★監督解任第1号は清水のゼ・リカルド監督/六川亨の日本サッカーの歩み
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今シーズンのJ1リーグは第6節を、J2リーグは第7節を終え、上位と下位のチームで明暗が分かれ始めて来た。J1リーグでは18位の柏と17位のFC横浜、16位のG大阪の3チームが未勝利で下位に沈んでいる。
今シーズンのJ1リーグは第6節を、J2リーグは第7節を終え、上位と下位のチームで明暗が分かれ始めて来た。J1リーグでは18位の柏と17位のFC横浜、16位のG大阪の3チームが未勝利で下位に沈んでいる。J2リーグでは22位の徳島と19位の清水が同じく未勝利で、21位の千葉や20位の栃木も1勝しか上げられずにもがいている。
ただ、例年なら下位チームはもっと早く監督交代があってもいいと思っていた。やはりJ1リーグは、今シーズンは1チームしか自動降格しないため、どのチームもガマンしているのだろうか。そしてJ2リーグも今シーズンは3チームが昇格できるため、チームの調子が上向きになるまで待っているのかと思っていたら、清水がゼ・リカルド監督の解任と、今シーズン就任した秋葉忠宏コーチの監督昇格を発表した。
チームは1日の甲府戦に0-1と敗れ、リーグ戦は昨年8月27日の京都戦に1-0で勝って以来、14戦未勝利とクラブのワースト記録を更新していた。チームには日本代表GK権田修一と昨シーズンの得点王チアゴ・サンタナに加え、今シーズンは攻守にアグレッシブなプレーをみせるSB吉田豊が9年ぶりに復帰。戦力の充実度ではJ2リーグ屈指のため昇格候補の一番手と思っていた。
ところが、偶然にも1日の甲府戦を取材してガッカリした。清水は、全盛時はもちろんのこと、過去に降格したシーズンもボールポジションでは相手を上回る“清水スタイル”を持っていた。しかし甲府戦では、「今日はディフェンスの位置を低くして、相手を引きつけてから裏を突こう、速さを生かして北川の良さを生かそうとした」と試合後にゼ・リカルド監督が語ったように、北川とチアゴ・サンタナにロングパスを出して走らせる単調な攻撃に終始した。
甲府が清水を圧倒する戦力を誇るならそれも仕方がない。しかし甲府の篠田善之監督が「清水は個でもチームでも打開してくるチーム」と言ったように、個のポテンシャルは明らかに清水が上回っていて、押し込む時間も長かった。にもかかわらず、消極的なサッカーを選択したのは、やはり結果が出ていないからだろうか。
両チームの対戦は「富士山ダービー」とも言われ、清水からも多くのサポーターが応援に駆けつけた。そして甲府がホームで勝ったのは今回が初めてだった。篠田監督自身もFC東京の監督を解任された翌年に清水のコーチに就任し、「5年間、清水にはお世話になり監督もやらせてもらった。こうして対戦することを想像できなかった。学ばせていただいたので恩返しというか、ひたむきさを見せたかった」と感謝の言葉を口にした。
昨シーズンは初となる天皇杯を獲得したが、リーグ戦は18位に沈み監督も交代した。にもかかわらず現在のところ4位につけて昇格プレーオフ圏内にいるのは大健闘と言える。
清水に関して言えば、他チームの監督がゼ・リカルド監督の練習は「時代遅れ」と指摘していた。攻撃はパターン化されたフォーメーション練習で、その後は紅白戦らしい。実際に取材したわけではないので真偽のほどはわからないが、かつての華麗なパスワークが失われたのは寂しい限り。
せめてもの救いは、サポーターによるサンバのリズムの応援は昔も今も変わらなかったことだ。
2023年4月4日(火)18:30