12日、日本代表はカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第4戦でオーストラリア代表と対戦する。
ここまでの3試合で1勝2敗と結果が出ず、ライバルとの対戦となった7日のサウジアラビア代表戦でも1-0で敗れた日本。4戦目にして、崖っぷちの状態で臨むこととなった。
負けられない試合はこれまでも沢山あったが、今回は勝たなければいけない試合。負ければ、W杯出場が絶たれる間際まで追い込まれてしまう可能性もある。
◆意地を見せて自分たちの戦いを
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首位のオーストラリアを迎える一戦。3連勝スタートの相手との勝ち点差はすでに「6」。敗れれば「9」にまで開き、自力で逆転することは不可能となる一戦だ。
森保一監督は「我々ができることは勝つ確率を上げられる準備をすること。我々の力を考えると、その準備を怠らなければ、確率は限りなく上げられると思っている」と語り、しっかりと事前の準備を行えているという自信が見て取れる。
とは言え、苦しい状況は変わらない。そして相手も簡単に勝たせれてくれる相手でもない状況。ただ、自分たちのパフォーマンスをこの3試合は出し切れていないのも事実。そこをいかにシビアに求めていけるかが勝敗を分けることになるだろう。
最終予選の経験不足という点も否めず、また監督の采配もどこかチャレンジが出来ていない感はある。起用するメンバーについても「これまでの考え方とは変わらず、明日のオーストラリア戦に向けて我々が勝つためにベストなメンバーを、今日のゲーム形式の練習で選手たちの動きを確認した上で決めていこうと思っています」とコメント。アプローチの仕方を変えるつもりはないようだ。
とにかく、大事なことは勝ち点3を取るということ。「究極1-0で良い」と中山雄太は語ったが、いかに3ポイントを奪いに行くか。そのためには、まずは3試合で1ゴールしか決めていない攻撃面の改善が必須だ。
それぞれの選手が口にする「自信を持つこと」をベースに、ここまでの課題である「距離感」や「ポジショニング」、そして「判断」をどこまで研ぎ澄ませるのかに命運は懸かっている。
◆日本を良く知る指揮官はお見通し?
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対するオーストラリア代表は、ここまで順調に3連勝と勝ち点を積み上げている。ただ、日本、そしてサウジアラビアとグループのライバルとの試合はここから。連敗すれば、日本と同じ状況になってしまう可能性はある。
そのオーストラリアを率いるのはグラハム・アーノルド監督。かつてはベガルタ仙台で監督も務め、現役時代はオランダやベルギーでプレーしたほか、サンフレッチェ広島でプレー。森保監督とはチームメイトだった。
様々な点で日本を知る指揮官に率いられるオーストラリアには、現役Jリーガーや元Jリーガーもおり、日本人を良く知るチームと言えるだろう。
アーノルド監督も「我々は日本を長い間スカウティングしているが、ここで日本の弱点を言ってしまったら私は愚かだろう」と語り、日本のことはすでに分析済み。自信を持っているようだ。
今予選のオーストラリアは3試合連続で前半にゴールを奪っている状況。日本戦もリスクを冒さずとも、早い時間でゴールを奪って優位に試合を進めたいと思っているはずだ。
日本にとっては失点は避けなければいけないが、守備を固めて止めるのか、アグレッシブに奪いに行って攻撃へと繋げるのか。判断を誤るわけにはいかない。
また、立ち位置を試合中に大きく変えてくるのも特徴。サイドの選手がインサイドに入ってくる形も見られており、日本を混乱に陥らせにくるだろう。4連勝でグッとW杯出場へ近づきたいはずだ。
◆予想スタメン[4-2-3-1]
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GK:権田修一
DF:酒井宏樹、吉田麻也、冨安健洋、長友佑都
MF:遠藤航、田中碧
MF:伊東純也、古橋亨梧、南野拓実
FW:大迫勇也
監督:森保一
大きなプレッシャーが懸かる一戦。是が非でも勝利を挙げなければいけない試合のメンバーは、様々な考え方ができる。
GKに関しては38歳、大きな舞台を経験し、そして日本の窮地を何度も救ってきた川島永嗣(ストラスブール)という選択肢もあるだろう。ただ、ここは権田修一(清水エスパルス)に託すと予想する。ここまでの3試合で喫した2失点は、権田のパフォーマンスのせいとは言えない。どちらもセーブは難しい場面。サウジアラビア戦に関しては、好セーブも見せていただけに、まずはクリーンシートを期待したい。
最終ラインは大きな変化はないだろう。右から酒井宏樹(浦和レッズ)、吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(アーセナル)、長友佑都(FC東京)が並ぶと見る。攻撃面という点では力を出し切っているとは言えないディフェンスラインだが、決して崩壊して2敗を喫したわけではない。しっかりと話し合い、ビルドアップの面でも改善が見られるはずだ。整理され、勝利するという気迫を是非とも見せてもらいたい。
両サイドバックには、オーストラリアのウインガーを抑えるというタスクもあるが、是非攻撃参加で前線をサポートする働きを見せてもらいたいところだ。左には中山雄太(ズヴォレ)を起用するという策も捨ててはならない。よりビルドアップをスムーズに行うには、長友よりも適任と言える。
ボランチの人選だが、1人は遠藤航(シュツットガルト)で間違い無いだろう。攻守にわたって日本を支えられる遠藤。サウジアラビア戦のパフォーマンスは悔しいところもあるはず。ゲームを読むという力をしっかりと見せつけて欲しい。
そしてその相棒だが、田中碧(デュッセルドルフ)の起用を期待したい。希望的観測も含まれるが、停滞している日本の攻撃を活性化させる役割を担える少ない存在と考える。サウジアラビア戦では結果的に敗戦につながるバックパスをしてしまった柴崎岳(レガネス)は消耗も激しいはずだ。田中は遠藤と東京オリンピックでコンビを組んでおり、連係面は全く問題ないはず。試合の流れを呼び込むプレーに期待したい。
そして2列目は、右には伊東純也(ヘンク)が復帰すると予想する。出場停止だったサウジアラビア戦では悔しい思いをしたはず。唯一のゴールも伊東の仕掛けから生まれたものであり、この試合でもゴールを生み出してもらいたい。そしてトップ下には古橋亨梧(セルティック)が入ると予想する。これまで左サイドでの起用が多かった古橋だが、最も生きるのは中央だろう。トップ下というよりは、縦関係の2トップと考えても良いかもしれない。一瞬のスピードで背後を取る動きで、オーストラリア守備陣を翻弄してもらいたい。
そして左サイドは南野拓実(リバプール)だ。味方の立ち位置を見てプレーができる南野は、古橋とポジションを入れ替えて戦っても良いはず。予選での連続ゴールがサウジアラビア戦で途絶えたが、再びゴールを決めてくれることを期待したい。
最後の1トップは大迫勇也(ヴィッセル神戸)と予想する。日本の生命線とも言える大迫。屈強なオーストラリアのCBを相手に戦う姿を見せてもらいたい。攻撃の起点となる大迫だが、古橋との関係性を考えれば、自身が囮になるというプレーも求められるだろう。相手が必ずや警戒する大迫へのパスをどう裏切るか。その点にも注目したい。
アグレッシブさを失っている日本代表。テンポも悪く、ミスを恐れてのプレーも目立っている。しかし、勝たなければいけないという難しい一戦で、それを払拭できなければ、W杯への道は絶たれると言っても過言ではない。ファンも詰めかける大一番。オーストラリア代表戦は、12日(火)の19時10分に埼玉スタジアム2002でキックオフを迎える。