★【平成サッカー30年の軌跡】 平成10年/1998年 初出場で知った世界との差

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新元号が「令和(れいわ)」に決定し、2019年4月30日をもって幕を閉じる「平成」。日本サッカーにとって、「平成」という時代は大きな変革を遂げた30年間となりました。

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新元号が「令和(れいわ)」に決定し、2019年4月30日をもって幕を閉じる「平成」。日本サッカーにとって、「平成」という時代は大きな変革を遂げた30年間となりました。Jリーグ設立、ドーハの悲劇、日韓W杯招致…。激動の30年を平成の出来事と共に振り返ってみましょう。

世の中の流れ


1998年、自国開催となった長野冬季オリンピック。男子スキージャンプの「日の丸飛行隊」が国民の期待と注目を集めた。

■スポーツで沸いた日本、IT分野では大きな一歩も
平成10年(1998年)、日本ではある一大イベントが行われ、国中を沸かせます。その一大イベントとは、2月に開幕した長野冬季オリンピックです。母国開催となった日本は、「日の丸飛行隊」と呼ばれた男子スキージャンプ団体の金メダルをはじめ、合計10個のメダルを獲得し、大いに国内を盛り上げました。

同じスポーツ界では、横浜高校のエース松坂大輔選手が、甲子園決勝でノーヒットノーランを達成。「平成の怪物」と呼ばれ、旋風を巻き起こしました。

一方世界に目を向けると平成10年はITやテクノロジーの面において、大きな発展をした1年でした。イギリスの国営放送局『BBC』では、世界初の地上デジタル放送が開始されます。

コンピューター業界では、マイクロソフトから、当時としては卓越した性能と安定性を誇ったWindows 98が発売。そしてAppleからはiMacが登場しています。iMacの半透明の色や曲線を用いたデザインは、その後の業界に大きな影響を与えました。

また、今では世界的IT企業となっているGoogleが設立されたのもこの年。設立された当初はアメリカ・カリフォルニア州の住宅地のガレージにオフィスを構える小さな会社でした。




サッカー界

日本代表として初のW杯に挑んだメンバー。初戦の相手は“南米の雄”アルゼンチンだった。

■いざフランスへ、そして開幕直前に起こったカズ落選騒動
母国開催のオリンピックや甲子園での松坂ブームに沸いた日本でしたが、サッカー界でも国中を巻き込んだ大イベントが開催されました。6月にフランスで開幕したFIFA ワールドカップです。前年に“ジョホールバルの歓喜” としても知られるイラン代表とのアジア第3代表決定戦で初のW杯本戦出場を決めていた日本代表は、日本中の注目と期待を背負い、フランスの地へと旅立ちました。

W杯の直前、日本代表の岡田武史監督の口から、カズこと、三浦知良選手が代表から落選したことが発表されます。また、同じく長年日本代表としてプレーしてきた北澤豪選手、最年少選手として招集されていた市川大祐選手もメンバー外となりました。特に、日本代表、そして日本サッカーを牽引してきたカズの落選は、サッカーファンのみならず、世間でも大きな話題を呼びました。


■初めて立った舞台から見えた景色
平成10年6月14日、日本代表はついに初のW杯の舞台に立ちます。初戦のアルゼンチン戦には日本からも多くのサポーターが駆けつけ、試合前の国歌斉唱では、選手、サポーターが一体となり「君が代」がスタジアムに鳴り響きました。

W杯初出場に沸いた日本でしたが、1戦目のアルゼンチン、2戦目のクロアチアと共に無得点で惨敗。共に2敗で敗退が決まっていたジャマイカ戦では、中山雅史選手が得点をあげ、W杯日本初ゴールを記録しますが、結局1-2で敗北。結果的に3戦全敗でグループステージ敗退となり、世界との差を見せつけられる結果に終わりました。

しかし、世界との差を認識する事が出来たことは、その後の日本サッカーにとって貴重な財産になります。この結果を受けて日本サッカー協会は、「組織的なサッカー」を目指さなければ世界とは戦っていけないという結論に至りました。そしてその組織的なサッカーを日本代表に根付かせる為の監督として、フランス人のフィリップ・トルシエ氏に白羽の矢が立ったのでした。

W杯出場という1つの目標を達成した日本は、世界で勝つためのサッカーを目指し、2002年に自国で開催されるワールドカップという新たな目標に向かって進んでいくことになります。


2019年4月10日(水)19:30

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