★【原ゆみこのマドリッド】一生懸命な選手たちもまだいる…

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▽「もうバケーション中の人はいいわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは日曜日、この週末はやたら結婚式のニュースが多いのに気がついた時のことでした。いやあ、始まりは金曜のことで最近、熱波に襲われているスペインでも特別、暑いことで有名。

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▽「もうバケーション中の人はいいわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは日曜日、この週末はやたら結婚式のニュースが多いのに気がついた時のことでした。いやあ、始まりは金曜のことで最近、熱波に襲われているスペインでも特別、暑いことで有名。観光客泣かせのトレド(マドリッドから1時間の世界遺産都市)にある古城、パラシオ・デ・ガディアーナでグリースマンが披露宴というのはTVのスッパ抜きでわかったんですけどね。気温40度はあろうかという中、アトレティコの同僚、コケやゴディン、ファンフランらに加え、火曜にあったフランス代表今季最後の親善試合、イングランド戦まで一緒だったウムティティ(バルサ)やラガゼット(リヨン)まで、スーツ着用で駆けつけていたんですが、幸い、すでに一女をなす仲のエリカさんとの決めの写真はしっとり写っていて良かったかと(https://twitter.com/AntoGriezmann/status/875992015011549184)。

▽そして翌土曜には、こちらはスポーツ紙などで予定もわかっていたんですが、お隣さんのモラタが彼女のイタリア人モデル、アリス・カンペッロさんとベネツィアで挙式(https://www.instagram.com/p/BVcrJKwnocf/?taken-by=alvaromorata)。当人はすでにマンチェスター・ユナイテッドのモウリーニョ監督からラブコールをもらっているということで、もうチームメートでいられる時間も少ないかもしれませんが、レアル・マドリーからはイスコ、ヤニス、ナチョ、RMカスティージャ時代の仲間だったナチョの弟のアレックス・フェルナンデス(エルチェ)、サラビア(セビージャ)、モスケラ(デポルティボ)らが出席しています。ただこの日、式を挙げたマドリーの選手はモラタだけでなく、コバチッチも母国のクロアチアで学生時代からの彼女、イサベラさんと結婚。こちらはマルセロがお祝いに行っていますが、地球の反対側ブラジルでもダニーロの披露宴があったり、続いて日曜はルーカス・バスケスって、もしや6月のマドリーではご祝儀貧乏に陥る人が多発しているのでは?

▽まあ、そんなことはともかく、私もスペイン代表のワールドカップ予選マケドニア戦が終わったら、勝手にもうバケーションだと思い込んでいた口だったんですが、実はまだあったんですよ。この殺人的な猛暑の中、マドリッドで真剣にサッカーをやっているチームが。それに気づいたのは金曜で、ラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設のグラウンドでは、スペインでは夏はシエスタ(昼寝、昼休み)後で、決して外へ出てはいけない時間帯、午後5時と7時からコパ・デル・レイナ(女子のカップ戦)準決勝が開催。リーガでも最後まで優勝を争ったバルサがバレンシアに勝った後、アトレティコ女子がリーガ6位のグランディージャ・テネリフェと戦ったんですが、こちらは昨季のコパ女王の余裕で2-0と快勝することに。

▽いやあ、相手には今年の2月頃、男子のリーガ2部のテネリフェに移籍したばかりの柴崎岳選手が適応に苦しんでいた際、エールを送った件で話題になった堂園綾乃選手が在籍。その日もフル出場したことにまったく気づかなかったため、せっかくオープン放送で中継があったにも関わらず、私も試合自体は見逃してしまったんですけどね。日曜午前11時30分からあった決勝をTV観戦したころ、やっぱり一枚上手だったのはバルサ。そう、準決勝で暑さに苦しんだことから学んだか、前後半両方の半ばに設けられた水分補給タイムには袋詰め氷を用意して、選手たちの首や頭を冷やしていたんですが、アトレティコなんて本当に水を飲むだけなんですよ。ちょっとお、もう少し女子の体を心配してあげられない?

▽おまけに男子チームの悪いところが伝染したか、最初にもらったPKをエースのソニアが外してしまうんですから、困ったもの。その後はリーガ得点女王ジェニに2ゴールを奪われるわ、せっかくソニアが1点を返しても、守備ミス続出でアレシア、アイタナに追加点を許すわで、結局、4-1で敗戦です。うーん、彼女たちが2冠を達成したら、今季はタイトルなしで終わったシメオネ監督率いるチームの励みになるかもしれないという、私の目論見は見事に外れてしまったんですけどね。意外と肩身が今以上に狭くならず、こっそりホッとしていたアトレティコ男子もいるかもしれませんね。

