアカップの決勝で敗れて4連覇を逃すことに。昨年11月にはアジア競技大会でも日本と戦っており、このところ両国の対戦は増えている。
シン・ヨンナム監督は「非常に熾烈な戦いになると思う」と日本戦を展望。「日本はアジアでも非常に強い国であり、強い国と対戦するために非常に大きな努力をしてきた」と、詳細こそ語らなかったが、日本を倒すための準備は十分しているようだ。
また、女子の試合では3000人が集まった応援団についても言及。「同胞たちの応援というのは選手たちにとって非常に大きな力になる」と後押しを期待。必勝を誓った。
◆予想スタメン[4-2-3-1]
©︎超ワールドサッカー
GK:大迫敬介
DF:毎熊晟矢、板倉滉、町田浩樹、伊藤洋輝
MF:遠藤航、田中碧
MF:堂安律、久保建英、中村敬斗
FW:浅野拓磨
監督:森保一
今回の日本代表は、伊東純也(スタッド・ランス)、三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)の両ウイングが招集外に。さらに、DF冨安健洋(アーセナル)も呼ばれておらず、主軸の選手を欠いての戦いとなる。
一方で復帰組も居る中、GKには復帰した大迫敬介(サンフレッチェ広島)が起用されると予想する。昨年12月に右手首の骨折が判明し手術。アジアカップ参加を回避していたが、無事に復帰。チームは4試合で1失点と大迫の堅守も光り万全の状態だという。正守護神の座を争っている中で、コンディションも上々。高いパフォーマンスを見せてもらいたい。
最終ラインは右サイドバックは毎熊晟矢(セレッソ大阪)が起用されるだろう。菅原由勢(AZ)、橋岡大樹(ルートン・タウン)もいる中で、初日から合流したコンディションの良さと、アジアカップでのパフォーマンスを考えれば間違いないと言える。左サイドバックには伊藤洋輝(シュツットガルト)を予想した。合流して時間は経っていないが、対人の強さとクラブでの好調ぶりに期待。コンディションと経験値を考えれば、長友佑都(FC東京)が起用される可能性も十二分にある。
センターバックは板倉滉(ボルシアMG)と町田浩樹(ユニオン・サン=ジロワーズ)になるだろう。板倉は合流も早く、コンディション面も問題ない。冨安が不在の中でディフェンスリーダーとしての期待もある。相棒は谷口彰悟(アル・ラーヤン)の可能性もあるが、アジアカップでパフォーマンスを見せた町田を推す。空中戦では負けないだろう。
ボランチは遠藤航(リバプール)と田中碧(デュッセルドルフ)と予想。クラブでハイパフォーマンスを見せ続けている遠藤は、コンディションを全力で整えて出てくるだろう。一方で、初日から参加しておりコンディションが整っている田中が相棒と予想。クラブではアンカーも務めており、遠藤との補完関係は十分。コンビネーションも問題はないはずだ。より守備を考えるのであれば、守田英正(スポルティングCP)が起用されることも考えられる。
2列目は前述の通り2人が不在。そのサイドは堂安律(フライブルク)と中村敬斗(スタッド・ランス)が起用されるだろう。特徴は大きく異なるが、コンビネーションで崩していくことが可能となる。トップ下で起用されるであろう久保建英(レアル・ソシエダ)を含め、3人がしっかりと絡めれば、ゴールにもつながって行くはずだ。
そして1トップは浅野拓磨(ボーフム)と予想する。まずはコンディション面で最も整えられているということ。そして、ハードワークとスピードを活かしたプレーに期待したい。北朝鮮がブロックを引いてきた場合は苦しむことも予想されるが、ファーストディフェンダーとしての役割もあり、サイドに流れてプレーすることで2列目の選手を生かすこともできるだろう。
W杯に向けた再スタート。チームとしてもアジアカップの失意を払拭するために必要な勝利。北朝鮮代表戦は21日(木)の19時20分にキックオフ。日本テレビ、Tverで無料視聴が可能だ。