★「今の勝ち点は本来の力を表していない」不振の王者・神戸を警戒する東京Vの城福監督、得点力不足解消に向けては「再現性、絶対数を増やす」
東京ヴェルディの城福浩監督が、12日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第10節のヴィッセル神戸戦に向けた会見を実施した。
東京Vは前節、3連戦の最終戦となった第9節の横浜F・マリノス戦を0-0のドローで終えた。
東京ヴェルディの城福浩監督が、12日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1リーグ第10節のヴィッセル神戸戦に向けた会見を実施した。
東京Vは前節、3連戦の最終戦となった第9節の横浜F・マリノス戦を0-0のドローで終えた。この結果、直近5戦無敗(1勝4分け)で13位と、16年ぶりにJ1の舞台で戦った昨季とほぼ同じペースの勝ち点の積み上げ方となっている。
安定して得点は奪えたものの、ゲームクローズに問題を抱えてリードを守り切れなかった昨季に対して、今季は3試合でクリーンシートを記録するなど徐々に守備が安定。一方で、9試合7得点と得点力不足が勝ち点逸の主な要因となっている。
節目の今季リーグ10試合目を前に指揮官は、改めてここまでのチームの歩みに言及。「勝ち点1を3にしなければいけない」と明確な課題に触れつつも、連敗スタートとなった厳しいシーズンの幕開けから徐々に本来の姿を取り戻しつつあると一定の評価を下した。
「連敗からスタートしたシーズンでしたし、何よりも開幕戦の内容が悪すぎたというか、2試合目も大差にはなりましたけれども、1戦目、2戦目では自分たちらしさを失ったかのようなシーズンの入りをしてしまった」
「思い返しても残念ですし、予見できたこともあったのですごく悔しい思いはありますけども、そこから選手たちと一緒にもう一度我々の精神的な原点回帰をして、謙虚にというか、自分たちらしさをしっかり持ってゲームに臨んでいる。それ以降は思うような勝ち点は重ねられていないですけど、内容に関しては決して否定するものではないというふうに思っています」
「勝ち点1を3にしなければいけない。そこが我々の最後のフィニッシュの精度のところ、その一歩手前のところ。超決定機にしていくところは課題としていま抱えつつも、勝ち点1で終わった試合を振り返ってみれば、勝ち点3で終われた可能性があったと思える試合が多かったというのは、このチームのいまの伸びしろ。反省ばかりではなくてやれるようになってきたことをしっかりと自信を持たせて、課題を全員で解決していきたいなと思います」
3試合連続ドローに終わった直近の3連戦では選手交代でパワーダウンさせないための選手層の底上げとともに、アタッキングサードでの判断の質を明確な課題として指摘していた指揮官。
個人やアタッキングユニットの成長や経験という部分で、辛抱強く待つ必要がある領域でもあるが、「我々がやれることは再現性というか、その数を増やすこと」とポケットへの侵入、クロスへの入り方を含め志向するスタイルの追求、チャレンジの分母を増やすことが最終的に質の向上に繋がっていくと考えている。
「決定的になるはずのシーンで判断を間違えてというか、例えば強引にシュートを打ったりとか、コントロールミスをしたりとか、そういう判断や技術のミスを本人たちがもうそのシーンを見ている。そんなところは改めて我々がチームで共有せずとも、本人が一番理解している」
「決定機や超決定機の絶対数を増やしていくために、大きく言えば、へそとグラウンドを広く使う。そこのバランスであったり、ボールのいい奪い方であったりとか、我々が奪ったときにどこのゾーンをどのように狙うのか。クロスのときにまず入っていく場所がどこなのかと」
「一見すると、すごくベーシックに見えますが、愚直にやり続けることで、最終的にそれをやめる判断、違う選択肢を選ぶことも含めて、そこは彼らのアドリブこそがサッカーだと思う。自分たちが目指すものを研ぎ澄ませていくこと。そこの技術あるいは呼吸を合わせていくこと。それで決定機を増やしていくことが一番大事かなと思っています」
引き続き自分たちに矢印を向けつつ、4戦ぶりの白星を目指すホームゲームでは、1試合未消化ながら16位に低迷するヴィッセル神戸と対戦。昨季の2度の対戦ではいずれも相手のオウンゴールで挙げたゴールによって1勝1分けの無敗という戦績を残した相手だが、城福監督は以前にベーシックな部分でのレベルの高さが王者たるゆえんだとリスペクトする趣旨の発言もしていた。
その対戦相手の今季の印象について改めて問われると、ACL敗退やシーズン序盤の負傷さの多さなど2連覇中の王者が難しい序盤戦を過ごしていることを認めながらも、現状が本来の実力を表したものではないと断言。チームにとって難しい試合になることを覚悟した。
「個の強さや選手層の厚さは自分が言うまでもなく、同じリーグで戦う人間全員が最もハイレベルなチームのひとつだと思っています。それこそディフェンスラインにも中盤にも前線にも、日本人も外国籍の選手も強烈な選手がいますし、誰が先発になろうがベンチにはそれぞれ特徴がある選手がいる。今の順位というのはふさわしくないと思いますけれども、今の神戸の勝ち点というのは、本来のチームの力を表しているものではないと思っています」
「思いのほか勝ち点を取れていないことに対して、チームとしてひょっとしたらもどかしさを感じているのかなというふうには思います。ただ、我々としたら個の力がそがれているわけではなく、選手層が薄くなっているわけではないので、必ず神戸は上位に食い込んでくるチームだと思っています。そこは最大限のリスペクトをしながら、とにかく我々がベストな状況で臨まないと、なかなかいい試合ができないのかなと思います」
東京Vの今季のリーグ2勝はいずれも3バックの相手に挙げたもの。2-2のドローに終わったアルビレックス新潟戦ではセットプレーや相手のミスを突く形で複数得点を記録したが、それ以外の4バック相手の4試合ではいずれも無得点。
前節の横浜FM戦ではミスマッチの部分で若干優位に運べた部分もあったが、神戸戦では攻撃面でのミスマッチでいかに優位性をもたらせるかが、勝負のカギを握りそうだ。
その点について城福監督は3つのアプローチのバランスをポイントに挙げ、チームとして優位に進めていきたいと語った。
「攻撃はへそを使うこと。幅を見せること。裏を使うこと。このバランスだと思います。常に何が先になるかというのは、そのときのシチュエーションによりますが、この3つを常に見せ続けながらボールを運んでいかないといけない」
「パッと見たら、ウイングバックだけがミスマッチのポジションみたいに見えるけれども、じゃあウイングバックにすぐボールを渡せられるかといえば、それはすぐに対応される。我々が目指しているへその巧い使い方と幅、あるいは裏というところのバランスがすごく大事になるかなと思います」
2025年4月11日(金)19:30