★離脱者重なる苦境で臨む新潟戦へ東京Vの城福監督「チームのためにぶらさずにやりながら、自分の特長を出していく。あの姿勢をみんなが引き継いでいく」

東京ヴェルディの城福浩監督が、8日にデンカビッグスワンスタジアムで行われる明治安田J1リーグ第5節のアルビレックス新潟戦に向けた会見を実施した。

東京Vは前々節のFC町田ゼルビア戦で待望の今季初勝利。

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東京ヴェルディの城福浩監督が、8日にデンカビッグスワンスタジアムで行われる明治安田J1リーグ第5節のアルビレックス新潟戦に向けた会見を実施した。

東京Vは前々節のFC町田ゼルビア戦で待望の今季初勝利。しかし、味の素スタジアムでの開幕戦で連勝を狙った前節のガンバ大阪戦では、前半にDF千田海人、FW山田剛綺の2選手、後半にMF福田湧矢が脳震とうで負傷交代するアクシデントが続出。後半終盤に失点を喫した結果、0-1での敗戦となった。

町田戦同様にパフォーマンス自体に悲観すべき点はないものの、4試合中3試合で無得点に終わり、0-4で敗れた鹿島アントラーズ戦以外は勝ち点1は取れそうな展開ではあっただけに、粘り強さが光った昨季に比べると厳しい状況だ。

また、6日にはG大阪戦で負傷した千田が左ハムストリング腱膜損傷で全治約6週間、山田が左ヒザ複合じん帯損傷および半月板損傷で全治約8カ月という厳しい内容のリリースが発表された。福田に関しても、脳震とう疑いでの交代によるプロトコル遵守によって、少なくとも今節の起用は不可能。(クラブは過去の既往歴を考慮し、復帰へ細心の注意を払っている)

昨季からスカッドのスリム化を図ったチームにおいて主力3選手の離脱は大きな痛手となっており、今回の新潟戦では結果とともに、ここまでベンチを温めてきた、あるいはメンバーに絡めなかった選手たちの今後に向けた奮起や台頭が求められるところ。

この苦境に際して、逆境でこそ燃える指揮官は「このチームは成長が一番のキー。彼らを成長させる機会として、こういう機会を逃してはいけない」と、この窮地において以前から課題として挙げる選手層の底上げを期す。

「成長というのは、努力しながら足りないところを克服していったり、長所をよりストロングなものにしていくということ。もっと言えば、自分の才能にまだ気がついてないという言い方がいいか、自分の才能を出し切れていないことに気がついてない選手。もう後がない状態で実際に自分が責任あるピッチに立つような状況になったとき、彼らがそういう自分のポテンシャルというのをフルに出すということが、どういうことなのかということを気づかせられる場でもあると思っているので、そこの背中を促したいなと」

「実際にピッチに立たないと、当事者にならないと、なかなか気づけない。我々は、自分のポテンシャルをまだ出し切れてないことを気づいていない選手に気づかせる、出し切らせるというところに注力しないといけない」

城福監督は「自分が何かを言わずも」と、無念の思いでピッチを離れた前述の選手の代役を担うであろう選手たちの試合に臨む姿勢について、あえて自ら働きかける必要はないと考えている。

「彼らがどれだけ無念だったかは、サッカー仲間でありライバルであれ、プレーヤーとして身近にいれば、それはわかることであり、それをどういうふうに受け止めて、各々がチームのプラスに変えていけるか」

「もちろん気負いすぎることなく、我々がやってきたことをやりますが、自分たちがやろうとしている一丁目一番地のこと。一丁目二番地のことを、チームのためにぶらさずにやりながら、自分の特長を出していくという山田剛綺や、千田海人のあの姿勢をみんなが引き継いでいくということだと思います」

一方、出番に飢えるがゆえに爪痕を残すべく周りが見えずに空回るという、ありがちな状況も危惧し、選手たちに最も求める指針もしっかりと示す。

「ケガをして戦列を離れるというデメリットというか起きた現象と、新しい選手が気持ちを持ってそこに加わっていくという、このプラスマイナスでプラスにしなければいけないと思います。それは単にその選手の戦力的なもの。持っているポテンシャル的なもの。あるいは特長的なもののプラスマイナスだけではない」