▽そして変わらず暑かった翌土曜には、先日のマドリーとローマのOB戦、コラソン・クラシック・マッチでは途中で直射日光に耐えられなくなった私も午後9時という遅い開始時間に勇気づけられ、1部昇格プレーオフ準決勝2ndレグを戦うヘタフェを応援に。1年ぶりに訪れたコリセウム・アルフォンソ・ペレスがここ数年、1部のリーガ戦ではまず、お目にかかれなかった活況を呈していたのに驚いたの何のって。チームバスのスタジアム入りにも大勢のファンが集まって、派手なお出迎えがあったようですしね。同じく昨季に2部降格した同じマドリッドの弟分、ラージョがどのカテゴリーにいようと常に熱い地元サポーターに支えられているのとは違い、うつろいやすいヘタフェファンが昇格プレーオフを機にまた戻って来てくれたのは何とも喜ばしい限りかと。

▽すると試合ではチームの方もスタンドの期待にしっかり応えて、いえ、水曜にあった1stレグでは終盤にウエスカに追いつかれ、2-2と引き分けていたため、その日はスコアレスドローでも全然、突破に問題なかったんですけどね。前半36分にはモラのケガで急遽、スタメン入りをしたベテラン、ラセンの浮かしたFKをホルヘ・モリーナが繋ぎ、ゴール前でファン・カラが押し込んで先制点をゲット。後半にもパチェコとフステルがエリア外からゴールを決め、リーグ3位と6位の差はこんなところに出るのかと感心させてくれることに。

▽ただ、スタジアム中が歓喜していた3-0の勝利、総合スコア5-2での決勝進出も全てがハッピーで終わった訳ではなく、うーん、元々、1stレグからファール数でウエスカが19、ヘタフェが28、イエローカード計9枚。その日の2ndレグもそれぞれ25、16、計10枚と、1部に比べてフィジカルと言われる2部の試合にしてもとかく荒っぽさの目立つ展開ではあったんですけどね。残り3分にはウエスカのイニゴ・ロペスがカラの顔に唾を吐きかけ、両チームが揉み合う事態に。その時、何やら抗議した交代済みのパチェコがレッドカードを受けるって、どこから見ても理不尽では?

▽ええ、昨季はアラベスを1部昇格に導き、今季は9月にスナイデル監督からチームを降格圏で引き継いで以来、3位まで躍進させたボルバラス監督も「Estoy enojado porque con 3-0 no nos pueden expulsar a un jugador del banquillo/エストイ・エノハードー・ポルケ・コン・トレス・セロ・ノー・ノス・プエデン・エクスプルサール・ア・ウン・フガドール・デル・バンキージョ(3-0なのにベンチにいる選手を退場させられたんだから、自分はとても怒っている)」と、完全に枯れた声で言っていましたけどね。スタンドで最初、アウェーで2点を挙げていたモリーナへのカードかもしれないとオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナが言っているのを聞いた時、私が味わった思いに比べれば、まだ良かったんでしょうが、パチェコもその日は殊勲の2点目を挙げていますし、このままだと決勝1stレグに出場停止なのは辛いところかと。

▽一方、聞き覚えのある名前だと思っていたウエスカのアンケラ監督は実は2009年、未だにマドリーの黒歴史となっているアルコルコナソ(コパ・デル・レイ16強対戦で当時、ペレグリーニ監督の率いていたチームを2部Bのアルコルコンが総合スコア4-1で敗退させた事件)があった時の監督で、そのシーズンに昇格を果たしたマドリッド勢の末っ子は今季を含め、それからずっと2部を維持。そんな所縁のある監督だったんですが、「Ha sido superior en todo, nos han superado desde el inicio al final/アシードー・スペリオール・エン・トードー、ノス・アン・スペラードー・デスデ・エル・イニシオ・アルフィナル(最初から最後までウチを圧倒して、相手が全てにおいて上だった)」とヘタフェの強さに脱帽していたよう。

▽うーん、彼らは水曜の1stレグの後、夜にホームスタジアムの事務所が強盗に遭い、当日のチケットやプレーオフ出場記念グッズの売り上げ等、7万ユーロ(約900万円)がなくなってしまうという不運にも見舞われていますからね。ちょっと気の毒な感じもしましたが、このプレーオフで1部に上がれるのはたった1チーム。それだけ大変ということで、昇格を目指してモリーナやフステル、カタ・ディアスら、1部経験の長い選手を揃えて戦ってきたヘタフェだって、今週の水曜と土曜にある決勝でうっかりしていたら、今季一番長く戦って、骨折り損のくたびれ儲けだったクラブとなってしまうのですから、甘いことは言っていられませんって。

▽ちなみにもう1つの準決勝の勝者は日曜にテネリフェに決定。1stレグではカランサ(カディスのホーム)で1-0と負けたものの、テネリフェ(大西洋のカナリア諸島のリゾートタウン)のエリオドロ・ロドリゲスでは前半34分、柴崎選手がゴールを挙げ、そのまま勝負は延長に。そのまま総合スコア1-1のまま終わったんですが、プレーオフルールでPK戦にはならず、リーガ終了順位が上のテネリフェが勝ち抜けました。

