★目標はW杯ベスト8、選手として逃したW杯を指揮官としてで掴んだ森保一監督「アグレッシブな気持ちチャレンジした気持ちを忘れずに」

©超ワールドサッカー
日本代表の森保一監督が、オーストラリア代表戦を振り返った。

24日、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオーストラリア代表vs日本代表が行われ、0-2で日本が勝利。

記事全文

日本代表の森保一監督が、オーストラリア代表戦を振り返った。

24日、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオーストラリア代表vs日本代表が行われ、0-2で日本が勝利。7大会連続7度目のW杯出場を決めた。

日本は前半から押し込んでいく展開が続く中、なかなかゴールが奪えずにゴールレスでの折り返しに。その後、後半に入ってオーストラリアに盛り返されたものの、決定機を与えることなく試合は0-0のまま後半終盤に突入した。

その中でMF三笘薫(ユニオン・サン=ジロワーズ)の投入で流れを引き寄せた日本は、89分と94分にその三笘が続けてゴールを記録。最終的に0-2で勝利を収めカタールW杯出場を決めた。

森保監督は、ドーハの悲劇を選手として経験した1人であり、W杯出場にあと一歩に近づきながら逃した悔しさを知っている。そこから28年半が経過し、監督としてW排出場の切符を掴んだ。

「自分自身を振り返ると、選手時代にアジア最終予選でW杯に手が届きそうなところで出場を逃しました。最善の準備をしてベストを尽くすことは当時もできたと思いますが、夢に手がかかったところでゴール前で守れば守れるという、いわゆる守りに入ってしまったところがあったと思います」

「そういったところでは、自分たちで掴み取らなければいけないという反省を生かし、積極的に戦うと、オーストラリア戦でW杯への勝利を掴み取ろうというところになったのは、経験が生きたと思っています」

「アジア最終予選を突破するのは大きなハードルで、難しい戦いの連続でしたけど、最終目標はW杯でベスト16の壁を破ってベスト8に行くという基準を忘れずに、目の前の一戦一戦に全力を尽くすということは、今日の試合にも生きたと思っています」

自身が体験した悔しさを、監督として選手たちにも伝えている森保監督。今回の一戦に向けては「広島の時は自分の経験をもとに、守りに入るのではなく、自分たちから勝ち取る、掴み取る、相手が与えてくれるものではないという話をしました」と、Jリーグで初優勝を決める前にはドーハの悲劇の話を持ち出していたとコメント。ただ、「今回のこの代表活動に関して、このW杯出場が決まるかもしれないという戦いの中で、具体的に自分の失敗談を選手たちに伝えながら掴み取りに行くという話はしていないです」と、今回はしていなかったという。

ただ、「シンプルに勝ち取りに行く、掴み取りに行く、今日のミーティングの中では色々な難しい判断をしなければいけないけど、積極と消極があれば積極的な判断をしてほしいということは、経験談として話していないですが伝えています」と語り、当時の反省をしっかりと生かせる方向づけはしたと明かした。

終盤の2ゴールでアウェイで初めてオーストラリアに勝利した日本。試合を振り返っては「勝利はしましたが、我々が克服しないといけない課題は今日の試合でもあったと思います。勝ったから全てが良かったということではないと思います」と課題があったと反省。ただ、「今日の試合選手が素晴らしかったところは、守って守り勝つということではなく、良い守備から良い攻撃というコンセプトでやっていましたが、自分たちが前に出るという気持ちが前に出ていて、カウンターでスペースを突かれることもありましたが、前向きな姿勢があってこその2-0での勝利だと思います。アグレッシブな気持ちチャレンジした気持ちを忘れずに、目標に向かってやっていきたいと思います」と、積極的なプレーをしっかりと出せたことはチームとしてプラス材料だとした。

後半に投入した選手が活躍し、結果として2つのゴールを決めた三笘も途中出場だった。自身の采配については「自分の評価に関しては、自分らしく山あり谷あり、これまで色々ありましたし、今日の試合の中でも状況が刻一刻と変わる中で、自分自身が試されることはありましたけど、その中で自分らしく、自然体で目の前で起きていることに対処する目の前で起こっている状況に自然体で対処できたのは良かったと思います」と、いつも通りできたとし、「自分の評価はみなさんにお任せします」と謙遜。ただ、「選手たちが自分の判断を引き出してくれていると思います。スタートから出た選手がタフに戦ってくれて、途中から出た選手が良い準備をしてくれて、自分たちで試合を決める、試合を締めるということを練習から準備してくれて、試合でパフォーマンスしてくれたことが自分の判断に繋がったと思います」と、選手のパフォーマンスが、自分の采配に影響しているとした。

今回を含め、2連戦でどちらも最終予選という今までにない過密スケジュールで予選が進行。時間がない中ですり合わせて試合に臨まなければいけないという状況が続いた。

その中での準備については「実際に初戦の2日間、次の試合に向けて、初戦では練習で合わせられるのは1回だけだと。みんなで集まってミーティングができるのは2日間だと。今回は1日しかなかったですが、コンセプトの映像を作ってできるだけ選手たちが意思統一できるように絵を持って試合に臨めるように準備して来ました」とコメント。「でも1番のポイントは選手たちが、自分たちが目標にしていることを定めて、目の前の一線で出し切って戦うということ。思い切って戦うためにコミュニケーションをとって共有しようとしてくれたことが一番大きいと思います」と、選手個々が高い目標を持ち、そこに向かってチーム一丸となっていたことが大きいと語った。