「山田剛綺、千田海人もそうですけれども、どんな努力をして、奥歯を噛みしめるような日々を過ごして勝ち取ったものがあって、ある意味で我々の開幕の試合は本当に危機感を持たなければいけないような試合内容だった。そこから2戦目は負けましたけども、我々らしさを取り戻せた。その原動力になった選手が離脱するということになったときに、自分にチャンスが来るという思いはみんなあると思いますけど、彼らのその残念な思いも含めて、彼らがエクストラ(控え選手メインの個別練習)でどんな思いをしてやってきたか」

「そういうことも踏まえた上で、このプラスマイナスをメンタル的なところも含めてプラスにしなければいけないので、今まで出なかった選手が出るという、いわゆる技術的なところ、特長的なところだけのプラスマイナスではダメ。どういう気持ちで今のこのチームを自分が救うんだと、そのためにチームのために何をやるんだという思いが、より強くなった状態で合流させられるようにしたいです」

新たな力への台頭を期待しつつ、1勝3敗の序盤戦でより結果が求められる今回のアウェイゲーム。新潟は樹森大介新監督の下、2分け2敗の未勝利で厳しい船出となっているが、城福監督は「非常に短期間で新潟らしさを確立している」と対戦相手を評価。守備面において警戒すべき点が多いと語る

「去年のボールを丁寧に扱うというか、我々で言うところの“へそ”をしっかり使って、センターバックもしっかりサポートにきた選手を見ながらサッカーをするというのは変わらないと思います。それに加えて縦の意識が強くなっている」

「センターバックやサイドバックにロングフィードできる選手がいて、前で動き直しをしてランニングをする。ただ単にランニングをするのではなく、動き直しをしてランニングをしてくる。ここに合わせてくる。そこから非常にテンポの早い、早いタイミングでクロスが入ってくるというところは、去年に加えて新たな武器として機能しているなと思います。実際そういう形で点も取っている。ただ、それだけではなくて足元でつなぐこともできるという意味では、非常に新潟らしさというのを非常に短期間で確立しているなと思います」

対戦相手の対策は意識しながらも、まずは自分たちにベクトルを向けるなか、今季の課題のひとつとなっている、途中出場でバトンを引き継ぎつつ流れを変える“ゲームチェンジャー”についても言及。

チームとして交代選手の活かし方は当然のことながら意識しつつも、あくまで最優先はチームを助けるハードワーク、出場時間に関わらず、自身のすべてを出し切ることだと、改めて自身の考えを明確に主張した、

「まずは立ち位置とか、交代選手の特徴によって、それが最大のメッセージになりますし、我々もそこはピッチでやっている選手に外からの声かけで共有しながらやらなければいけないと。これはこの前の最後の最後のアディショナルタイムはうまくいかなかったので、そこはすごく残念だなと思います」

「ただ、間違えてはいけないのは、交代選手で再点火させるのは攻撃も守備。攻撃の選手が入ったから攻撃だけしておけばいいという状況になれば、この前(G大阪戦)みたいになってしまう。出た選手がまず全員でボールを奪うんだと。それは立ち位置とかポジションに関係ない。これは今後もベースとしてみんなが持たなければいけない。それが何分であろうが、短ければ短いほど、『人生でこんなに試合で走ったことがない』というようなマインドで入らない限りは、立ち位置とか、活かし方とか、それは自分のなかで何番目か(の優先順位)だと思います」

「そもそもが、全員が火の玉のようにというか、まず全員でボールを奪わないと攻撃できないということ。途中から出た選手は何分かしかなではなくて、それで全てを出すんだというメンタリティを持つこと。これはみんなでもう一度共有しないと、誰が出ようが、システムをどう変えようが変わらない。あのような失敗はもう繰り返したくないなと思います」

前節のアクシデントを含め開幕から苦境が続く東京Vだが、昇格組ながら6位に躍進した昨季はブレずに信念・スタイルを貫き厳しい時期を乗り越えてきた。それゆえに今後を占う新潟戦においても、初志貫徹の姿勢で愚直に勝ち点3を目指す。

2025年3月7日(金)19:00

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