▽え、私がヘタフェにいた間、スペインのU21代表もユーロ大会の初戦に挑んでいなかったかって?その通りで、先週中は2月に完治していた精巣ガンの再発が発覚、ジェライ(アスレティック)が合宿を離脱したり、開催国のポーランド入りしてもグリマルド(ベンフィカ)のケガが治らず、こちらもグダニスクから帰国。代わりにディエゴ・ゴンサレス(セビージャ)、ロドリ(ビジェレアル)が繰り上がるなんてこともあったんですけどね。5月末からのラス・ロサスでの合宿には、A代表に応援に行くメンバーもいることを考えて、彼らも加わっていたため、チームとして問題はなかったよう。

▽いえ、それどころか、これはたまたまなんですが、先日のワールドカップ予選の相手でもあったマケドニアは普段はA代表にいるものの、U21にも該当する選手8人を使わずに温存。満を持して挑んだU21ユーロのグループリーグ初戦でありながら、スペインに5-0と惨敗を喫していたから、ビックリしたの何のって。ちなみに突破口を作ったのはアトレティコから1人参加のサウルで前半10分、ガヤ(バレンシア)のクロスをchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)して先制点を挙げたんですが、その後はお隣さんの注目株、アセンシオ(マドリー)の独壇場になりました。

▽何せ、デウロフェウ(今季はミランでプレー)のPKゴールを挟んで、前半に1点、後半に2点を入れてハットトリックですからね。セラデス監督に自由に動くことを許されているという当人は、「Me atrevo mas a disparar y soy mas agresivo arriba/メ・アトレボ・マスア・ディスパラール・イ・ソイマスアグレシーボ・アリーバ(思い切ってシュートする気になるし、前線だとボクはアグレッシブなんだ)」と言っていましたが、ちょっと振り返れば、先日のCL決勝ユベントス戦でマドリーの4点目を入れたのも彼。FWではないとはいえ、これからもゴールを連発してくれるようなら、クラブもクリスチアーノ・ロナウドの退団要望という非常事態にパニックに陥らないで済む?

▽ええ、そうなんですよ。実は先週はスペイン検察局から2011~14年の肖像権収入をタックスヘイブン経由にして、1470万ユーロ(約18憶円)の脱税があると告発されたことに端を発し、一応、マドリーは選手を信じる旨の公告をオフィシャルウェブに出したものの、当人はクラブのバックアップが不十分と感じたよう。それにここ数年のサンティアゴ・ベルナベウでのpito(ピト/ブーイング)に対する不満も相まってか、金曜にはア・ボラ(ポルトガルのスポーツ紙)に「スペインには戻らないと代表仲間に話している」という記事が出ることに。うーん、だからって、ロナウドの契約破棄金額は10憶ユーロ(約1240億円)という、常識外れの額ですし、そこまで行かずとも、マドリーは4億ユーロ(約500億円)が最低交渉スタートラインと言っているようなので、そう簡単に移籍できる訳でもないんですけどね。

▽現在、ポルトガル代表でコンフェデレーションズカップに参加している当人からの意思表示コメントもないため、実際は何を考えているのか不明なんですが、脱税容疑の方はたとえ、プレーする国を変えても、ちょっと前にはディ・マリア(PSG)がマドリッドの裁判所に出頭していたように逃れることはできず。万が一、有罪となれば、罰金込みで2950万ユーロ(約37億円)の支払いプラス、執行猶予付きながら21カ月の刑事罰を受けたメッシのようになりかねませんし、何と言ってもイメージダウンは免れないかと。ちなみに日曜にはロシアでの初戦に先発したロナウドはメキシコ戦でクラレスマ(ベシクタシュ)に先制ゴールをアシストをしたものの、自身に得点はなく、試合も2-2のドローで終了。それでもMVPだったため、プレーに影響はないようですが…水曜のロシア戦を横目に当分、マドリーファンのヤキモキは続くかもしれません。

▽おっと、話が逸れてしまいましたが、スペインU21代表の次戦は火曜の午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からで、またややこしいですが、相手はポルトガルとなります。ただし、こちらは大人の代表と違って、ロナウドはいませんし、スター選手もレナト・サンチェス(バイエルン)ぐらいなんですが、彼らもセルビアとのグループ初戦に2-0と勝っていますからね。この大会、3グループあって、次ラウンドの準決勝に進出するためには首位か、成績最高の2位になるしかないため、スペインも決して気を抜くことはできないかと。日本ではTV中継がないようですが、you tubeのUEFA.tvのライブ配信を見るといった手もあるので、若い選手の活躍をチェックしたい向きにはお勧めです。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

2017年6月19日(月)9:30

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