★【平成サッカー30年の軌跡】 平成25年/2013年 成熟期を迎えたザックJAPAN

Getty Images
新元号が「令和(れいわ)」に決定し、2019年4月30日をもって幕を閉じる「平成」。日本サッカーにとって、「平成」という時代は大きな変革を遂げた30年間となりました。

記事全文

新元号が「令和(れいわ)」に決定し、2019年4月30日をもって幕を閉じる「平成」。日本サッカーにとって、「平成」という時代は大きな変革を遂げた30年間となりました。Jリーグ設立、ドーハの悲劇、日韓W杯招致…。激動の30年を平成の出来事と共に振り返ってみましょう。

世の中の流れ


この年に東京で2020年に夏季オリンピックを開催する事が決定。8年後に向けて国民の期待が膨らんだ。

■「おもてなし」と「倍返し」
平成25年(2013年)はスポーツ界が盛り上がりを見せた年となりました。プロ野球では東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大がプロ野球新記録となる公式戦21連勝を達成。楽天もその年リーグ優勝と日本シリーズを優勝し、球団史上初の日本一に輝きました。日本シリーズの最終戦、前日に先発登板した田中が抑えとしてマウンドに立った姿は記憶に新しいのではないでしょうか。

この年の開催から4年に1度の開催に変更されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、日本は3連覇を目指して戦います。メジャーリーガーの参加なしで挑んだ日本でしたが、準決勝でプエルトリコに敗れ、3連覇はかないませんでした。また、同じ野球界の話題では“ミスタープロ野球”として知られる長嶋茂雄氏と“ゴジラ”こと松井秀喜氏が師弟で揃って国民栄誉賞を受賞し、話題になりました。

そして9月に行われたIOC(国際オリンピック委員会)総会において、2020年の東京オリンピック開催が決定。1964年の東京オリンピック以来56年ぶりにオリンピックが東京にやって来るということで、国民が大いに盛り上がりました。キャスターの滝川クリステルさんが招致に向けてのスピーチで披露した「お・も・て・な・し」というフレーズが流行語に選ばれました。

また、俳優・堺雅人が主演したドラマ『半沢直樹』が高視聴率(平均29.1%)を記録。劇中の主人公のキャッチフレーズである「倍返し」が流行語になりました。香川照之が演じた大和田常務(大和田暁)が見せる土下座も、大きな話題となっていました。

その反面、大阪市立桜宮高等学校の体罰自殺事件が明らかになり、体罰問題が社会問題化したのもこの年。日本社会の闇の部分が露わになった出来事です。



サッカー界

日本をW杯本戦へ送った本田のPK。

■ブラジルへ一番乗り!
2013年、4年目を迎えたザックJAPANは翌年に開催されるブラジル・ワールドカップの切符をかけたアジア最終予選へと挑みました。この予選でもオーストラリアと同じ組に入った日本でしたが、順調に勝ち点を伸ばしていきます。

そしてアジア予選突破をかけて臨んだホームでのオーストラリアとの決戦。引き分け以上でブラジルW杯の出場が決まる試合でしたが、82分にまさかの失点を許してしまいます。しかし、後半アディショナルタイム、日本のクロスボールが相手選手の腕に当たり、これがPKの判定。決めればW杯出場決定というプレッシャーのかかる場面でキッカーに名乗りを上げたのはエースの本田圭佑(現メルボルン・ビクトリー)でした。

キッカーを務めた本田は、日本代表のサポーターが集結するゴール裏を目の前にしながら、プレッシャーをものともせずど真ん中へPKを蹴り、見事同点に追いつきます。

結局、そのまま同点で試合を終えた日本は5大会連続5回目のW杯出場が決定。これは時差の関係もありますが、全予選参加チーム中最速での予選突破となり、日本代表はブラジルへ一番乗りを果たしています。

■強豪相手に確かな手応えを掴んだ欧州遠征

強豪国と多くの試合が組まれた2013年。日本の攻撃的で魅力的なサッカーを展開した。

6月にブラジルで行われたコンフェデレーションズカップに参加した日本は、ブラジル、イタリア、メキシコと強豪国と対戦。結果は3連敗と、実力の差を見せつけられるものとなってしまいました。

しかし、イタリアとの試合では、一時はイタリア相手にリードする展開になるなど、大健闘します。最終的に逆転を許し、4-3で敗れはしたものの、ザッケローニ監督が目指してきたパスを繋ぎ、攻撃的な姿勢を打ち出すサッカーが完成しつつある手応えを掴みました。

また、7月には東アジア選手権が開催されました。この大会には国内組のみ参加したザックJAPANでしたが、大迫勇也(現ブレーメン)や柿谷曜一朗(現セレッソ大阪)といったニュースターの活躍もあり優勝。選手層の厚さを感じさせました。

それに加え、11月中旬の欧州遠征ではしっかりと結果を掴みます。W杯の前大会準優勝国であるオランダ相手に2-2で引き分けます。そして成長著しいタレント集団であったベルギー相手には、3-2の打ち合いを制して勝利する等、ザッケローニ監督の下で目指すべきサッカーがしっかりと成熟してきている印象を与えました。

海外で活躍する本田や香川真司といったタレント、そしてチームの一体感ともに申し分なく、翌年に控えたW杯に向けて国民の期待は大きく高まっていました。

2019年4月25日(木)20:30

mixiチェック
LINEで送る
【関連ニュース】
【平成サッカー30年の軌跡】 平成30年/2018年 ロシアでのサプライズに日本熱狂
【平成サッカー30年の軌跡】平成29年/2017年 ハリルの涙とJへの“黒船到来”
【平成サッカー30年の軌跡】 平成28年/2016年 リオ五輪と世界を驚かせた鹿島
【平成サッカー30年の軌跡】 平成27年/2015年 日本代表、思わぬ再々出発!
【平成サッカー30年の軌跡】 平成26年/2014年 通用しなかった“自分たちのサッカー”
戻る
(C) SEESAW GAME, Inc.