★【2022年カタールへ期待の選手vol.96】先輩・中村憲剛にも成長を認められる中盤のダイナモ。このままカタールへ駆け上がれ!/守田英正(サンタ・クララ/MF)

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「チームを勝たせられている充実感は間違いなく感じてます。自分のタスクは90分ハードワークして守備を頑張るみたいな感じだけど、攻撃の厚みをもたらし、アクセントを加えないといけない。

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「チームを勝たせられている充実感は間違いなく感じてます。自分のタスクは90分ハードワークして守備を頑張るみたいな感じだけど、攻撃の厚みをもたらし、アクセントを加えないといけない。そこに関しては、以前より多少はできたかなと。だけど、細かいミスや最後のボックスの質や回数はそこまで目を見張るものではない。もっともっとやらないといけないと思ってます」

27日の2022年カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第7戦・中国戦(埼玉)を2-0で撃破し、中盤の一角を占めた守田英正(サンタ・クララ)は冷静に自身を分析し、早くも2月1日の大一番・サウジアラビア戦(埼玉)に目を向けていた。

川崎フロンターレでのルーキーイヤーだった2018年9月のコスタリカ戦(吹田)で日本代表デビューを飾り、2019年アジアカップ(UAE)のメンバーにも名を連ねた守田。しかし大会開幕直前に右太もも肉離れを負い、長期離脱。その後、2019年6月のトリニダード・トバゴ戦(豊田)でいったん復帰したものの、2年近く日の丸とは無縁の生活を送ることになった。この頃、まさか守田が最終予選のキーマンになると想像した者は、本人含めてそう多くはなかったはずだ。

まさに“ダークホース”だった男が大きな飛躍を遂げるきっかけになったのが、2020年川崎でのJ1・天皇杯2冠達成と2021年1月のポルトガル1部サンタ・クララへの移籍だろう。

川崎では[4-3-3]のアンカー役として中盤をコントロール。田中碧(デュッセルドルフ)や脇坂泰斗、中村憲剛(川崎FRO)らと息の合った連係を見せ、攻守両面を力強く動かした。Jリーグベストイレブン選出もまさに順当。ここで一気に日本トップクラスのボランチの座を手にした。

そのうえでチャレンジした初めての欧州で、守田は瞬く間に定位置をつかみ、試合出場を重ねていく。サンタ・クララの本拠地は大西洋のアゾレス諸島で、前田大然(セルティック)が1シーズンを過ごしたマリティモのあるマディラ諸島よりはるかに欧州大陸から離れている。

それだけに環境適応も容易ではなかったはずだが、関西人らしい明るさと社交性、モデルの妻・藤阪れいなさんのサポートによってすんなり新天地に溶け込んだ。

この目覚ましい成長ぶりを森保一監督も放っておくわけがない。同年3月の韓国戦(日産)で約2年ぶりに呼び戻し、招集回避した柴崎岳(レガネス)の代役ボランチとして先発させたところ、球際や寄せ、強度含めて数カ月前とは全く違っていた。これを目の当たりにした国内組の稲垣祥(名古屋)も「代表のスタッフとも話したけど、『この数カ月でこんなに変わるんだね』と。海外移籍で大きな自信をつかんだんだと思います」と目を丸くした。

9月の最終予選スタート後は再び柴崎にポジションを明け渡したが、崖っぷちに瀕した10月のオーストラリア戦(埼玉)から森保監督が基本布陣を[4-2-3-1]から[4-3-3]へとシフトしたのを機にスタメンに。アンカー・遠藤航(シュツットガルト)の前に田中碧とインサイドハーフで並ぶ形でここまで3試合に出場。試合を重ねるごとに攻守両面で効果的なプレーを出せるようになってきた。

顕著な例が中国戦の前半11分、伊東純也(ヘンク)がPK奪取したシーン。最終ラインでのパス交換から守田が中盤で受け、素早く遠藤に展開。さらに酒井宏樹(浦和)が渡った瞬間、伊東が一気にペナルティエリアへ侵入し、マイナス気味のクロスを入れると、DFチュー・チェンチェの手に当たったのだ。

これを大迫勇也(神戸)が沈め、日本はいち早く先制点を奪ったが、守田が起点となるパスを遠藤に素早くつないだのは的確な判断だった。この日は90分通して攻めの意識が高く、より高い位置を取りながら、ペナルティエリアに侵入する回数も増加。「攻撃の厚みを加える」という意識が前面に出ていた。

「今組んでいる3枚だと、田中碧は後ろにいたがるんだろうなと。全体のバランスと、奪われた時の守備を考えると、航君がどっしり構えたいタイプだと思うので、できるだけ自分が前で関与するべきだと思って入りました。

ただ、左サイドでボールがある時に同じように高い位置を取ってしまうと、拓実(南野=リバプール)君と佑都(長友=FC東京)さんと渋滞してしまう。自分が前にいっぱなしだったのが反省点だったと感じています」

守田は努めて冷静に自身の一挙手一投足を分析し、自分なりにフィードバックしているようだ。これだけの分析力と説明能力、インテリジェンスの高さがあれば、十分に日本の主軸を担えるだろう。代表はここまで13試合出場だが、まだまだ伸びしろは大きそうだ。彼自身もブンデスリーガ・デュエル王の遠藤の領域を目指して、ボール奪取力や球際の激しさ、パス出しの精度を磨いていく考えだが、先輩・中村憲剛から成長を認められる人材なのだから、このまま一気に駆け上がることも可能なはずだ。

11カ月後のW杯本大会の大舞台に立つためにも、まずはサウジとの決戦で明確な結果を出す必要がある。W杯王手をかけた相手との大一番は決して甘い試合にはならない。守田にはここまで積み重ねてきた全てを出し切り、全力で勝利請負人になってほしいもの。カタールへの道はここから開ける。

2022年2月1日(火)12:40

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