パリ・オリンピックのアジア最終予選を兼ねるAFC U23アジアカップが15日に開幕する。出場16カ国が4組に分かれてのグループステージから始まる五輪出場もかけた戦いは約2週間ちょっとのスケジュール的にも勝ち上がれば勝ち上がるほど総力戦が必至。ここではパリ行きの命運が託されたU-23日本代表の23選手を紹介し、田中聡にフォーカスする。
■田中聡(MF/湘南ベルマーレ)
10代の頃から世代を代表する1人として知られてきた田中。北信越は長野に生まれ、AC長野パルセイロU-15から湘南U-18へ。高校3年生当時の2020年には2種登録ながらもJ1リーグ17試合に出場し、翌21年から正式にファーストチーム昇格。この時点で主力としてプレーしていたなか、22年夏から1年間はベルギー1部・コルトレイクへのレンタル移籍で欧州を経験し、昨年途中に湘南へ帰ってきた。
身長174cmと大柄ではないが、本職のボランチだけでなく、時にセンターバックも務める守備能力があり、今季のJ1リーグでは第7節サンフレッチェ広島戦まで7試合連続先発フル出場。ゆえにU-23日本代表招集は湘南にとって痛手なわけだが、現A代表にはほぼいない“左利きのボランチ”、“先輩”遠藤航を彷彿とさせるデュエリスト…それが田中聡なのだ。
今回のU-23日本代表における田中の立ち位置は、ひとまず中盤のバックアッパーといったところか。[4-3-3]をベースに戦う大岩剛監督のもと、現チームは藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)、山本理仁(シント=トロイデン)、松木玖生(FC東京)の中盤3枚が固いところ。いずれも世代のトップランナーであり、リーダー格とも呼んでいい3枚だ。
とはいえ、その序列が明確に劣っているわけではない。中2日が基本の総力戦、劣勢にまわる可能性も承知で臨まねばならない一戦一戦において、守備面で特色を持つ田中は貴重な存在であり、先発起用の可能性はもちろん、試合途中から投入される公算も高いとみてよい。先ほどから“守備”を連呼するが、果敢な攻撃参加も苦にせず、先月下旬のU-23ウクライナ代表戦では全力スプリントからゴールも陥れている。大岩監督へのアピール、大岩監督からの信頼はバッチリだ。
湘南の先輩である遠藤航はA代表でキャプテンを担うにとどまらず、名門リバプールに在籍し、今や世界最高峰の“6番”として名を馳せる。そんな遠藤もまた、2016年のリオ五輪とそのアジア予選を経て、階段を駆け上がっていった。是が非でもパリ五輪本大会へ…田中の奮闘に期待だ。
【動画】力強さが増した湘南の“心臓”、田中聡