21日に32歳で急逝した元日本代表FW工藤壮人を、古巣のブリスベン・ロアーが追悼した。
工藤は2日の練習時間外に体調不良を訴え、翌3日に医療機関の検査で水頭症の診断を受けて入院。11日に手術を受けて療養中だったが、容態が悪化し、17日からICU(集中治療室)にて治療に専念していることが18日にクラブから発表されていた。
水頭症とは、「脳室に髄液が過剰に溜まってしまったために脳を圧迫し、さまざまな症状を引き起こしてしまう疾患」とされており、くも膜下出血や脳出血、頭部外傷、髄膜炎などの頭蓋内疾患に引き続いて起こってしまうものもあるという。
その工藤には、多くの回復を願うメッセージが寄せられていたが、21日の14時50分に死去。32歳という若さで帰らぬ人となった。
古巣クラブや元チームメイト、サッカー関係者、多くのファン・サポーターからのメッセージが寄せられた中、ブリスベン・ロアーも工藤を追悼した。
ウォーレン・ムーン監督は「ブリスベン・ロアーのみんなと同様に、元チームメイトであり、選手であり、友人である工藤壮人が亡くなったという昨夜のニュースに深く悲しんでいる」とコメント。工藤について語った。
「彼はとても素晴らしい性格の持ち主で、毎朝いつだってにこやかな笑顔でトレーニングに参加していた」
「とても寂しく思う。そして、この悲しい瞬間に、彼の奥さんと幼い娘さんに心を寄せている」
工藤は、2020年2月にサンフレッチェ広島を退団。ヨーロッパへの移籍を画策したものの、トライアウトにことごとく不合格となると、2020年12月にブリスベン・ロアーに加入。2021年8月までの短い期間だったが、Aリーグで14試合に出場し1ゴールを記録していた。
ブリスベン・ロアーは「工藤選手のご家族、ご友人、テゲバジャーロ宮崎、サポーターのみなさん、そして地域社会のみなさんに心よりお見舞い申し上げます」としている。
そのブリスベン・ロアーは22日にウェスタン・シドニー・ワンダラーズと対戦。日本人MF檀崎竜孔も先発した中、試合前には工藤に捧げる黙祷が行われ、試合は1-1のドローに終わっていた。
かつてバーンリーやQPR、サウサンプトンなどプレミアリーグでもプレーしたチャーリー・オースティンが同点ゴールを記録。そのオースティンは、ゴール後に工藤の背番号「9」のユニフォームを掲げ、ゴールを捧げていた。
【写真】ブリスベン・ロアーが工藤を追悼しゴール後に背番号9のユニフォームを掲げる、檀崎竜孔も
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