試合のプランニングについても「私自身がプランした中で選手たちに試合に向けて働きかけたことはありますが、その大まかなコンセプトに選手たちが従ってくれながら、やっぱり戦っているのはピッチ内の選手ということで、選手が認識して試合の流れを読み取って、相手を上回るということを主体的に修正力、対応力を見せて試合に勝ってくれたと思います」と語り、最後のゴールシーンなどの人数の掛け方も選手がいけると判断しての行動だったとした。また、「選手たちが思い切ってプレーしたことについては、私自身見守っていきたいと思いますし、積極的にアグレッシブに選択してやってくれた中でミスが出たとしても、そこは私自身が責任を負っていきたいと思って選手たちを見ていました」と語り、アグレッシブさを最後まで失わず、勝ち切った選手たちを称えた。

今回の先発で1トップにFW浅野拓磨(ボーフム)を起用した理由については「まずは今回招集できた選手の中で、どういうふうに戦うのがベストか、勝利の確率を上げられるかを考えました。今日のベンチ入りメンバーでFWの選択肢として浅野と上田の2人で考えました」とコメント。「どちらを先発で使うかをギリギリまで悩みました。これまでだとまずはタフに戦って決められる時は決める、相手が落ちたところでスピードを使ってということはあったと思います」と、これまでであれば浅野をベンチに、FW上田綺世(鹿島アントラーズ)をスタートから使っていただろうとした。

ただ、「浅野を先発させたのは、三笘との関係ではなく、我々が5連勝でこのオーストラリア戦を迎えられたのも、結果としてホームでのオーストラリア戦で、拓磨のゴールにならなかったですがオウンゴールになったこと、いつも先発したいなかでサブで準備をしてくれたことがあります」と、浅野のこれまでの貢献も加味したとのこと。「かなり前ですが、メンバー外でもいきますと言ってくれたことがあって、そういう選手を先発させようと思って決断しました。今回はそういう選択をしました」と、日本代表にこれまで捧げてくれた浅野をピッチに送り出したいと考えたと明かした。

また、ヒーローとなった三笘薫については、「攻撃の切り札ということで思われているかと思いますが、攻撃力はベルギーで上げていると思いますが、守備、攻守ともにチームに貢献できることを川崎でも培ってベルギーでレベルアップしています」とコメント。「このまま無失点で行きながらも彼の攻撃力で得点チャンスが生まれるかなと思って起用しました。プラス、オリンピックで綺世と三笘の関係は非常に良かったので、そこも含めて起用しました」とし、攻撃面も去ることながら、しっかりと守備でも貢献してくれることを期待したとした。

これでW杯へ臨むことが決まった日本。ただ、世界の壁を乗り越えるにはまだまだやらなければいけないことが多い。森保監督は「考え方として、良い守備から良い攻撃ということは変わりません。これまでやって来たことは我々の最終目標であるW杯でベスト8以上の結果を掴み取るというところから考えてチーム作りをして来ましたので、基本的に変わりはないかなと思います」と、大枠では今までの継続をしていきたいとした。

ただ、「私自身ロシアW杯をスタッフとして経験させていただいて、日本らしく勇敢に挑んでいかなければ世界には勝てないなというところを学ばさせてもらいました」と語り、「そういう意味でも、自分たちから勇敢に勇気を持って戦いに挑んでいくという部分は、W杯の舞台でも表現できるようにしながら、ここ5連戦無失点で抑えられたように、守備の部分もしっかりしていきたいと思います」と、アグレッシブにチャレンジしながらも高めていきたいと語った。

日本代表についても、「現在の日本代表の世界の立ち位置としては、まだまだ追いついていかないといけないところはありますが、世界に追いつき、世界を追い越せというところ、追い越すためにどうしたら良いかを考えていきたいと思います」とW杯ベスト8に向けて進んでいきたいとし、「相手には敬意を払いますが、我々が相手を上に見るのではなく、相手と同等な視線を持って戦いに挑みながら上回っていけるように、超えていけるようにしたいと思います。選手たちは世界で戦っていて、目線は世界と変わらないので、自分たちはできるということを日本サッカーに関わる方に共有してもらいながら、世界を追い越せを考えながら戦っていけると思っています」と、あくまでもW杯ベスト8を見据えてやっていきたいとした。

2022年3月25日(金)1:15

mixiチェック
LINEで送る
【関連ニュース】
アウェイで完勝、サウジアラビア戦総括/六川亨の日本サッカー見聞録
オーストラリア代表新指揮官が15日の日本代表戦へ 「恐れるものは何もない」「大きな挑戦だが、大きなチャンス」
「次の勝利を保証するものではない」日本代表がアウェイでサウジアラビアに初勝利、森保一監督は勝利喜ぶも目線は豪州に「最善の準備をしたい」
選手採点&寸評:サウジアラビア代表 0-2 日本代表【2026W杯アジア最終予選】
鬼門初攻略の日本が3連勝! 鎌田大地&小川航基のゴールでサウジとの首位攻防戦制す【2026W杯アジア最終予選】
戻る
© livedoor