★「もっとチャレンジの試合をさせたかった」東京Vは2ラウンド連続薄氷勝ち抜けも「押し返して逆転できたことは大きい」
東京ヴェルディが前ラウンドに続く厳しい戦いを制し、YBCルヴァンカップ3回戦進出を決めた。
16日、東京Vはソユースタジアムで行われたJリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド2回戦でブラウブリッツ秋田と対戦。
東京ヴェルディが前ラウンドに続く厳しい戦いを制し、YBCルヴァンカップ3回戦進出を決めた。
16日、東京Vはソユースタジアムで行われたJリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド2回戦でブラウブリッツ秋田と対戦。延長戦までもつれ込んだ120分の激闘を2-1で勝利した。
直近のリーグ戦でヴィッセル神戸に0-1で敗れてリーグ戦では6戦ぶりの黒星を喫したJ1・16位のチーム。今週末には川崎フロンターレとのアウェイゲームを控えていることもあり、城福浩監督はFW染野唯月と次節サスペンションのMF綱島悠斗を除く先発9人を入れ替えて臨んだ。
「当たり前のことをやって、なおかつ我々らしいサッカーをやることが大事」というテーマを持って臨んだ一戦だったが、強風やボールが走らないピッチの影響もあり、立ち上がりからロングボールを軸に球際の勝負を全面に押し出す秋田の土俵での戦いを強いられた。
33分には古巣対戦のFW佐川洸介に起点を作られ、左サイドのMF佐藤大樹のグラウンダークロスをファーに走り込んだMF石田凌太郎にワンタッチで流し込まれて先制点を献上。1点ビハインドで折り返した後半は主力の投入で両ウイングバックにドリブラーを配置する攻撃的な布陣でゴールを目指すも、75分に相手のハンドで得たPKはキッカーのFW木村勇大が右ポストに当ててしまい、痛恨の決定機逸に。
その後、秋田にうまく時計を進められて後半アディショナルタイムを迎えたが、92分には右サイドで仕掛けたMF福田湧矢がグラウンダーで折り返したクロスを起点に、ボックス中央でルーズボールを収めた木村の左足反転シュートが決まって土壇場で同点に。
延長戦では左ポスト直撃のシュートを打たれるなどホームチームの勢いに苦しんだが、PK戦突入濃厚と思われた118分にDF宮原和也の果敢な仕掛けからのクロスが演出したゴール前の混戦で、木村のヘディングでの落としに反応した福田がゴール左隅へ右足シュートを蹴り込み、値千金の加入後初ゴールで激闘を制した。
試合後の会見では「大事なのは次のラウンドに進むこと。最低限のミッションは全員で勝ち取った」と常々カップ戦は結果がすべてと語るなかで、粘り強く勝ち切った結果に対しては一定の評価を下した城福監督。
ただ、タイムアップの瞬間に勝利の喜びを表すことなく厳しい表情を見せた指揮官は「最後の一対一の対応とクロス対応はちょっと拙かった」、「もっと我々らしくへそを使える場面もあったなか、ある意味で相手のペースにはまってしまった」と、攻守両面での少なくない課題を指摘。
さらに、「やり切れた選手、それで勝利を呼び込めた選手が次のリーグ戦に関わっていく。そういうサイクルにしたい」と4選手を今季公式戦初スタメンで起用したものの、新たな力の台頭には至らなかったという部分での不満も滲ませた。
「難しい試合になるとは思っていました。この過密日程を考えたら、やはりチャンスを与えられた選手たちが当たり前のようにピッチでプレーができるという状況ではなくて、もっとパッションに溢れた。チャレンジの試合をさせたかったですけど、ちょっとそこをさせられなかった。自分への不甲斐なさもありますし、もちろん延長まで行きたくなかった。その前に決着をつけたかったです」
実際にピッチでプレーした選手たちからは指揮官同様にカップ戦は結果がすべてという割り切りや、リーグ戦でゴール、結果が出ていないなかでの勝利をポジティブに捉える言葉もあったが、やはり内容や個人のパフォーマンスに関して反省の言葉も多かった。
神戸戦で新天地デビューを飾り、今回の一戦では初スタメンで90分間プレーしたFW川﨑修平。
引いた相手に対する局面打開能力を期待してギリギリまで引っ張った指揮官は「彼の良さである狭いエリアでプレーするということは時折見せていた」と一定の評価を下した。
実際、前半の終盤には強引なカットインからの際どいミドルシュートやボックス内でのコンビプレーやボレーシュートなど見せ場は作った。
ただ、川﨑自身は「最初よりは全然良くなってきている」とコンディション、試合勘の部分での向上は感じながらも、「90分出て得点もアシストもゼロという結果はすごく残念。チャンスに絡む回数も少ないですし、チームの勝利はうれしいですけど、自分自身の結果でチームに貢献できなかった」と自己評価は厳しい。
1カ月半ぶりの実戦復帰で、古巣相手に120分戦い切ったDF千田海人は「(ここ最近の厳しい)チームの状況もそうですし、普段出ていない選手もこの試合で多くスタメンで出たと思うので、この試合の意味みたいなものをしっかり全員が理解して、本当にチャンスだと思うので、後悔のないようにというふうに声をかけて戦えるようにしました」と自身を含め、個人にとってもチームにとっても今後に繋がる試合にすべく臨んだ試合だったと振り返った。
「粘り強くやった」とタフな試合を逆転でモノにした部分を評価した一方、「もうちょっと自信を持って、自分たちのペースでボールを握っていればよかったですけど、ちょっと相手に付き合った感じもありました。焦れているような感じもあったので、もう少しチームでどういうふうに進めていくかという意思統一ができればよかった」と、指揮官も指摘したマイボール時のボールの運び方の改善を訴えた。
PK失敗に土壇場の同点ゴール、決勝点のアシストとこの試合で最も多くのトピックがあった木村は「今日はまさに劇団ひとりです(苦笑)」、「すみません、(試合終了が)遅くなってしまってという感じです」と自虐気味に試合を総括。
PK失敗に関しては「キーパーがギリギリまで動かなかったので、ちょっと慎重になりすぎました。コースを狙いすぎましたし、練習あるのみ」と反省。それでも、「PKを外して『ワーッと』思いましたけど、思ったより自分の気分も落ちていなかったので、次に決めればいいかなという感じでやれていたので、決められてよかった」と、メンタル面での切り替えができたことをポジティブに捉えた。
さらに、決勝点をお膳立てした福田については「本当は自分で打ってもよかったんですけど、(福田)湧矢くんが横でフリーでしたし、ちょっとボールも跳ねていたので、いい形で判断を変えられた。湧矢くんとしても神戸戦で似たような形でディフェンダーに止められていたので、彼にとってもすごくよかったのではないかなと思います」と、神戸戦で“未遂”に終わったアシストを付けられたことを喜んだ。
ここまでリーグ戦10試合2勝と苦戦が続くなか、ルヴァンカップにおいてもPK戦を制した長野戦に続き、薄氷の勝利となった。
改めて勝つことの難しさを実感させられた一戦に木村は「やることを徹底しているチームの怖さは改めて感じましたけど、そのなかでしっかり押し返して逆転できたというのは、チームにとって大きい」と、苦しみ抜いての勝利が今後に繋がると信じている。
2025年4月17日(木)7:50