★「負けるべくして負けた試合」神戸戦からバウンスバック誓う東京Vの城福監督、ルヴァン杯・秋田戦へ「当たり前のことをやって、なおかつ我々らしいサッカーを」
東京ヴェルディの城福浩監督が、16日にソユースタジアムで行われるYBCルヴァンカップのブラウブリッツ秋田戦に向けた会見を実施した。
先月に行われた1回戦では、J3のAC長野パルセイロ相手にPK戦までもつれ込む大苦戦を強いられながらも初戦突破を決めた東京V。
東京ヴェルディの城福浩監督が、16日にソユースタジアムで行われるYBCルヴァンカップのブラウブリッツ秋田戦に向けた会見を実施した。
先月に行われた1回戦では、J3のAC長野パルセイロ相手にPK戦までもつれ込む大苦戦を強いられながらも初戦突破を決めた東京V。今回の2回戦ではJ2で16位に位置する秋田とのアウェイゲームで3回戦進出を目指す。
14日にクラブハウスで行われた会見では、0-1で敗れて6戦ぶりの黒星を喫した明治安田J1リーグ第10節のヴィッセル神戸戦の振り返りがメインとなった。
試合直後には「最初の入り以外は悪い試合ではなかった」とその印象を語っていた指揮官だが、2日後の会見では「負けるべくして負けた試合」とその認識を改め、振り返りのチームミーティングを含めてチームに改善を求めている。
「チャンスの数は劣っていなかったですけれども、相手をリスペクトさせ過ぎたつもりはないですけど、そういう状況になってしまったこと。もちろんコンタクトスキルのレベルが少し違った。ただ、コンタクトスキルというのは精神的なものも含めてなので、最初から物怖じしていたり、スピードを警戒しすぎたり、本当に勝とうとして競っているのかと思えるようなシーンがいくつかあったことは、全員で共有しました」
「そこの魂のところが決定的に足りていない選手、足りていないシーンがいくつかあったというところは、このチームが一回リセットして出直さなければいけないなというふうに思わさせられる。そういう思いをもう一度持たせてくれる試合だったなと思います」
神戸戦に関しては局面でのレフェリングに対する不満、試合後会見では「ゲームを止める手法」とオブラートに包んだ表現で言及した対戦相手の“マリーシア”に対する、より踏み込んだ問題提議もした城福監督だったが、「魂が足りない」という強い言葉で球際で負け続けた自チームの戦いを問題視した。
「本来であれば何を今更という話で、それでもそれを言わなければいけない。まだ経験値であったり、オフ・ザ・ボールの動きだったり、チームの狙っているものだったり、自分のポジションを確たるものにするために、攻撃から入るのか、守備から入るのか。そういうようなちょっとしたバランス」
「我々がよく言う、チームとして個人としての12時の針ではないところにぶれる。それがあるからこそ若いチームというのは伸びしろがあるんでしょうけれど、そこは自分たちのベースとしては持ち続けなければいけないもの」
「特にルーズボールのところで魂が足りないなんていうのは話にならない。あれだけ同じようなシーンを見せたのは、ミーティングでも初めてです。普通だったら違う項目にいきたいところを、まだ見せるのかというぐらいに共有しなければいけないぐらいの魂のなさだったなと僕は思っています」
神戸戦での敗戦によってリーグ開幕10試合の戦績は2勝4分け4敗の勝ち点10と、勝ち点では昨季の10ポイントと並んだ。
昨季は苦しんだ序盤戦から試合を経るごとに地力や自信を身に着け、最終的に16年ぶりのJ1の舞台で6位に躍進。多くの選手はその“成功体験”もあり、危機感を抱きながらも前向きにここからの巻き返しへの思いを語っている。
その選手たちをいかにマネジメントしていくかについて質問すると、指揮官は「成功体験を持っているとしたら、それこそが間違い」とバッサリ。
奇しくも前述の神戸戦の振り返り後のミーティングでは、開幕からの不振で追い込まれていた部分は大いにあったにせよ、勝利のために泥臭く貪欲に戦い続けた神戸の選手の映像をピックアップし見せるなど、メンタル面においても選手の奮起を促したという。
「成功体験とおっしゃいましたけど、我々が何を勝ち取ったのか、何を成功させたのか。じゃあ神戸と比べて日本のサッカー界に何をもたらしたのかと言えば、何にもない。だから成功体験を持っているとしたら、それこそが間違い」
「じゃあそれ(他クラブからの評価やオファー)を成功として満足してお腹いっぱいになるのであれば、それまでの選手だしそれまでのチームということ。僕からしたら何にも成功していない」
「大事にしなければいけないのは、我々がやろうとしている、積み上げようとしてきている攻撃においても守備においてもベースの部分があれば、ディテールのところもある。それをやり切っているのかと。やり切ってうまくいっていないのか、やり切って最後にクロスがずれているだけなのか、ヘディングがうまく当たらなかっただけなのか。そういうふうに見てみたら、全然やり切っていない」
「ひょっとしたらその原因は何かわからない、“なんとか体験”なのだとしたら、お前ら何か手にしたのかと。じゃあ2連覇して多くのものを手にした相手がどんなプレーをしていたかと。相手のチームの選手、個人のプレーをフォーカスして選手に見せたのは初めてです。俺らに“なんとか体験”があって戦ったら、このプレーヤーに勝てるのかと、このチームに勝てるのかと。だから、我々に“なんとか体験”というのはないです」
“戦う”というサッカーの根源的な部分での原点回帰とともに、PK戦を除けば公式戦6戦ぶりとなる勝利を目指す今回の一戦では、ロングボールを軸に球際の勝負を全面に押し出すスタイルを徹底して結果を残してきた秋田という、格好の相手との対戦に。
インターナショナルマッチウィーク開催でほぼベストメンバーで臨んだ長野戦と異なり、リーグ戦の狭間での開催となる今回の一戦に向けては「リーグ戦とカップ戦の両方で勝ち点3を目指すのに、ベストなメンバリングという部分はギリギリまでコンディションを見ながら決めたい」と、若干の入れ替えも示唆。
それでも、「当たり前のことをやって、なおかつ我々らしいサッカー」で今後に繋がる勝利を掴みたいと語った。
「秋田さんは我々も学ぶことが本当にたくさんあるチームで、物事を徹底するということが、これだけ対戦相手にとって嫌なことなのかと。それは本当にJ2時代に教えられましたし、秋田というクラブ規模とか地域性のなかで、J2での存在感をしっかり見せ続けられているというのは、あの徹底ゆえだと思います」
「自分たちはその対策というべきか、我々のベースのところをしっかり発揮しないと、対等にできないと思います。もちろんコンタクトスキルというところのスキルもそうですけれども、身長の差とかではなくて、まず負けないところ、勝とうとするところを100%で、一つひとつの局面でやる。魂というのを具体的な言葉にすれば、そういうことだと思います。当たり前のことをやって、なおかつ我々らしいサッカーをやることが大事になると思うし、それをやり切れた選手、そしてそれで勝利を呼び込めた選手が、次のリーグ戦に関わっていく。そういうサイクルにしたいなと思います」
2025年4月15日(火)19:30