チャンピオンシップ(イングランド2部)のリーズ・ユナイテッドに所属する日本代表MF田中碧が試合後に涙。ダニエル・ファルケ監督が理由を説明した。イギリス『ヨークシャー・イブニング・ポスト』が伝えた。
リーズは8日、チャンピオンシップ第41節でミドルズブラと対戦。プレミアリーグ昇格を目指すライバルとの対戦となった中、0-1で勝利を収めた。
試合後、田中は勝利したものの涙を流すことに。ファルケ監督とチームメイトが慰める形となった中、ファルケ監督は精神的に辛い1週間だったと振り返った。
「彼だけでなく、私の選手全員に言えることだが、彼らは若い選手たちであり、我々はイギリスで最も感情的なクラブのために働いている」
「本当に、本当に難しいことだ。先週、外の世界は常に緊張しており、パニックになっている。アオはイングランドサッカーで初めてのシーズンを迎えているが、彼のような若い選手に対して、批判が少しでもあったのは、彼のキャリアで初めてのことだ」
25年前の2000年4月5日、リーズはUEFAカップ(現:ヨーロッパリーグ)で準決勝を戦っていた。ガラタサライとのアウェイでの1stレグの前日、リーズのファン2名がガラタサライのファンに刺殺される事件が発生していた。
リーズは25年目の追悼式典に出席し、田中を含めた選手たちも参加。加えて、プレミアリーグ昇格を争っているプレッシャーがかかる戦いをしている中で、感情的に難しい状況で批判を受けたことが影響したとした。
「アオはそこにいる。25年前の悲劇があり、選手たちはみんなエモーショナルだった。クリス(・ロフタス)とケビン(・スペイト)のことを聞き、アオでさえも感傷的になっていた」
「その週、我々はスケジュールをすべて変更し、追悼式典に行き、選手たちはみんな心を動かされた。ルートンに行き、普通なら羊が食べるくらいのピッチでプレーしなければならなかった」
「前日にはマテオ・ジョセフが病気で欠場、ジョー・ロスウェルが数週間欠場、パスカルが試合中に負傷した。試合では同点に追いつくチャンスを掴んだが、残念ながらマナーは絶好チャンスを逃し、みんなが失望した」
「アオはリーズに関わる全員で我々だと思っているようだが、彼と我々は批判を受けた」
ファルケ監督はルートン戦で引き分けに終わったことでの、サポーターの反応には理解を示したものの、田中には大きな負担になっているともコメント。感情を持った選手たちのことを考えた方が良いとした。
「彼らを責めるつもりはない。我々には国内最高のサポーターがいる。彼らは個人的にそう思っているわけではないし、失望は外に出さなければならない」
「私はこれに耐えられる。経験豊富だ。彼は若者で、なぜみんなが我々に向かって叫んでいるのかよく理解できず、(試合後に)ロッカールームで泣いていた。どうしたのかと尋ねると、彼は『とても空虚で疲れている』と言った」
「我々はロボットと一緒に働いているのではなく、彼らが人間だということを時々忘れてしまう。メンタルヘルスデーもあるが、最後の最後になるとメンタルヘルスのことを考えない。とても難しいことだ」
「我々はとても信頼し、団結し、信頼している。それは他に類を見ないものであり、このグループと一緒に働くのは楽しいことだ」
リーズは現在チャンピオンシップで首位に浮上。熾烈な昇格争いを勝ち抜けるのか注目が集まる。
【動画】プレッシャーがかかる中での勝利に喜びを露わにする田中碧