★バーレーン戦は前田大然の1トップに期待/六川亨の日本サッカー見聞録
JFA(日本サッカー協会)は3月13日、同20日のバーレーン戦と、25日のサウジアラビア戦に臨む日本代表25名を発表した。本来ならエントリーメンバーは27名のところ、2名の“予備枠”を残したのには理由がある。
JFA(日本サッカー協会)は3月13日、同20日のバーレーン戦と、25日のサウジアラビア戦に臨む日本代表25名を発表した。本来ならエントリーメンバーは27名のところ、2名の“予備枠”を残したのには理由がある。ケガで戦列を離れていたFW小川航基とCB町田浩樹の回復具合を、週末のリーグ戦でチェックしてから招集するかどうかの最終決断を下すためだ。
小川も町田も昨シーズンのW杯予選で急成長した選手と言える。小川は絶対的な1トップ候補の上田綺世を脅かす存在として、町田は負傷で長期離脱していた伊藤洋輝の代役として森保一監督の信頼をつかんだ。そんな彼らを、試合で起用するかどうかは別にして、プレーに問題がなければ招集したいと森保監督が考えるのは当然のことだろう。
その理由を森保監督は13日の記者会見で正直に話した。
「今回発表させていただいた選手はこれまでの最終予選のメンバー編成と大きく変わっているところはないと思います。それは、これまでやってきた積み上げの部分をよりスムーズに、去年の11月から3月と空いた中でも、よりこれまで戦ってきたこと、やってきたことを共有して、もう1回再確認して戦う」ためだからだ。
改めて言うまでもないが、代表チームの活動期間は限られる。サウジアラビアのように、リーグ戦を中断したり無視したりして代表チーム強化のためのキャンプを実施できる国はきわめて限られている。
集合と離散の繰り返しが代表チームの宿命であるため、ベースとなるチーム戦術に関しては集合するたびにミーティングとトレーニングで確認する必要がある。このため重要な大会、W杯アジア最終予選期間中は新たな選手を招集することは不可能に近い。
今回の招集メンバーでいえば、ペンディング中の2人に加え、負傷から復帰した伊藤に上田や守田英正、レンヌへ移籍後は出場機会に恵まれていない古橋亨梧らは、無理をして試合に起用するほど日本の選手層は薄くないし、小川と町田も含め招集を見送ってもよかった。しかし前述したようにチームとしての戦い方、攻守における“約束事”を確認するには日本まで呼ぶ必要があったというわけだ。
ただチームとしての“核”はほぼ固まっているだけに、スタメンの予想もそれほど難しくはない。GKは鈴木彩艶で決まりだろう。CBは右から瀬古歩夢、板倉滉、伊藤(町田)だが、気になるのは故障明けの伊藤と町田のコンディションだ。彼らに代わるレフティーの若手CBの発掘と起用は7月のE-1選手権での課題となるかもしれない。
ダブルボランチは遠藤航と、守田には無理をさせずにリーズで存在感を発揮している田中碧に期待したい。両WBはこれまでの起用法とチーム内の序列から右が堂安律(伊東純也)、左は三笘薫(中村敬斗)がスタメン候補で、前線の右インサイドが久保建英、左インサイドがモナコで好調を維持している南野拓実といったところだろう。鎌田大地は彼らと交代での起用が予想される。
そして1トップである。上田や小川には無理をさせず、これまで左サイドでの起用が多かった前田大然をコンバートするのが最もフィットするのではないか。前線からの猛追プレスに加え、セルティックではゴールを量産するなど今が旬な選手だけに、ファンも彼のプレーを見たがっているだろう。
バーレーンは引き分け狙いが濃厚なため、ゴール前を固めてベタ引きの可能性もある。そうした密集地帯を堂安、久保、南野、三笘らが個人技でどうこじ開けていくか。そして前田の得点嗅覚にどうつなげていくのか。新たな攻撃パターンを披露できるかどうかもバーレーン戦の見どころと言える。
それでもゴールが遠いようなら、上田か小川のヘッドに打開策を見いだすということになるだろう。そしてバーレーン戦でW杯出場を決められたら、サウジアラビア戦はもう少し柔軟な選手起用が可能になるはずである。
2025年3月14日(金)15:30