★【2022年カタールへ期待の選手vol.100】日本代表史上最高のW杯最終予選5戦連続弾でアウェー・豪州戦未勝利のジンクス撃破へ/伊東純也(ヘンク/MF)

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2022年カタール・ワールドカップ(W杯)行きに王手をかけている日本代表。3月24日のアウェイ・オーストラリア戦(シドニー)に勝てば文句なしに7大会連続出場が決まる。

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2022年カタール・ワールドカップ(W杯)行きに王手をかけている日本代表。3月24日のアウェイ・オーストラリア戦(シドニー)に勝てば文句なしに7大会連続出場が決まる。その大一番に挑むメンバー27人が16日に発表され、ケガから復帰した吉田麻也(サンプドリア)や大迫勇也(神戸)、攻守の要・遠藤航(シュツットガルト)など、森保一監督が信頼を寄せる常連組が順当に選ばれた。

序盤3戦2敗という崖っぷちに立たされたチームの救世主となっている伊東純也(ヘンク)ももちろん名を連ねた。昨年11月のベトナム(ハノイ)・オマーン(マスカット)アウェー2連戦での連発に始まり、今年1〜2月の中国・サウジアラビア(ともに埼玉)戦でも立て続けにゴールし、最終予選4連続得点という目覚ましい働きを見せている。

現状では2018年ロシアW杯最終予選で原口元気(ウニオン・ベルリン)が打ち立てた記録に並んでいるが、次戦でも得点できれば日本代表史上最高に躍り出る。「イナズマ純也」の異名を取る彼ならその領域に到達することは十分可能なはず。期待は高まる一方なのだ。

思い起こせば、伊東純也が初キャップを飾ったのは2017年東アジアカップ(E-1選手権)。1-4で惨敗した韓国戦(味スタ)で自らの特徴であるスピードを積極果敢に押し出し、数少ない希望となったのが彼だった。当時のヴァイッド・ハリルホジッチ監督(現モロッコ代表)も圧倒的な速さには一目置いていたが、同じ右サイドには浅野拓磨(ボーフム)や久保裕也(シンシナティ)といった面々がいて、そう簡単に牙城を崩すことはできなかった。ロシアW杯本大会では原口が右サイドをけん引。伊東は躍動する先輩の雄姿をテレビで見ることしかできなかった。

そういった序列の低さは2018年9月に森保ジャパンが発足した際も一緒。当初は堂安律(PSV)の控えに甘んじ、ジョーカーとして後半からピッチに立つことが多かった。森保監督の中では「伊東には国際経験が足りない」といった懸念材料が少なからずあったのかもしれない。

代表での立ち位置が変わり始めたのは、2019年1月のヘンク移籍後。19-20シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)を経験したことで世界最高峰基準を体感し、目の色が変わった。シーズン終盤はコロナ禍に突入し、難しさもあったが、公式戦37試合出場6得点9アシストという数字を記録。シント=トロイデンの立石敬之CEOも「爆発的なスピードを誇る彼の評価はベルギー国内でも抜群。『意外にやれるな』という印象を受けました」と感心していた。

森保監督も全く同じ気持ちだったのではないか。世界で通用することがハッキリし、2020年10月の代表活動再開後は彼を先発起用する機会が確実に増えていく。

そして2021年に突入すると、東京五輪強化の影響で堂安や久保建英(マジョルカ)らがA代表活動から離れたこともあり、伊東は右サイドの完全なレギュラーに定着。強烈な存在感を披露し続ける。苦しんだ最終予選序盤も、中国戦(ドーハ)での大迫の決勝弾アシストなど、頭抜けた個の打開力で敵をキリキリ舞いし、日本を救ったのである。

「右サイドは純也が1人で打開できちゃうんで。彼のすごい能力が今の日本の強みになっているのは間違いない。彼みたいに躍動してサイドを制圧できれば、チームも厚みのある攻撃ができる」と左サイドで批判の矢面に立たされた長友佑都(FC東京)も神妙な面持ちで語るほど、伊東の個人能力が今の日本代表を支えているのは確かだ。

本人は「自分がエースなんていう自覚は全然ない」とどこまでも雑草魂を持ち続けているが、今は名実ともに日本の絶対的エースと言っても過言ではない。だからこそ、自らの力で宿敵・オーストラリアを粉砕してほしいのだ。

昨年10月の埼玉での一戦に象徴される通り、日本にとってオーストラリアはアジア最大の関門と言っていい。ホームではこの試合や2017年8月のロシア行きを決めた一戦などで白星を挙げているが、アウェーでは2009年6月(メルボルン)が1-2、2012年6月(ブリスベン)が1-1、2016年10月(メルボルン)が1-1といまだ未勝利。しかも今回の会場は、2015年1月のアジアカップ準々決勝でUAEに敗れたシドニーのスタジアム・オーストラリアだ。

因縁の地で負のジンクスを打ち破り、カタール行きの切符を手に入れることができれば、停滞感の強かった日本代表も新たな一歩を踏み出せる。そのけん引役となるべきなのは、29歳になった韋駄天しかいない。相手も徹底的にマークしてくるだろうが、その困難を乗り越えてこそ、彼はより高いレベルに飛躍できるのだ。

ヴァンフォーレ甲府でプロキャリアをスタートさせるまでは全く無名の存在だったがゆえに、彼はいくつになっても謙虚な男だが、そろそろエゴイストになっていい頃。フォア・ザ・チームを忘れず、攻守両面で献身的な姿勢を示しながら、ここぞという時はなりふり構わずゴールに突き進む…。そんな伊東純也の雄姿を我々は心待ちにしている。

2022年3月16日(水)21:30

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