進化をし続ける10番が頼もしい。
三菱重工浦和レッズレディースは3日、2022-23 Yogibo WEリーグ第5節で大宮アルディージャVENTUSとのアウェイでの"さいたまダービー"に臨んだ。
開幕から3試合連続の複数得点を挙げ、3連勝で首位をいく浦和だったが、ダービーに向けて大きな懸念事項があった。なでしこジャパンの活動中にセンターバックの高橋はなが右ヒザ前十字じん帯損傷の重傷を負い、長期離脱。ただでさえ人材不足の最終ラインで、誰が代役を務めるのかに大きな注目が集まった。
WEリーグカップではサイドが本職の上野紗稀や長嶋玲奈も起用されていたが、この日、楠瀬直木監督が指名したのは安藤梢。なでしこジャパンでも126試合に出場した百戦錬磨のアタッカーを抜擢した。
メンバー発表された「DF10安藤梢」にはファンも驚きを隠せなかった。それもそのはず、本人いわくセンターバックでの出場は「公式戦では初めて」。だが、ふたを開けてみれば安定感は誰よりも抜群だった。
チームのボール保持時間が長いこともあって、明確な守備機会そのものは決して多くはなかった。だが、読みを効かせたくさびのつぶしやインターセプトなど、随所で好プレーを披露。カウンターを受けた53分のシーンでは、流れて大宮FW髙橋美夕紀を追走していたが、パス出しの瞬間にマークを捨ててスペースをケアし、好判断で見事に山崎円美のシュートをブロックした。
トラップ精度も高くパススピードも速いため、ビルドアップも卒なくこなした安藤。チームは3-0で勝利を収め、リーグ戦では今季初のクリーンシートを達成。もちろん、安藤1人の力ではないとはいえ、貢献度は誰の目にも明らかだった。
指揮官は試合直後のインタビューで「ケガ人もいて(後ろに)人がいないので、なんでも屋さんの安藤におんぶにだっこ」と冗談めかしたが、「非常にいいディフェンスラインを築いてもらって助かっています」と評価している。
クラブ公式サイトでも安藤の声を紹介。プレーへの満足感以上に、さらなる向上心をうかがわせる。
「(センターバックでの出場は)公式戦では初めてです。プレーしてみて面白さもありましたし、みんなで声を出し合いながら協力して、無失点で抑えられたので、少し自信にもなりました。でも、精度やポジショニングの部分で、上げていかないといけないところもあると感じています」
「ビルドアップのところでは、攻撃のいいスタートになればいいと意識しながら、自分がFWのときにやられたら嫌なところを突いていきたいというのはありました」
安藤は2009年シーズン後に浦和からドイツのFCR2001デュイスブルク(現:MSVデュイスブルク)へ加入し、フランクフルトやエッセンでもプレー。国内タイトルだけでなく、UEFA女子チャンピオンズリーグ(UWCL)も制覇。2017年6月に古巣の浦和へと復帰し、昨季はボランチも経験した。
浦和は次節、11日にホームでINAC神戸レオネッサとの大一番を迎える。40歳となった今でも進化を続ける安藤のプレーにも注目だ。
【動画】大宮V vs 浦和Lのハイライト